息をするように本を読む

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この国。

2013-10-06 19:59:10 | 石持浅海
石持浅海 著

一党独裁の管理国家“この国”。
あきらかに現実の国をモデルにした皮肉の効いた短編集だ。

これが本当によくできている。
個人として考えるなら、さまざまな問題がありそうな“この国”であるが、
あらゆるバランスを考えると実に素晴らしい。
しかしそれを実現するためには、強大な権力をもつ治安警察の存在が必須であり、
そこには切れ者が集まることとなる。

番匠はまさにその代表と言える。
彼の視点から語られる“この国”のさまざまな顔は、驚きと怖れと、そして
あきらめを表現している。

12歳で将来が決まる、とか。今でも都市部では近いものがあるのではないの?
中学受験である程度ふるいはあるし、驚く程かなあと思った。
公的な売春なんか、なさそうでありそうなのが現実であろうし、
軍隊のぼや~んとした姿もありそうだ。それよりも公開処刑は衝撃的。
これが娯楽になる日が来たら、価値観は根本から覆るだろう。

それにしても、表現力が秀逸。とても面白く読んだ。
そう、ある意味ぞっとしながら。

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