ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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レオン・ラッセル@ビルボードライヴ東京

2012-03-09 13:42:14 | ルーツ・ロック
3月7日、ビルボードライヴ東京にて、レオン・ラッセルを観てまいりました。私が観たのはこの日の2ndショー。

ご存知、LA・スワンプ・ロックの親玉、レオン・ラッセル。私が生で観るのは前回の来日(2008年)に続いて2度目です。とは言え今回はチケット買ってないんです。実はビルボードさんから招待券を頂いて観に行ったんです。なので席はステージフロアの割と後ろの方。ですが招待ですから贅沢は言えませんよね~。もちろん招待とは言え大好きなレオン・ラッセルですから、気合い入れて観てきましたよ!

ほぼ開演時間ぴったりにバンド・メンバーが登場。クリス・シモンズ(g)、ジャッキー・ウェッセル(b)、ボー・シャロン(g,key,etc.)、ブランドン・ホルダー(ds)の4人。クリスとジャッキーは08年の来日時にも居たメンバーですね。そしてレオン・ラッセルが杖をつきながらステージへ。相変わらず仙人風の立派な髭を蓄え、真っ白なハットとサングラス、ウエスタン調のジャケットを着ている。キーボードの前に座り歌い始めたのが「Delta Lady」。いきなり1stアルバム収録のスワンプ名曲からスタート。妖気を含んだダミ声は紛れもないレオンの声。もちろん若い頃のような押しの強い迫力は薄れましたが、幾分まろやかさと渋みが加わったその歌声には、レジェンドとしての深みと重みが感じられました。もちろん鍵盤も快調!

そして「Roll In My Sweet Baby's Arms」。73年のカントリー作「HANK WILSONS BACK」の冒頭を飾ったカントリー/ブルーグラスの名曲。瑞々しい南部ノリを聴かせるバンドの演奏とレオンの鍵盤のタッチは、ゴスペル的な躍動感。あと序盤で印象的だったのは75年作「WILL O' THE WISP」収録の名バラード「Lady Blue」とか、コーラスの掛け合いがノリノリなチャック・ウィリス曲「Kansas City Woman」など。そしていつしかレオンはジャケットを脱ぎ、アロハっぽいシャツ姿に。

ベーシスト、ジャッキー・ウェッセルが軽快に歌ったサム・クックの「Good Times」も素敵でしたが、それと切れ目無くスワンプ名曲「Dixie Lullaby」に続く展開が秀逸。そしてジミー・リードの「Baby What You Want Me to Do」。色々な人がカヴァーしている大名曲ですが、レオンのヴァージョンはブギウギ調のアップテンポで格好良い! 思わず一緒に「イェー!イェー!イェー!」と歌いたくなっちゃいました。ですが観客達はわりと大人しめな印象…、と言うよりレオン節にじっくり酔いしれてる感じでしょうか。

中盤で印象的だったのは、哀愁のミドル・ナンバー「Back to the Island」。これも「WILL O' THE WISP」収録の名曲。クリス・シモンズとボー・シャロンによるツイン・ギターのハモリが美しかったですね。そしてフォーキーにアレンジされたローリング・ストーンズ曲「Wild Horses」、さらに南部ロックなノリでボブ・ディラン曲「A Hard Rain's A-Gonna Fall」と続く。この辺のごった煮感は堪らないものがありましたね。さらに大名曲「Hummingbird」からビートルズの「I've Just Seen A Face」と続きましたから!

08年の来日時には盲目の素晴らしいオルガン奏者がいらっしゃったのですが、今回はその人に変わってマルチ・プレイヤーのボー・シャロンが陰ながらに大活躍。曲によってギターを弾いたり、ラップスティールを弾いたり、キーボード/オルガンを弾いたりと、各々の楽曲に多彩な色合いを加えていました。例えば「A Hard Rain's A-Gonna Fall」ではクリス・シモンズと共にツインでボトル・ネック・ギターをギュンギュン言わせたり、「I've Just Seen A Face」では華麗なマンドリン・ソロも披露していました。それにしても「I've Just Seen A Face」のスピード感たっぷりなカントリー・テイストは最高でしたね!

レイ・チャールズであまりにも有名な「Georgia On My Mind」、さらに自身の大ヒット曲「Tight Rope」と続けば、そこはもう極上タイムな感じ。さらに「Prince Of Peace」。1st作収録曲になると一気にスワンプ色が上がります。そして切れ目無しに「Out In The Woods」へ。72年のソロ3作目「CARNEY」収録曲ですが、もっとテンポを上げてゴスペル的なノリで。このノリがまた堪らなくスワンプ・ロックで格好良い!!

ステージも終盤に差し掛かり、待ってましたのクリス・シモンズのソロ・タイム。前回の来日でも印象的だったエレキ・ギター弾き語りによるロバート・ジョンソン「Walking Blues」。フィンガー・ピッキング&スライド使いも鮮やかにどっぷりと聴かせてくれました。キレのある歌声もなかなか。この曲に限らず、全編で彼の存在は光ってましたね。ブルージー且つロッキンな荒さを感じさせる彼のギターが、バンド全体のグルーヴを引っ張っていたように思います。帽子を被った背の高いビジュアルも良い感じでしたしね。

さて、まるでディープなブルース・クラブにでも居るような錯覚に陥りそうだったクリスの弾き語り。そしてそれを引き継ぐように始まったのが、今度はレオンの鍵盤弾き語りによる「A Song For You」。これは“キター!”って感じですよね。やっぱりこれを聴かずには帰れませんよ。昔のギラついた歌い口とはまた違う、現在のレオンならではの味わいながら、レオン・ラッセル以外の何者でもない生「A Song For You」。何度も聴いた曲ですが、やっぱり生で聴くと違いますね。あの流麗な鍵盤のタッチにもうっとり。ピアノの音色の他にストリングスが鳴っていたのも印象的でした。

名曲にうっとりとした後はローリング・ストーンズの「Jumpin' Jack Flash」で一気にクライマックスへ。あのバングラディッシュ・コンサートを思い出す選曲に嬉しくなりましたね。観客達も流石に興奮を隠せない感じで、立ち上がりこそしないものの、各々座りながら踊ってる感じ。曲はメドレーで「Papa Was A Rolling Stone」から「Paint It Black」へ繋がり、最後は「Kansas City」でもうノリノリ。この「Kansas City」もリーバー&ストーラーのあれなんですけど、やはりレオンならではのノリに料理されてましてめちゃくちゃ格好良い! そしてラストは駄目押しの「Roll Over Beethoven」。これもレオンの十八番ですよね。キレの良いクリスのギターも格好良かった!

スタンディング・オベーションに応えるような仕草を見せながらステージを去っていくレオン。杖をつきながらステージを降りる姿はちょっぴり心配になりましたが、それでもまだまだ元気。時間的には1時間15分ぐらいでしたかね?短いと言えば短いですが、MC無しで飛ばしまくって20曲以上ですから!凄いですよ。しかも1日2ステージですからね。自身の名曲と多彩なカヴァーを交え、ロック、ブルース、ソウル、カントリー、ゴスペル、なんでもありなロックン・ロール絵巻。レオンの濃密な音楽人生が感じられる、これぞスワンプ・ロックなステージでした!




CHRIS SIMMONS / HALLELUJAH MAN
こちらは会場で買ったクリス・シモンズのセルフ・プロデュースによるソロ・アルバムで、2011年作のようです。クリスの歌とギターがたっぷり堪能出来るブルース・ロック。大半がクリスのオリジナル曲で締められ、彼のコンポーザーとしての魅力も味わえます。レオン・ラッセルとの共作も1曲有り。そしてそんなオリジナルに加えロバート・ジョンソン「Walking Blues」も入ってます。