「ニーベルンゲンの歌」を読む。岩波文庫。
「退く」ということを知らない登場人物たち。その結末は凄惨な戦いと、死。
戦いの描写ももちろんいいが、マルセル・モースの言う「ポトラッチ」、つまり、王や貴族が事あるごとに行う宝物やご馳走の大盤振る舞いの場面が、楽しい。そこで出てくるのが、宝物を保存するための「風呂敷き」。ゲルマン人も風呂敷きを使っていたとは。やはり、「人間の思考法は、地域や時代を越えて共通している」、というのは真実らしい。
「変身物語」を読む。オウィディウス著。岩波文庫。
だれでも知っているようなギリシャ神話がいっぱい。でも、描写が迫真的で、読ませる。特に、太陽神の馬車を操ろうとしたパエトンの話と、アキレウスの遺品の鎧をめぐるオデュッセウスとアイアースの弁論合戦は、まるでその場に居合わせたかのような迫力だ。
一番驚いたのは、バッコス神のお祭りの時の信徒の掛け声が、「えうほい!」だということ。日本のお祭りの「えっほい!」にそっくりではないか。「人間の思考法は、地域や時代を越えて共通している」、というのはやはり真実なのかもしれない。