哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

NHKドラマ「坂の上の雲」

2009-12-06 02:58:58 | 時事
 いよいよ掲題ドラマの放映が始まった。極東の小さな国、日本が世界に踏み出した時期を描いたという。ドラマの冒頭でのナレーションでは、誰もが楽天主義だった時代だともいっていた。確かに資源もない国が、欧米の列強に対抗できると考えていたとは、とんでもなく楽天的ともいえる。

 一方で、司馬遼太郎氏がこの小説を書いた理由の一つは、日本は日露戦争まではまともに振舞っていたのに、それ以降太平洋戦争敗戦に至るまで日本がなぜ異常な道を歩んでしまったかを考えるためだという。日露戦争には必ずしも勝ったとはいえないが、日本は新興国としてよく頑張った。しかし、その後は国際的に孤立の道を歩み、日本は自滅していったといえる。

 とくに、日露戦争の講和条約に対する国民の反応が過激だったというから、既にこの頃から日本国民は何か間違っていったように思える。それが太平洋戦争後には、一億総ざんげとか言われたりするのだから、国民総意でイメージに踊ってしまう癖は戦後も必ずしも直っていない。

「政権交代」というイメージワードだけで突っ走ってしまう今の時勢を考えれば、国民総意でイメージに踊ってしまう癖は、実は未だに直っていないのかもしれない。アメリカでも「Yes,We can」のキャッチフレーズで大統領が選ばれたが、「政権交代」という言葉に踊って投票してしまう日本人の方が幼稚にみえてしまうのはどうしてだろう。


 池田晶子さんはもちろん国民とか国家という枠組みそのものにとらわれる発想をしないが、歴史に学ぶことについてはむしろ推奨されるだろう。決してノスタルジックになることなく、ドラマ「坂の上の雲」を見たい。