哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

週刊新潮今週号の「人間自身」

2005-10-01 15:19:55 | 哲学
 池田晶子さんの連載「人間自身」の今週号では、教育についての話でした。文の一端の要約的内容を少し以下に書いてみます(立ち読みなので、うろ覚えですが)。

《単に考えもせずに知るのは「情報」で、しっかり考えて血肉になるのが「知識」である。今の教育は、例えば国語の問題文を見ても、思考を省略させるような、考えさせることとは逆のことをさせている。
 天才が一生涯かけて考えて書いた本を1時間で読んで「知った気に」なっても、それは考えて得た知識にはならない。
 言葉は両刃の剣で、考えさせることもあれば、人の文章を読んだだけで考えたつもりになるという、考えさせない機能も持つ。あえていえば、言葉を知らない人の方が、むしろ自らの実存にたって考え抜かれた思考を持ち、まさに言行一致となるかもしれない。》

 最後の「言葉を持たない人の方が言行一致・・」という言い方も随分過激です。これはそもそも「思考とは言葉で行うものではない」ことが前提になっています(池田晶子さんの本にはそう書かれた部分があります)が、正直その点は私はまだよくわかりません。

 法律の世界ではよく「思考経済」という言い方をします。例えば判決で同じ結論を出すなら小難しい法理論よりも、より簡便な法理論を用いようとするものです。要するに考える労力を節約しようというものですが、池田さんに言わせれば、法律家もバカになりたいのか、と言われそうです。