哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

エイジングはおいしいぞ(週刊新潮今週号の「人間自身」)

2005-12-23 17:09:39 | 哲学
 池田晶子さんの週刊新潮連載「人間自身」今週号は、「エイジングはおいしいぞ」という題でした。主なところを要約しつつ抜粋します。

「アンチエイジング=抗加齢、老いることの拒否である。老いることが価値ではないと。しかし、我々の人生は老いるという形式以外ありえず、老いるということが人生を生きるということそのものなのである。
 若さのもたらす快楽に価値があっても、快楽はいずれ失われるというまさにそのことによって、容易に苦痛に転化する。本当の価値は、決して失われない永続的な快楽、別名、幸福である。老いて若さを失うことに決まっている以上、生きることの幸福を味わい、人生を幸福なものとしたいと望むなら、老いることを価値とする以外はあり得ない。そうすれば、人生はほっといても価値である。生きることはそのままで幸福である。」


 内容は先週の続きです。アンチエイジングの愚かさを繰り返し述べています。
 今回の文では「老いることに価値を」といい、そうすれば「人生はほっといても価値である」と書いてありますが、我々凡人が何も考えずに幸福になれるというのも、ちょっとおこがましい話になってしまいます。

 この後の文で、池田さんは自分の話をし、「老いることとして生きることが面白い」とか「老いることはおいしいことだ」と書いています。その内容は、「老いることの内省と思索」の悦びだそうです。つまり、人生の幸福は内省と思索の賜物、つまりは池田さんの著作の帯にある「悩むな、考えよ」が老いることの幸福を得る前提条件なのでしょう。凡人にとっては必ずしも平坦な道ではなさそうですが。