山スキーと山歩き みやぶろぐ

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2014ビーコン訓練in赤倉山

2014-01-30 | 2013-14山スキー

山域山名:妙高山系・赤倉山(新潟県)
期  日:2014年1月25日(土)
参 加 者:熊トレ山スキーチーム総勢12名
行動記録:江南(5:30)=池の平スキー場P(8:20)=カヤバゲレンデTOP1430m(10:20)→林道1590m(10:50)→赤倉山前衛1920m(12:00/12:30)~旧カナメゲレンデ(13:00)…ビーコン訓練終了(16:00)~池の平スキー場
<天候:くもり時々晴れ>

2004年から毎シーズン実施している熊トレのビーコン訓練。
今年は池ノ平スキー場の閉鎖ゲレンデ(カナメコース)で行いました。

最初にリフト2本を乗り継ぐが、朝からリフトがトラブルで動かず、40分もロスしてしまった。

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正面に妙高山本峰、右に前山、左が赤倉山。

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訓練の参加者は12名、4人づつ3パーティに分けて出発。
目的は中級者以上を想定した山スキーリーダー養成と、初級者にはラッセル訓練。

約束事は2つ。
1920mピークまでパーティごとに登る。
・他パーティのトレースを使わず、自分たちのルートでラッセルして登る。

閉鎖されたカナメコースを登る。

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平均年齢が一番若いCパーティが先行する。

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ラッセルしながら、リーダーがやらなければならないこと。
・効率的な登路ルートの選択
・地形と危険箇所の把握
・滑降ルートの確認
雪質チェックと雪崩リスクマネージメント
・パーティメンバーの行動観察
・天候判断………………………………………
などなどたくさんある。
どれだけ意識して登っただろうか?

斑尾山、野尻湖を眼下に、1800m付近のダケカンバ疎林帯を登る。

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黒姫山。

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高妻山と乙妻山。

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前山と大谷ヒュッテ。

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12月は藪だらけだったが、1月下旬となればすべて雪の下。
あの上まで行けば1920mピークまでわずか。

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1920mピークからの赤倉山。ここからは尾根も細くなって、山スキーには向かない。

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30歳代から70歳まで年齢層も幅広い熊トレ山スキーチームの面々。

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滑降しようかと…ピークを下ったら、熊本から遙々来ている、くり♂夫の父上が登ってきた。

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あいさつを交わして、いざ滑降へ。


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気温プラス5℃とこの時期としては異常高温。
サンクラスト&重湿雪で悪雪滑降となったが、若者は果敢に攻める。

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2年振りの山スキーとは思えないアグレッシブな滑りは、最年少のino君。

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昼食を取って、午後は閉鎖ゲレンデのカナメコース最上部でビーコン訓練。

まずはゾンデを出して雪面に刺してみる。硬い感触は地面で、積雪は2m50㎝。

次に二人ひと組で、下方側の埋没者役が電波発信して、もうひとりが捜索者となって電波誘導法で捜索。
あえて目標の発信ビーコンを雪面上の見える位置において、捜索者のデジタルビーコンの方向と距離を声を出して、お互いに確認をしながら近づいた。

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これはビーコン特性を確認する訓練。
・雪面に残した足跡が電波曲線の向きで、概ね楕円形になるはず。
・捜索モードに変えた時は、直線距離のだいたい1.5倍の表示となった。

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次は、幅25m×長さ20mの仮想デブリを作り、そこにビーコン1個を浅い場所に埋める。
5人パーティで1人が埋没したという想定でのビーコン探索訓練。

一番先に行うことは状況分析。
雪崩を目撃したメンバーは、埋没者がどこで巻き込まれて、どこまで流されたか、見えなくなったのはどこか、雪面に出た残置物はないかを確認する。(状況分析)
次に、ビーコン探索。
そして、ケアと応急措置。

捜索者はデブリ上端から30mほど離れた場所から捜索開始。
リーダーから「雪崩!!」の大声の後、「サーチモード」の指示で速やかに全員がビーコンスイッチを受信状態にする。
ある程度の間隔(最大で20m)を取って埋没者に近づく。

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直線で40m以上離れているので、おそらく捜索モードにしてもすぐには反応はないはず。
電波を受信したら、他メンバーに聞こえるように距離を大声で叫びながら、ビーコンの指示方向に向かって埋没者に近づき、最後は直角法で埋没箇所を発見する訓練。
雪面から30㎝程度に埋めたので、0.5mとなったらビーコンによる捜索は完了するため、その時間を計測した。

結果は、一番早いパーティから1分09秒、2分50秒、3分15秒。
ビーコン操作に慣れないメンバーは、すぐに捜索モードに変えられなかった。
ひとりでも近くに発信モードのビーコンがあると、他の捜索者は埋没者のビーコン信号はキャッチできないことになってしまう。

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次はより実践的に、スキー滑降中に雪崩があったと想定した訓練。
デブリ上端から50mほど離れた場所から捜索開始。

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ザックを背負い、スキーを履いて、ストックを持ちながらビーコン操作して、信号をキャッチしながら近づいていかなければならないので、スキー技術とビーコン操作のより高度なテクニックが必要。

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どこでスキーを脱ぐか、スキーを履いたままでは直角法はできない。
電波受信が遅れた背後のメンバーへの指示と、スコップ&ゾンデの準備など。

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結果は、一番早いパーティから1分45秒、2分、3分20秒。

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リーダーの指示を待つのではなく、自分のいる位置から何をするべきなのか、瞬時に判断して動かなければなならい。
それが、1分1秒でも早く埋没者を発見するための必須条件である。

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次に、ビーコン2個を雪面上に見える場所に置いて、複数埋没者がいた場合のロック機能の確認を行った。

最後に、埋没者を掘り出す作業、V字コンベアベルトメソッドの確認。
時間切れで実践はできなかったが、自分が埋没者を張り出した体験なども交えてレクチャーした。


【全体の感想】
・他パーティの訓練状況を見ることは、いい点、改善すべき点がよく分かる。
・ビーコン探索は毎年行っているので、操作に慣れた中級者以上のメンバーは電波反応を早くキャッチして、埋没者を発見できていた。
・ただし、直角法に入る判断、マーキングするポイントを決める判断が遅れていた。
・埋没者がどのくらいの深さに埋まっているかは分からないので、どこでその判断をするのか、その迷いがタイムロスにつながってしまう。
・また、
今回は捜索するメンバーが横一列の声が通じる場所から始めたが、いつもこのような条件下であるわけではなく、一番雪崩に近いメンバーの初期動作、それに続くメンバー、後から現場に合流するメンバーのサポート、各個人のやらなければならないことの再確認が必要である。
・ビーコン操作、電波誘導法の習熟するためには、今後も訓練を継続的に実施して、一人一人の探索技術の向上をもっと図る必要がある。


妙高本峰、1920mピークをバックに夕暮れのゲレンデを滑る。

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