恩田陸 著
『常野物語-光の帝国』『常野物語-蒲公英草紙』『常野物語-エンド・ゲーム』
の三部作。なのかなあ?
著者の思い入れが強いシリーズのようなので、また新作がでるのかも?
不思議な能力をもつ一族にまつわる物語。
常に野に散り、広く婚姻し、力を見せずに生きていくのが定めというなら、
もしかしたら、これは実話なのかもしれない。
そんなことを思わせる。
第一作の光の帝国では、時代も場面もまちまちな短編が集められている。
異能がおそれられ、虐げられる様子や、戦争に利用されようとするさまなど、
一族の悲しみが描かれるが、最後に現れるおだやかな宴の場面が心を癒す。
印象的だったのが「草取り」。不気味だがありそうな……。
見える見えないって一言でいうが、見ているものがみんな同じとは限らないではないか。
現に私はモスキート音が聞こえないし(いや単に歳だって)、幼児は不快で泣く。
昔だったら、空耳かキツネツキかと疑われたかもしれない。
第二作の蒲公英草紙は、ある集落の名士の家の娘が主人公の長編。
病弱で大切に育てられた娘と、まわりを囲む人々。
常野の家族が来てから始まる不思議な出来事。
やがて娘は住民を守って命を投げ出すことになる。
娘の相手をつとめる少女の視点で、のどかな春風が吹くようなやさしい文章によって語られる。
ただ、これはいわばサイドストーリー的なものだと思う。
第三作は個人的にはとても惹かれる。
特に“包まれて”行った先の空間は、なぜか懐かしくよく夢にみる光景に酷似しているからだ。
時間があるようなないような。
明るいのにくらさを感じるような。
おだやかなのに、恐ろしさを秘めているような。
そして、なぜか鳥居がある。それも巨大な。
『ネクロポリス』にも鳥居が出てくるんだよね。
恩田陸も鳥居に何かを感じるのか?
エンド・ゲームはその名の通り、おしまいなのだ。
どんでんがえしでね。
本当なのだろうか。
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