世界宗教史4

2012-10-11 18:44:26 | 

を読む。ミルチア・エリアーデ著。ちくま学芸文庫。

 「神秘のディオニュソス」。その密儀に参加した男性(たとえばプルタルコス)は、チンボルをあらわにしたという。「男根を見せることは宗教的な行為である」。「生殖器は、ディオニュソス自身の生殖器を意味する」。「神の生殖器は創造性の神秘を象徴するだけでなく、その現前をもあらわす」。

 この記述を読んで思い出すのは、ヘロドトスの「歴史」に出てくる古代エジプトのエピソードだ。
 つらい任務に耐えかねた兵士たちが、ナイルの上流目指して集団で脱走する。後を追ったファラオが、彼らに問いかける。「お前たちは、家族を国に残してどこへ行くのか」。兵士のひとりが、自分のチンボルをあらわにして、こう答えたそうな。「コレさえあれば、どこへ行っても家族を作れる」、と。
 ヘロドトスによくある、単なるエロ話だと思っていたが、これにはもっと深い意味があるのかもしれない。古代エジプトのファラオは、単なる王様ではなかった。神にも等しい至高の存在だった。彼に相対するには、言葉だけでは足りない。チンボルも出さなければならなかった。つまり、チンボルを出すという行為は、一種の「対抗魔術」だったのではないか。

 このエピソードは、われわれ日本人にも無縁ではない。全国の神社が厳重に保管しているご神体のほとんどは、男性器のカタチをした石(ごチン体)だという事実がある。

 「神は死んだ」のかもしれないが、どっこい、「亀は生きている」のにゃ。
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