息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

よもつひらさか

2011-12-11 10:54:44 | 著者名 あ行
今邑彩 著

昨日からの黄泉の国つながりで。
黄泉平坂(よもつひらさか) とは、生死の境にあるという坂道のこと。
イザナギが死者となったイザナミを追って黄泉へ行き、その姿を見て
逃げたのがこの坂。その時に大岩で道をふさいだという。

余談だが、この神話の場所といわれるところが、
あの出雲に今もあるらしい。スゴイ。

で、この作品はそのよもつひらさかをモチーフにした表題作をはじめ、
ホラーでファンタジックな12編がおさめられた短編集。

どれも奇抜な展開があるわけではなく、さらりと読めるものであるが、
一つ一つが丁寧に作りこまれており、手の込んだアクセサリーのようだ。
12編もありながら、ほとんどむらなく面白いのはさすが。
著者のもつ魅力を味わうのにはぴったりの一冊だと思う。

まず、テーマが多岐におよび著者の博識に感心する。
そしてそれぞれをよく研究し、効果的に使っている。
淡々とした文章なのにしっかり心をとらえ、いつしか恐怖を感じる。
ゆらりとゆらめくような、独特の怖さがいい。
オチも勢いよくひっくり返すというよりは、はっと息をのむ感じ。

好きな人は絶対好き。そんな作品だ。

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