息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

沈黙博物館

2014-11-05 10:18:04 | 著者名 あ行
小川洋子 著

“僕”は博物館技師として、ある村に赴いた。
迎えたのは少女で、彼女の養母である気難しい老婆が依頼者だった。

展示されるのは死者の遺品。
これまで老婆が収集してきた多数の品は、“僕”によって分類・整理され、
老婆に語られた来歴がつけられる。
そして、これから死ぬ人の遺品収集は“僕”によってなされることになる。

村では連続殺人事件が続いていた。
“僕”は警察から疑われ始める。

何かと世話をしてくれる庭師。
シロイワバイソンの皮を身にまとった沈黙の行者。
沼を渡る小舟。
卵細工。
見渡す限り続く墓地。

モチーフが神秘的で不思議に満ちて、なんともいえない世界観が展開していく。

最後は曖昧だ。
“僕”はなんだったのか。
なぜ帰れなくなったのか。
手紙はどうして届かないのか。
それは現実のものだったのか。

そんなことはどうでもいいのだろう。

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