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『ちくま日本文学 泉鏡花』その1

2016年01月12日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
▼数年前から、毎年2、3度、梅や桜、紅葉の時期になると、上野は不忍あたり、ぐっと坂を上がって、湯島天神の四方から立ち入り歩き去ってきた。その度、お庭に鎮座する「国宝級」文士の碑、泉鏡花の刻印が目をひきつけた。
▼そして、還暦登山の車中や飲み会で、度々、ひなびた教室で書きなぐり、席に回っていた「エロ小説」の書き手が、西穂高岳に向かう山道の景色を、「泉鏡花の『高野聖』を読んでよ。あの摩訶不思議で恐ろしいほどの雰囲気が迫ってくるぞ」と、何度も繰り返してた。ついに先日、通勤途上、念願の名作『高野聖』(『ちくま日本文学 泉鏡花』2008年3月筑摩書房発行)を読み終えた。
▼岐阜の険しい渓谷、深い森に足を踏み入ったとき、大蛇にまとわりつかれ、蛭に血を吸われるシーンは、読んでいる身としても総毛立つほど、迫真に迫っていた。また、蟇、蝙蝠、猿は、最後にわかるのですが、婦人(おんな)に化身させられた旅の途中の男たちだった。
▼というわけで、各作品に出てくるたばこのシーンについて、恒例に従い、抜き書きをしてみました。第1回目は、『雛がたり』であり、たばこに関する文章は、次の1か所だけでした。

【13ページ】
袖形の押絵細工の箸さしから、銀の振出し、という華奢なもので、小鯛には骨が多い、柳鰈(ヤナギカレイ)のご馳走を出すと、ああ、酒と煙草は、さるにても極まりが悪い。
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