「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

稲架立つる音にふくるる水面かな 鴨 睦子 「滝」1月号<渓流集>

2011-01-17 06:04:37 | 日記
 最近はコンバインという、稲を刈って脱穀するところまで
する機械が多く使われるようになり、稲架はほとんど見かけ
なくなった。バインダーという稲を刈るだけの機械を使って
いた頃は、稲架はいろいろなものがあった。揚句は「立つる」
なので、稲杭と呼ばれる物を立てているところだろうか。稲
杭は、稲刈りが始まる前の作業で、立てやすく抜きやすい土
の状態を選んで立てると聞いたことがある。さしやすい柔ら
かな土の日に立てると、深くささりすぎ抜くときに大変で、
土が乾きすぎていれば大型の槌を使って立てなければならな
いのだ。その「立つる音」に水面が膨れるという。なんだか
水が収穫の期待に胸を張っているように思えてくる。そう言
えば猛暑であった。田水の管理が収穫に与える影響は大きい。
丹精込めて育てた稲の黄金色の風が稲杭を立てる音と共に見
えてくるようだ。(H)

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