哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

価格破壊は文明破壊

2009-12-13 08:33:33 | 時事
 表題の言葉は、最新号の「文藝春秋」の連載で塩野七生さんが書いていたものだ。長期間にわたりデフレが続く日本について、国力低下の悲観的話題も多い昨今だが、塩野さんはそもそも、何でも安ければいい、という風潮に異を唱える。高価な価値あるものには、想像力をかきたてるものがある、という。価値あるものを作ることが技術であり文明であるが、何でも安ければいいという発想で安く作られていくのでは、高度な技術者が生き残れず、文明の破壊につながるというのが、大まか話の流れであったと思う。

 一方、人気ブロガーのぐっちーさんのブログでは、似たようなことをユニクロ批判者に対して書いていた。ユニクロと他の廉価販売者とは異なるという。ユニクロは安く作って薄利多売をしている業者ではなく、もともとアパレルのぼったくりのような利益部分を品質改善に回したら安くていいものができるはず、というのが発想の原点なのだそうだ。だからこそ、手頃な値段で品質の高いものができるという。

 いずれにしても、価値あるものを見分けることは重要なのであろう。池田晶子さんは言葉の価値というものを最大限重視し、低価値に発信される言葉を嫌った。自分の言葉というのは自分自身のことであるから、価値あるものを見分けるということは、自分自身の価値を守ることでもある。