「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

日盛の無音の放つ響きかな 石母田星人

2021-08-06 04:08:37 | 日記
日盛は人間も動物も暑さにじっと耐える時間帯。静かで時間が止まったような感じがすることがある。「ギラギラと太陽が照り付ける」そんな言葉を何の疑問も持たずに夏の太陽に対する視覚表現として使ってきたが「無音の放つ響き」は聴覚表現で、「無音が響くか?」と脳内パニックになった。かなり無理やりだが「ギラギラギラギラギラギラギラギラ・・・」が、周期的に繰り返される同じ波形の振動の一循環と思えば「響く」もあり得るかもしれず、放っているのは太陽ということになると思うことにした。そういえばNASAが太陽から発生するプラズマ波を「特殊な機械」で音にした。音は真空を通過しないが、太陽から出る電磁波などの「音ではない波」を、聞こえる周波数に変換した上で音としたと書いてあった。作者の俳句聴力とNASAの特殊な機械は同一なのだなあと思ってパニックを納める事にする。『ああ、こんな写生句が詠めるようになりたい』(博子)