水戸梅日記

水戸・いばらき

ナラタージュ

2007-03-30 | 読んだ本
ナラタージュ ナラタージュ
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2005-02-28

 

 

 「ナラタージュ」 島本理生さんの本。

 

 「ナラタージュ」 とは、映画などで、

 主人公が回想の形で、過去の出来事を物語ることだそうです。

 

 著者は、1983年まれですが、とても大人っぽい感じがしました。

 

「いまでも呼吸するように思い出す。季節が変わるたび、一緒に歩いた風景や空気を、すれ違う男性に似た面影を探している。それは未練とは少し違う。むしろ穏やかに彼を遠ざけているための作業だ。記憶の中に留め、それを過去だと意識することで現実から切り離している。」

 

 瞬間的に流れてしまう、ともすれば、意識することのない感情が

 とても上手に書けていると思いました。

 (まぁ、これが恋愛小説の技なのですが・・・。)

 

 「人を好きになる」 というのは、面白いことですよね。

 いや、「面白いと思うしかない!」が、適切な言い方でしょうか。

 

 いやがおうでも自分と向き合わざるをえなくなります。

 不安や嫉妬など、自分は抑えることのできないどろどろとした感情が噴き出して、はじめて自分はこんな人間だったのかと気づくことがしばしばです。

 

 ナラタージュは、内容的にはちょっと痛々しい話でしたが、

 人は人を好きになる、そのためだけに生まれてくる。

 ということを、春の夜の空気とともに感じました。

 

コメント (2)
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