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『外資の正体』高杉良著【その5】

2016年01月01日 | O60→70(オーバー70歳)
▼新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします▼本書については、年をまたいでしましたが、今しばらくお付き合い願います。というわけで、栃木県には、世界的に知られ、哲学的言語を操るすごい経営者がいたんですね。びっくりしました▼高校生の頃、私を毎日のように励ましてくれたニーチェが出てきて、なおさら驚き、本棚に飾ってある『ニーチェ全集』を読み直そうと思いました。

【182~183ページ】
『会社蘇生』の主人公のモデル、三宅省三(中略)はなかなかにスマートで洒脱である。
小説の中での名前は宮野英一郎。
クリスチャンらしく、宮野は「困難に遭遇したときに、自分の一番優れている点を信じて最善を尽くし、それから先は人間以外のなにか、つまり神を頼る以外にない」という『チャタレイ夫人の恋人』の中の手紙を思い出しながら、次々に降りかかってくる試練を乗り越えていく。

【195~196ページ】
飯塚健さんが昭和61年1月号のTKC (前身は株式会社栃木県計算センター)会報に次のように書いています。

もっと驚いたのは、祝賀演説の第一順位がわたくしだったことです。わたくしは、ニーチェの「人間的、余りにに人間的」の中で彼が論じている人間の偉大さの定義の1つ「偉大とは人々に方向を与えることだ」という言葉を引用し、セビガー理事長はドイツ会計人に方向を与えてきたと論じ、イギリスの哲学者バートランド・ラッセルがその「社会改造の原理」と「権威と個人」との両著作の中で反覆して述べられている人間の生き様の二原型、つまり「所有への衝動」に従って生きるか、「想像への衝動」に従って生きるか、のなかで「想像への衝動」に従って生きてきた点で、彼は人類至福の生きざまを展開してきたとし、さらにヘーゲルの「精神現象論」----載っている「純粋洞察力はまたそれ自体最高の英知である」という言葉を原語で引用し、セビガー理事長は純粋洞察力の持ち主であり、さればこそ彼は、世界最大の計算センターを築きあげたのだと祝辞を結んだところ、万来の拍手もさりながら、セビガー理事長は、目にいっぱい涙を浮かべながら、感激の握手を求めてきたのでした。

[ken]『会社蘇生』は、大沢商会の再建をモデルにした経済小説です。私がまだ若かった頃、ライル&スコットなどの輸入ブランドを扱う商社として有名でした。また、私の勤務地のある田町駅西口から徒歩5分ほど、芝浦運河脇に形の変わった、とても目立つビルに大沢商会の本社がありました。現在は大沢商会ビルではなく、プラスチック成型大手のニフコ社などがテナントになっています。私のお昼休みの散歩コースですが、意外に身近なところで本書と関連する建物があるものですね。
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