富谷教会ホームページ・礼拝説教

富谷教会は宗教法人の教会です。教会は礼拝室と二つの茶室からなる和風の教会です。ゴルフ場に接する自然豊かな環境にあります。

 「真の癒しの神・救い主イエス」 ヨハネによる福音書5章1~9節

2020-05-03 11:10:46 | キリスト教
      ↑ モーセが荒れ野で上げた蛇
〒981-3302宮城県富谷市三ノ関坂ノ下120番地12 TEL:022-358-1380・FAX:022-358-1403
                   日本福音教団 富 谷 教 会     週  報
       復活節第四主日 2020年5月3日(日)      午後5時~5時50分
年間標語「キリストのからだである教会のために、おのおのは分に応じて働い体  を成長させ、自ら愛によって造り上げられてゆこう。」(エフェソ4・16)
聖 句 「御父が、その霊により力をもって、あなたがたの心の内にキリストを住ま
わせ、あなたがたを愛に根ざし、愛にしっかりと立つ者としてくださるように。」                       
                         (エフェソ3・16-17)
                            礼 拝 順 序
前 奏             奏楽 辺見トモ子姉
讃美歌(21) 206(七日の旅路)
交読詩編  103(わたしの魂よ、主をたたえよ)
主の祈り   93-5、A
使徒信条   93-4、A
司会者の祈り
聖 書(新共同訳)ヨハネによる福音書5章1~9節(p.171) 
説 教   「真の癒しの神・救い主イエス」
祈 祷                 辺見宗邦牧師                
讃美歌(21) 531(主イエスこそわが望み)
献 金
感謝祈祷              
頌 栄(21)  27(父・子・聖霊の)
祝 祷             
後 奏
        次週礼拝 5月10日(日)  午後5時~5時50分  
        聖 書 ヨハネによる福音書21章15~25節
        説教題 「あなたはこの人たち以上にわたしを愛しているか」 
        讃美歌(21) 327 483 24 交読詩篇 116
  
    本日の聖書 ヨハネによる福音書5章1~9節
 1その後、ユダヤ人の祭りがあったので、イエスはエルサレムに上られた。2エルサレムには羊の門の傍らに、ヘブライ語で「ベトザタ」と呼ばれる池があり、そこには五つの回廊があった。3この回廊には、病気の人、目の見えない人、足の不自由な人、体の麻痺した人などが、大勢横たわっていた。4*彼らは、水が動くのを待っていた。それは、主の使いがときどき池に降りて来て、水が動くことがあり、水が動いたとき、真っ先に水に入る者は、どんな病気にかかっていても、いやされたからである。さて、そこに三十八年も病気で苦しんでいる人がいた。6イエスは、その人が横たわっているのを見、また、もう長い間病気であるのを知って、「良くなりたいか」と言われた。7病人は答えた。「主よ、水が動くとき、わたしを池の中に入れてくれる人がいないのです。わたしが行くうちに、ほかの人が先に降りて行くのです。」8イエスは言われた。「起き上がりなさい。床を担いで歩きなさい。」9すると、その人はすぐに良くなって、床を担いで歩きだした。その日は安息日であった。
        
         本日の説教
コロナウイルスの問題で、世界保健機関(World Health Organzation)のテドロス事務局長とともに、WHOの旗がテレビに現われます。国連のシンボルマークの真ん中に棒のようなものに巻きついた蛇が描かれているのにお気づきでしょうか。 
     
            世界保健機関                     国際連合    
 
 「国際連合」の旗は、北極を中心にした世界地図を、平和の象徴であるオリーブの葉で囲んだものです。「世界保健機関」の旗は、国際連合の旗の真ん中に、蛇の巻き付いている棒のようなものがあります。これはギリシア神話の医学の神アスクレピオスの杖です。
 アスクレピオス神は、ギリシア神話の主神ゼウスの子アポロンの子です。アスクレピオスは、医神として医学の象徴的存在となっているのです。アスクレピオス神殿には医療施設があり、極めてすぐれた医療が行われていました。キリスト教が普及した五世紀半ばには消滅したが、アスクレピオスの医療は医学の進歩に貢献したので、アスクレピオスとその杖が医学のシンボルになりました。
       
  ギリシャのエピダウロスにある「アバトン(聖なる場所)」 
  ここで受けたお告げにより治療が行われた。 
        
    アスクレピオスの座像 アスクレピオスの杖
    杖には蛇が巻き付いています。常に蛇をともなって病気治療に従事した
    と言われています。
今日もアスクレピオスの杖は、医療・医術の象徴として世界的に用いられています。世界保健機関(WHO)の旗にも、日本の救急車や、薬剤関係の会社名等にもアスクレピオスの杖と蛇のマークが用いられています。
          
    「アスクレピオスの杖」のマークが入った「スター・オブ・ライフ」
    六本の柱は、1(覚知)2(通報)3(出場)4(現場手当)5(搬送中手当)
    6(医療機関への引き渡し)を表しています。
世界中で救急医療のシンボルマークになっているのは、スター・オブ・ライフ(命の星)です。
ヨハネによる福音書5章1-9節によると、主イエスがベトザタの池の回廊で、38年も病で苦しんでいる人を癒しました。
このベトザタの池の考古学上の発掘が1878~1932に行われました。
 
  
 
発掘された回廊には水浴中の婦人像や蛇の彫刻などの断片が出土しました。また神殿跡や治療入浴施設跡を発見しました。神殿跡の表示板には「ASCLEPIAN TEMPLE(アスクレピオス神殿)」と書かれています。一世紀の時代に、ここにギリシア神話の医学の神、アスクレピオスの神殿が建っていて、病人が治療に来ていたことが分かったのです(関谷定夫著「聖都エルサレム5000年の歴史」)。これは、ローマ時代には、エルサレムでもアスクレピオス信仰が広まっており、ベセスダの池は、もはや、ユダヤの神殿用の池ではなく、異教の治療に供する池となっていたことを意味しています。
ヨハネによる福音書の病人を癒す主イエスについて読んでまいりましょう。
主イエスはエルサレムに行き、巡礼者が神殿の丘に入る前に沐浴(もくよく)するベトザタの池に行きました。ベトザタは、エルサレムの羊の門の近くにあった池です。   
             
   「羊の門」は、ネヘミヤが補修再建したエルサレム第二神殿と12の城門の一つ。
 
ベトザタには、多くの病人たちがいました。ベトザタの池の<ベトザタ>とは、「オリーブの木の家」という意味のことばです。口語訳聖書で使われていた<ベテスダ>は「憐れみの家」を意味することばです。「憐れみの家」は、イ
エスの奇跡的行為の行われる場所にふさわしい名称として後からつけられた名と思われます。      
              
  イスラエル博物館にあるヘロデ神殿模型の中のベテ須田の池の回廊です。
羊の門の名は、神殿に捧げる羊を運び入れる門で、この羊を洗浄するための池が、ベトザタの池の最初でした。その当時は池の名も「羊の池」と呼ばれていたようです。この池は、その後、神殿とエルサレム市内に大量の水を供給する必要から、大規模な雨水を集める貯水槽になりました。貯水槽の周りに回廊を造ったのは、ヘロデ大王です。回廊というのは、屋根付きの廊下のことです。
ベトザタの池の回廊には、病気の人、目の見えない人、足の不自由な人、体の麻痺した人などが、大勢横たわっていました。彼らは、水の動くのを待っていました。それは、主の使いがときどき池に降りて来て、水が動くことがあり、水が動いたとき、真っ先に水に入る者は、どんな病気にかかっていても、最初に入ったものは、奇跡的に癒されると言われていたからです。
この回廊に、38年も病で苦しんでいる人が横になっていました。その人を見たイエスは、こう語りかけます。「良くな
りたいか」、原文では「あなたは健康になることを願うか」です。しかし、この人は「よくなりたいです」と答えず、「主よ、水が動くとき、わたしを池の中に入れてくれる人がいないのです。わたしが行くうちに、ほかの人が先に降りて行くのです (7節)」と答えています。
    
  自分の病気が治らないのは、ほかの人が誰も自分のために何もしてくれないからだ、と言ったのです。この言葉は、半ばあきらめて、本気でよくなりたいという意志がほとんどなかったことを表しています。
イエスの質問は、この「治りたい」という意志を取り戻すための言葉でした。本気でよくなりたいという意志を取り戻したこの病人に、イエスは「起き上がりなさい。床を担いで歩きなさい」と言われました。
「すると、その人はすぐに良くなって、床を担いで歩きだし」ました。イエスは、本気でよくなりたいという意志を取り戻した病人に、イエスの言葉を信じて立つことを命じたのです。信仰は、イエスの言葉を信じて立ち上がり、歩み出すことです。
その後、イエスはこの人に出会って、「あなたは良くなったのだ。もう、罪を犯してはいけない。さもないと、もっと悪いことが起こるかもしれない」と言われました。この病人の場合、病気の原因は、この人の罪によるものでした。<もう、罪を犯してはいけない>と言われた主イエスのお言葉がそのことを示しています。
主イエスは、彼に病気の原因である罪を示すことによって、彼の罪が赦されたことを教え、身体の癒しだけでなく、罪の支配から解放される救いをも与えられたのです。
異教神殿化されたベトザタの池で、イエスが病人を癒したのは、ローマ帝国の支配する世界で、絶大な勢力を誇っていたアスクレピオス以上に強力な真の治癒神であり救い主であるイエス・キリストが現れたことを示しています。これ以後、アスクレピオス信仰は次第に衰微し、消えていきます。
この池の上にキリスト教の聖堂・聖アンナ教会が建てられました。
「アクレピオスの杖」の蛇は、民数記21章4~9節の物語に出てくる蛇を連想させます。して、聖書的に解釈することができます。エジプトで奴隷状態であったイスラエルの民は、モーセに導かれてエジプトを脱出しました。の民は約束の地カナンにたどり着くまで40年もかかりました。そのためイスラエルの民の喜びは、やがて不満の声となって神に向けられます。怒った神は人々に炎の蛇を送ったので、多くの死者が出ました。民はモーセのもとに来て、「わたしたちは主とあなたを非難して罪を犯しました。主に祈って、私たちから蛇を取り除いてください」と言いました。そこでモーセは民のために神に祈りました。主はモーセに、「あなたは炎の蛇を造り、旗竿の先に掲げよ。蛇にかまれた者がそれを見上げれば、命は得る」と言われました。モーセは青銅で蛇を造り、旗竿の先に掲げました。「蛇が人をかんでも、その人が青銅の蛇を仰ぐと、命を得た。」とあります。
    
ヨハネによる福音書第3章の13節 以下によると、主イエスは、「モーセが荒れ野で蛇を上げたように、人の子も上げられねばならない。それは、信じる者が皆、人の子によって永遠の命を得るためである」と言われています。このようにモーセが掲げた青銅の蛇は、主イエス・キリストの十字架の死を予告し、指し示すものでした。
主イエスは「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である」(マタイ9:12)と言われました。病人のための医療や医者の必要を認めています。医学や医療による身体や心の癒しは必要です。今、新型コロナウイルスの治療薬やワクチンの開発を、世界中の製薬会社や研究所施設が急ピッチで進めています。一日も早く治療薬が出来ることを祈り求めましょう。医療や医薬による科学的な癒しだけではなく、宗教的な癒し・キリストの福音による癒しによる全人的な癒しによって初めて真の医療がなされます。主イエスは、「ありとあらゆる病気や患いをいやされた」神の子です。病の癒しだけでなく、「罪と言う死に至る病」も癒し、救ってくださる、医神アスクレピオスを超えた真の神であることを人々に伝えなければなりません。
 
 
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