哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

輪廻の思想

2005-09-27 03:41:19 | 哲学
 先日TV「ふしぎ発見」(テーマは忘れましたが外国でした)で、古代の墓に刻まれた「復活のシンボル」は何?とのクイズがあり、答えは蛙であることを聞いて、ふと思いました。
 蛙を復活のシンボルに人々が祀り上げた理由は、地中から春になって這い出す様子が、一度死んだものが復活するように見えたからだそうです。

 仏教関連の書物等をしっかり読んだわけではありませんが、輪廻の思想はざっくり言えば、一旦死んでも他の生き物になったりして生き返り、それが未来永劫回っていくという考え、そのことが生物全般への慈愛に結びついていることが、他の宗教と比較しても優れているということでもあったと思います。
 しかしきっと古代の人は、目の前で成長→生殖→死が繰り返される生物そのものの生存形態に加え、土から復活したかのような蛙の例などを見て、素朴に輪廻の発想に至ったのではないでしょうか。

 そう考えると、輪廻の思想そのものを極端に優れたものと解するのも、ちょっとオーバーな気もします。むしろアニミズムとも共通する、自然への畏敬の念の表現の一種として捉えるべきではないでしょうか。最近シルクロードでの歴史上の活躍が見直されているソグド人が、ゾロアスター教(拝火教)で火を信仰していたことも、火を拝むというのは随分原始的に思えますが、輪廻の思想と大した差はないのでは?と思ったりします。

 とくに宗教は、まさに宗教という形態での信ずることの怖さ(他者の排除)があり、時々仏教が一神教よりも慈愛精神あふれるとかいう話を聞いたりしますが、その原始性(悪い意味ではありません)も自覚し、決して思い上がることなく、物事を考えていかなければならないと思います。