「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

アネモネが大好き悪い音楽も 成田一子

2019-05-12 05:14:07 | 日記
ふう~ん、アネモネが好きなんだ~。でも<悪い音楽>ってなに?。そして、私の目の中いっぱいにアネモネの赤い花びらと、黒い蕊がクローズアップされたところで映像が止まっている。その黒から「悪い音楽」と言う抽象的な言葉。「大好き」とは、個人の想いなので、その理由を知ってほしい訳ではないのだろう。しかし、読み手は分かろうとする。私もそんな読み手として、「悪い音楽も」は、「敬遠する人もいる音楽も」くらいの意味を持たせたかと、嘗てエレキギターを持っているだけで不良呼ばわりされた時代があったことを思い出した。作者はButter Queenというヘヴィメタバンドでボーカルをしている。最近、懺悔の赤犬というフォークユニットのコンサートでも歌っている。フェイスブックから視聴できるので、是非見て欲しい。要するに作者は、好きな花(季語)に託して、「俳句も音楽も大好きよ」と、声を張っている。俳句は物で語らせる。映像が見えるように詠むと指導されるので、難色を示す人もいるかと思うが、菅原鬨也前主宰から、私の句で申し訳ないのですが「文脈をつなぐ郭公こだまかな 佐々木博子」に「景を持たないが良い句」と評を頂いた。例会で互選が入らないばかりか、「かえって書けなくなりそうだと」という意見もあった。詠む自由、読む自由、感じる自由という事を思った句だったし、主人のエレキギター、ベースギター、アンプ、ミキサーが使われずにある40年あまりを思った句でもあった。(博子)