息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

非行少年 ランブルフィッシュ

2013-08-19 10:15:00 | 著者名 は行
S・E・ヒントン 著

表紙からして懐かしさ爆発。
1983年に日本発売だから、日本中の学校が荒れまくったその直後くらいか。
今考えると不思議なことに、ワルっぽいことへの評価が高かったのだ。
ああ、でも今も自らの悪行を悪びれもせずネット上にさらす人はいるから、
いつの時代も同じなのか。
単に私の周囲(もちろん私を筆頭に)が低レベルだったともいえよう。

主人公・ラスティはアメリカの小さな町で暮らす。
不良仲間とつるんでいても、女の子と遊んでいても満たされない心。
いつもじりじりと何かに急かされ、何もできずに時間を持て余す。
そんな荒れる少年たちは、田舎でがんじがらめだった私には
共感できる存在であり、狭い社会の中であろうと非行という形であろうと、
エネルギーを吐き出すことができるのがうらやましかった。

小さな町というのはアットホームなだけに失敗を許さない。
一度貼られたレッテルはずっとつきまとい、たとえ一度外へ出ても
記憶は人々のあいだに残る。
ラスティたちは荒れる日々を送りながら、そんな自分の未来の暗さにも
気づいていたのだろう。

本書はフランシス・コッポラ監督により映画化された。
モノトーンで作られた映像は、少年たちの鬱屈とした心と凶暴さを描き出し、
とても印象に残っている。
ランブルフィッシュとは、よく観賞用として見かけるベタのことだ。
闘魚とも呼ばれるほどのそのぎらぎらとした闘争心が、彼らの世界に共鳴する。
映像ではこの魚だけが鮮やかな赤に彩られている。

ラスティは尊敬する兄に大きな影響を受けている。
一足先に大人の視点を手に入れた兄。
彼が色覚障害をもっていたことが、この映像のもととなっているらしい。

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