息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
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と、なんだかだらだら日常のことなども

人形の家

2012-04-25 10:48:54 | 著者名 あ行
イプセン 著

フェミニズム運動とともに語られるイプセンの代表作。

主人公・ノラは弁護士ヘルメルの妻。
豊かな暮らしと夫の深い愛情に包まれてはいたが、
その愛の性質はまるで所有物にするようなものであった。

夫の部下クロクスタに借金をしてしまったことから
ノラの運命は急転する。
父の病気のためにやむを得ない理由だったとはいえ、
それをたてに脅されたノラは、クロクスタの解雇を撤回するよう
夫に求めることになる。

結局破滅からは逃れたものの、夫の自分に対する態度が
決して対等でないことを思い知らされたノラは
独立のため、家を出る決意をする。

表面上うまくいくことと精神的に対等であることは違う。
もちろんどちらがいいと一方的にいうことはできない。
それでも“守られる性”と決めつけられていた女性が
わずかながら選択肢を見出すきっかけのひとつが本書である。

男女雇用機会均等法がスタートしたとき、私は学生だった。
そして、就職のときは一部の総合職採用が始まっていた。

本書が発表された時代からは考えられないほど女性は自由になった。
そして男性もフレキシブルになり、社会も寛容になった。
それでも、自分を抑えて生きる人、それをもとに病む人は多い。
そろそろ本当に幸せになる、という段階を迎えているのかもしれない。

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