アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

スーパー歌舞伎 ヤマトタケル 第2幕

2012年07月07日 | 歌舞伎

→ 第1幕

さあ、お客の五感はフル稼働っっ!!

「視覚美」が圧巻~!!
衣装もさることながら、
背景やセットもドンドン変わるし照明も変化するする。
嗚呼、楽しぃぃ♪

「聴覚美」も充実~!!
音楽は、西洋楽器と東洋楽器のミックスに、
てこずったんだってね。
琵琶・尺八・笛・三味線・琴・太鼓他
あらゆる和楽器&オーケストラ&つけ打ち&鳴り物。
いやー気持ちイイぃ♪

スーパー歌舞伎
三代猿之助 四十八撰の内 ヤマトタケル

第2幕 
第一場 大和の国 - 聖宮
これで父の許しを得られるだろうと、
ルンルンで帰国したタケル(猿之助)を待っていたものは…。

今じゃぁ大和の国は皇后(門之助)の思いのまま。
帝(中車)は褒美に
「最も美しい花と最も大きなものを与えよう」
この台詞、なんだか脳内にこびりついてて
時々、独りで言ったりする私って…。

美しい花とは、
明石の浜でタケルに突撃した兄橘姫(えひめ)(笑也)。
大きなものとは、東国のこと。
「え!でも蝦夷の民がいますけど…」
タケルは反論してみたんだけどねぇ。

「熊襲と同じことすればいいだけさ」
あっさり答えて息子の顔を見ようともしない…。
嗚呼、胸が痛い…って感覚が今回は無い…ぃ。

第二場 伊勢の大宮
あたふたと挙式を終えて三日後には伊勢の神宮へ…。
叔母の倭姫(笑三郎)&弟橘姫(春猿)は、
タケルのことで意見したばっかりに、こんな所へ追放されたのヨぉぉお。

傷心を抱えたまま到着したタケル。
「父上は私に死ねと言うのです。何処の国の何処の親が
我が子にそんな事を望むでしょう」
タケルはただ父に愛されたいだけなのに…。

四代目猿之助のヤマトタケルは…
ストレ-トプレイ調の台詞回しが多くて、
もそっと歌舞伎調で演ってくれないかなぁ。
なんて思ってしまったりなんかして…。
この場面も、だからこそなんだけど
とっても自然に伯母上の胸で泣いちゃうんだぁ。
Newタケルは、ドッサリ悲しみを引っ提げてる人。
そう見えて仕方が無ぁい。

叔母がそんなタケルを慰める。
年上の女を演らせたら一門の中で右に出る者な~し!
笑三郎行きま~す。
「強い者ほどいじめにあうもの。大きな風を受けるものです」
笑三郎、母性愛の見せ所。ほとんど1人で喋ってるぞい。
嗚呼ぁああ。何度観ても笑三郎ステキぃぃぃい♪♪
ちょっとした台詞で笑いを取ってるところもツボ♪

ヤマトタケルに、
伊勢の神宝「天の村雲の剣(後の草薙の剣)」と
願いが叶う不思議の袋を授けたの。
「この剣を決して離してはなりませんよ」
この後の展開を暗示する一言。伏線。伏線ー。

第三場 焼津
和太鼓の音。
祭壇のセットがセリ下がると共に、
バックには、デッケー富士山が!
この交差はまさに”JAPAN”。お見事っ!

セリ上がって、その富士を眺めるポーズ。
後ろ向きの2人こそ…。

キターキタキター!!右近ッッ!!

実はねぇなんだかねぇ。
右近が出てきてやっとこさ心が落ち着くのよぉ。
澤瀉屋カラーがバ~ンと出たぁ。そう思ってしまうんですわい。
めっちゃくっちゃ嬉しいんですわい♪
それは不思議と何度観ても変わらないんですわい。
New猿之助は、”澤瀉屋グループ”の中だけで
生きて来たわけじゃないから、あんまり感じられないのかもね。

旅のお供に帝が付けてくれた従者は、
吉備の人間。名はタケヒコ(右近
大和になびいていない国だから何やら裏があるのかしらん…。
タケヒコは言う
「帝は2人とも死んでくれればイイと願っているはず」
Wタケがナーバスになっているところへ…

「タケルさま恋しぃぃ」弟橘姫が追ってきた。
ヒシッと抱き合う2人…!!嗚呼、またしても
ヅカチックぅ♪
この後の場面で手まで繋ぐんだよなぁ。
ますますヅカチックぅ♪
ほんま、男同士やのに、こういうポーズに胸キュン♪
いつもの歌舞伎じゃぁ感じなぁい。心がポッポポッポ♪

「これで旅が楽しくなるね!」そう言うタケルに
「お前だけじゃい!」と突っ込むタケヒコ。
もう立派なお友達同士♪旅は道連れ世は情け。ってね。
同じ釜の飯を食っていると互いに親しくなるものなのさぁ。
こうやって、
右近と四代目猿之助にも絆が生まれるんだろう。
澤瀉屋一門を盛り立ててねぇええ。

とっとことっとこ東へ歩く3人組の前に、
相模の人間が「悪い神を退治して欲しい」とやって来る。

キタキタキター!お約束のスペクタクル!
イッツァ・ショー・タ~イム!!
現場に急行していると、急に火の手があがったのだ~!
火だから赤ね!
赤い布をはためかす大群がビューティー♪

3人は火の海の中にっっ!絶体絶命大!
伯母から貰った袋から出てきたのは火打石!
お客さん、ここで笑っちゃぁいけませんぜ。
「後から点けた火の勢いが勝るんだヨ。」

火には火をっ!赤が増えたゾー!
このマスゲームは北朝鮮も敵うまぁい。
その中には、京劇院所属メンバーが!!
もう人間技じゃないですばい!
クルクルクルクルバク転しまくりですばい!
ヨカーヨカーヨカですばい!血沸き肉踊りますばい!
客席から「ホー!」「ワー!」「オー!」賞賛の声が!
拍手、拍手、また拍手!行け行け!チャイニーズパワー!!
これよこれこれ。このスペクタクル!この興奮!
やっぱり『スーパー歌舞伎』なのだ♪

音楽は、センターに立つ人物の心情を表現してるゾ。
って4年前に観た時、書いてるのに…
今回は耳に入って来ないのよぉ。
なんでかっていうと、
右近の旗振り芸にズ~ムインしてっからぁぁあ。
カッケェッェエエエ!!!
勿論、見得も切る切る、切っちゃってるわよ~Wタケぇぇえ。
もー客席も完全に入り込んでるっ。手に汗握るっ!
「剣に願いをー!火の御神様ー!」
レーザー光線のだんまり!!つけ打ち叩きまくりッ!!

罠を仕掛けたのは蝦夷(えみし)の民。
「大地と共に暮らしてきた。
なのに、大和が持ってきた鉄と米で、
それを封じ込められてしまった。
我らは”心”を宝にして生きてきただけなのに。」

ジ~ンとくるよね…。
ヤマトタケルも大和の国も正義ではない。
ただの侵略者なのだと…。

そういう兄弟を、ヤマトタケルはブッ殺して火葬する。
でも、どうしても晴れやかな気持ちになれない
「我らの運命も火だ。火のように燃え…煙と消える…」
ここもNew猿之助はアッサリ言うんだよねぇ。
…でも寂しそうだ。

仲間がもう1人増えたよ。
タケルを慕ってきた蝦夷の少年ヘタルベ(弘太郎)。

第四場 走水の海上
ここの音楽の主旋律は太棹三味線っ。
作曲は鶴澤清治ってことは…キョワァァアア!!
文楽っ!!

次は海ー!!ところが大嵐ー!!
占い師によると
「一番大切なものを生贄に捧げる」んだと…。
「そーすれば海の神はお静まり下さる」んだと…。
ハイッ!立候補したのは弟橘姫(おとひめ)。
「正妻は姉だから、皇后にはなれない。
だから、海の神の皇后になりますっ!」
ここで注文を一つ!
「高貴な位に相応しい畳を、たっくさん海に敷いて下さい」
行かせまいとするタケルを振り切り
「畳を~畳を~」と叫ぶオト姫。

三味線・笛・鼓の音色が切ない…ぃ。
オト姫の気持ちが切ない…ぃ。
皆は泣きながら放りこむ…スルスルと海に落ちる畳…。

「オト姫ー!」
タケルが後ろから抱きつきながら、
衣装剥ぎ取る!!糸を引っぱる!!
主役が後見もやる『スーパー歌舞伎』!
ここ、ここ、ここ大好きなんだぁああ♪♪
新猿之助も上手にやってまっせぇええ。
ガバッ!!と引き抜き春猿。
ザブーンッと飛び込み、波にのまれて流され流され…
海の藻屑と消えました…。合掌。
浪布の華麗な動き!アッパレじゃ!畳もプカプカ~。

船上で号泣するヤマトタケル!
「私は何を求めてこんな事をしているのか。
最も大切なものを失のうてまで」
タケルの悲しみが劇場を突き刺すっ。
3回目に観た時、なんでかここにドップリハマって、
大泣きぃぃいいい。

三代目が市川猿之助創造した
3S<Speed Story Spectacle>が今ここにっっ!!

以前、右近段治郎(現:月乃助)がWキャストで演った時は、
スーパー歌舞伎を”大歌舞伎”として支えてきた、
”血を持つ人々”段四郎・歌六・亀治郎達のバックアップがなかった。
あの時も、この作品は全然ブレなかったんだ。
それだけ、シナリオと演出が鋼の様に頑丈だということ。
いってみれば芯柱。
法隆寺の五重塔のように、どんな天災にも倒れない。
『ヤマトタケル』は、
来世紀までも、綿々と受け継がれて行くことを立証したんだ。
そうして2012年
四代目猿之助がトップになってスーパ歌舞伎も進化する。

→ つづく

平成24年6月5日~29日、7月4日~29日
新橋演舞場
小碓命後にヤマトタケル/大碓命  亀治郎改め猿之助
帝           中車
タケヒコ        右近
ワカタケル      初舞台 團子
兄橘姫/みやず姫   笑也
弟橘姫         春猿
老大臣         寿猿
ヘタルベ       弘太郎
帝の使者      月乃助
倭姫            笑三郎
熊襲弟タケル/ヤイラム  猿弥
尾張の国造       竹三郎
皇后/姥神       門之助
熊襲兄タケル/山神    弥十郎 

ヤマトタケル 一幕 二幕 三幕 (2012.7.6~8記)
また台風!しかもヤマトタケルで! (2012.6.23記)
襲名するということ (2012.6.20記)
ヤマトタケル 衝撃の祝幕 (2012.6.15記) 
ヤマトタケルに魂抜かれたぁあああ!! (2012.6.14記)
澤瀉屋襲名披露 7月チケットも大旋風!! (2012.6.12記)
澤瀉屋襲名披露6月チケット大旋風!! (2012.5.12記)


2 コメント

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ありがとう (宮山)
2012-07-07 11:48:03
あっぱれさんこんにちは 楽しい観劇レポートありがとうございます。読んでる私もウキウキしてきました。券はとれなかったけど満足満足 あちこちの劇評をみていると団子ちゃん恐るべしとありました。どうでしたか?私は浜木綿子さんの気持ちを思ってなんだか涙がでてきてしまいました。無事7月を乗り切ってくれることを祈っています。
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団子ちゃん (かしまし娘)
2012-07-07 13:14:23
宮山様
長文なのに読んで下さって有難うございます
チケットは今でもガンガン発売中ですよ。安い席も。ただ、毎日ちょぼちょぼ出るのがたまに傷(苦笑)
ワカタケルにそれまで台詞がなかったのに、今回はあるんです。しかも長いっ。
最後に叫ぶところで場内はもう大拍手!!
笑也の側に立ってる団子ちゃんの姿カワイイです。途中で右近の方に歩いて行く演出も好き。
これから一門に支えられて大きくなるんだ。って気持ちになります。
浜木綿子ってエライ人ですよね。妻として母として祖母として、色々複雑な気持ちが
入り混じっているのでしょうが…。
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