ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

ルイジアナ・レッド 安らかに

2012-03-05 23:45:21 | ブルース
2月25日、ドイツの病院で亡くなられたルイジアナ・レッド。享年79歳。また一人、偉大なブルースマンが亡くなられてしまいました。


American Folk Blues Festival 1983 feat. Louisiana Red


こちらの映像は83年にドイツで行なわれた「American Folk Blues Festival」の一場面のようです。ジミー・ロジャーズ(g)、キャリー・ベル(harp)を従えての勇姿。豪快な歌い口などが特にマディ・ウォーターズの影響が濃いとよく言われる人ですが、声質自体はしゃがれた個性的な声の持ち主。またこの映像では使ってないですが、ボトル・ネック奏法でのミシシッピ・スタイルも泥臭く味わい深いです。

また、この83年には「Blues Music Awards」(「W.C. Handy Awards」として知られるブルース界で最も権威のある賞。83年はその第4回で「Annual Blues Awards」と呼ばれていました)において「Traditional Blues Male Artist」部門を受賞しています。

ところで、“ルイジアナ・レッド”というのはもちろん芸名なんですが、特にルイジアナ生まれという訳でもなく、ルイジアナをベースに活動していた訳でもないようです。生まれはアラバマ州ベッセマー(ミシシッピー州ヴィックスバーグという説も)。生後間もなく母を肺炎で亡くし、5歳の時に父をクー・クラックス・クランに殺されてしまうという、辛い幼少期を過ごしたそうです。

10代の頃からミュージシャンとして活動し、ロッキー・フラー、クライン・レッド、プレイ・ボーイ・フラー、ギター・レッド、エルモア・ジェイムズ・Jr などなど、色々な芸名を駆使してブルース界を渡り歩いていたようです。50年代にはデトロイトでジョン・リー・フッカーのバックも務めていたとか。

ルイジアナ・レッドと名前を定めてからのアルバム・リリース数は半端無く、WIKIには63年の「LOWDOWN BACK PORCH BLUES」を皮切りに、ライヴ盤も含めて50作近い作品名が並んでます。現役ブルースマンとしての計り知れない創作意欲、演奏意欲を感じさせられずに居られません。2011年にも「Memphis Mojo」という作品をリリースしていたようです。残念ながら私は未聴なんですけどね…。

キラ星の如くスターが割拠してきたブルース界において、必ずしもメジャーな存在ではなかったかもしれませんが、そのブルース史に確かな足跡を残したルイジアナ・レッド。また一人、巨星が堕ちてしまいました。

ルイジアナ・レッドさん、安らかに。


LOUISIANA RED / LOUISIANA RED SINGS THE BLUES
こちらは72年リリースの「LOUISIANA RED SINGS THE BLUES」。12曲中およそ半数が彼のオリジナル曲で、「The Story Of Louisiana Red」や、「I Am Louisiana Red」など、自分のことを歌ったブルースが耳を惹きます。さらに 若い頃にエルモア・ジェイムズ・Jrと名乗っていたことを伺わせる3連スライド・フレーズが炸裂する「Freight Train To Ride」や、JB曲「I'll Go Crazy」スタイルの「Some Day」もエグ味があって格好良い!カヴァー曲では「Rollin' Stone」あたりのパワフルな歌唱でマディー・フォロワーとしての面目躍如な迫力を感じさせてくれます。