久々に面白い科学の本を読んだ。宇宙科学の権威が書いた本だが、題名を見てもわかるとおり、哲学的な話もかなり触れられている。ゴーギャンのあの「我々はどこへ行くのか」という有名な絵にも触れられ、芸術、哲学、宗教も話題にした壮大なスケールの展開なのだが、新書サイズなので分量は多くない。哲学の分野では、とくに世界を言語で記述したヴィトゲンシュタインが中心に取り上げられているが、アリストテレスなどギリシャ哲学にも触れられている。全体的には、科学的な考え方を前提にしつつ、人間の世界を宇宙全体の視点から捉えようとする。科学の限界を感じつつ記述されているので、あと一歩踏み込めば池田晶子さんの考え方に重なっていきそうな、科学の限界すれすれの思考が感じられる。しかも何と言っても読みやすくわかりやすい文体なので、高校生には是非読んでほしい科学の本である。
宇宙にも考えが存在すると書いていた 池田晶子さんなら、この本はかなり肯定的に評価してもらえたのではなかろうか。
宇宙にも考えが存在すると書いていた 池田晶子さんなら、この本はかなり肯定的に評価してもらえたのではなかろうか。