哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

村山 聖(サトシ)さん(棋士)

2007-09-16 20:43:20 | 時事
 文藝春秋10月号で、「新・がん50人の勇気」(柳田邦男氏)という記事をたまたま読みました。その中で紹介されたうちの一人が表題の方で、29歳で夭折されたそうです。記事によれば、漫画化やテレビドラマ化もされたとのことですから、結構世間では有名な話のようです。

 村山さんが亡くなられた時の病気はガンでしたが、5歳の時から慢性の腎臓病ネフローゼという病気をもっていて入退院を繰り返していたため、人生の持ち時間の少ないことを悟り、自分が打ち込むことのできる将棋を早く極めようとしたそうです。「僕には時間がない」と、中学1年にしてそう思ったというのです。

 村山さんは存命中に八段まで昇格したそうですが、それより何年か前のある日、母親が部屋で見つけたメモにこう書かれていたそうです。

「何のために生きる。
今の俺は昨日の俺に勝てるか。
勝つも地獄負けるも地獄。99の悲しみも1つの喜びで忘れられる。人間の本質はそうなのか?
人間は悲しみ苦しむために生まれたのだろうか。
人間は必ず死ぬ。必ず。
何もかも一夜の夢」

 村山さんがいつこれを書いたのかははっきりしませんが、見つかったのが23歳の頃のようですから、それ以前となります。

 「僕には時間がない」と闘病しながら駆け抜けるように人生を生きていた村山さん。この言葉は、その若さにもかかわらず、魂からふり絞るように発せられた本質的な言葉だと思いました。