保健福祉の現場から

感じるままに

抗体カクテル療法とワクチン接種

2021年09月15日 | Weblog
R3.9.14MBS「“宿泊療養施設で死亡”の女性はワクチン2回接種済み…「抗体カクテル療法」の対象外」(https://www.mbs.jp/news/kansainews/20210914/GE00040133.shtml)。<以下引用>
<大阪府の新型コロナウイルスの宿泊療養施設で、9月13日に療養中に死亡した60代の女性がワクチンを2回接種していたことがわかりました。大阪府は、9月8日から新型コロナウイルスの宿泊療養施設で療養していた60代の女性が13日に部屋で死亡したと発表しました。毎日看護師が行っている健康観察の電話に女性が出ないことから部屋に入り、発見に至ったということです。女性は軽症で、発熱症状が続いていましたが、酸素飽和度の数値に異常はなく、症状は安定していたということです。府によりますと、女性には基礎疾患がありましたが、7月上旬に2回目の新型コロナウイルスワクチンを接種済みだったことなどから、入院ではなく宿泊療養施設で治療をしていたということです。(大阪府 吉村洋文知事 9月14日)「特に高齢者の方は、ワクチンを2回接種してもお亡くなりになる場合が、ケースとしては非常に少ないけれどもありますので、非常に気をつけて対策をしていかなければならないと改めて思います」 また府によりますと、女性はワクチンを2回接種済みだったことから重症化を防ぐための「抗体カクテル療法」の対象外だったということです。 >

R3.9.15朝日新聞「早期診断、治療が第一 山口大病院・鶴田教授に聞く」(https://www.asahi.com/articles/ASP9G7RPSP9GTZNB006.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<新型コロナウイルスの第5波では感染力の強い「デルタ株」が猛威を振るい、山口県内でも8月のお盆明けをピークに感染者数が急増した。山口大医学部付属病院(宇部市)で重症患者らの治療にあたる先進救急医療センター部長の鶴田良介教授(55)に、医療現場の現状や注意すべき点についてオンラインで聞いた。東京や大阪といった大都市圏では感染して症状が出ても入院できず、自宅で急変して亡くなってしまう方もいます。山口ではそうした状況は起きていません。第4波では私たちの病院でも5月中旬以降に重症者用の5床が全部埋まる日があり、感染がさらに広がれば重症患者を助けられなくなるのでは、との危機感がありました。しかし8月以降の第5波では重症者は多くなく、ピークは抜けました。それはワクチンでの予防と早期診断、早期治療が功を奏しているからです。県内では多くの症例でCT(コンピューター断層撮影)検査をしています。早い段階で肺炎の有無を見極めるためで、都市部では(受け入れが追い付かず)できない場合もあります。保健所と医療機関の連携がうまくいっていることも大きいです。症状をオンラインで共有し、入院が必要なのか、宿泊療養でもいいのかを迅速に判断します。軽症か無症状の人が入る宿泊療養の部屋は県内4カ所に583室あり、これが病床の逼迫を抑えることにもつながっています。新しい治療法の「抗体カクテル療法」は県内でも8月から使っています。肺炎所見がある中等症Ⅰまでが対象で、点滴で1回だけ投与します。9月上旬にコロナ患者を診ている県内の医療機関に尋ねたところ、抗体カクテル後に悪化して酸素が必要になった方は1割ほどで、9割の方は症状が抑えられたようです。軽症者を診る医療機関で点滴を受けて2~3日入院するか、軽ければ宿泊療養に移る例が多いです。新型コロナ対策の武器は、いまはワクチンと抗体カクテルしかありません。人工呼吸器が必要な重症になると、退院後も後遺症が残ります。味覚や嗅覚の異常のほか、肺炎の影響でしゃべるのが苦しいほどの息切れが続く方もいます。コロナを過度に恐れる必要はありませんが、症状に気づいたら待たないでほしい。熱やだるさがあるときは、真っ先にコロナを疑っていいと思います。金曜に症状が出たら「土日は病院に迷惑をかけられない」とは考えないでください。待てば待つほど早期治療が受けられず、酸素吸入が必要な症状になると抗体カクテルができません。特に肥満や糖尿病、高血圧、呼吸器疾患、腎臓病のある方、免疫抑制療法中の方、妊娠後期の方は、症状に気づいたら迷わず保健所に連絡してください。第5波では患者の年齢層が下がり、私たちの病院では30代で人工呼吸器が必要な重症患者もいました。基礎疾患のない方でしたが、BMI(体格指数)が25以上の方は注意が必要です。重症化の不安がある方はワクチンを打ってほしいし、できない方は症状があれば早く治療に着手して重症化を抑えることが大事です。感染者数や病床使用率は幸い下降傾向で、近く県の感染状況の判断も「ステージ3」に下がるでしょう。しかしいまが底で、コロナとの闘いはこの先2、3年は続くと思います。私たちの病院では当初から長期戦を想定し、ローテーションを組んで誰もがコロナの患者さんを診られるようにしています。重症化したり亡くなったりする人を出したくありません。そのためには何より早期発見、早期治療が重要です。>

R3.9.10「新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬「カシリビマブ及びイムデビマブ」の医療機関への配分について(質疑応答集の修正・追加)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000831731.pdf)p12「本剤とSARS-CoV-2に対するワクチンとの相互作用に関するデータは得られていません。ワクチン接種者における本剤の適用に当たっては、本剤投与のリスクベネフィットを慎重に検討してください。」とある。R3.9.8朝日新聞「新型コロナの新たな治療薬、月内にも承認へ 英GSKが承認申請」(https://www.asahi.com/articles/ASP983SHQP98ULBJ001.html?iref=com_apitop)の「ソトロビマブ」(https://jp.gsk.com/jp/media/press-releases/2021/20210906_sotrovimab/)も同様なのであろうか。しかし、R3.9.1FNN「新型コロナ感染第5波で「ひっ迫する医療現場」…独自で病床数を増やした病院も」(https://www.fnn.jp/articles/-/233051)では「いい薬が次々と出てきているが、いずれも点滴。カクテル療法もベクルリー(レムデシベル)も。点滴を刺しに行くという処置が必要で、大部分が肺炎を合併しているので、ほとんど全例にそういう治療が必要なので、処置自体が結構大変」とある。R3.9.3厚労省「軽症患者等を対象とした新型コロナウイルス感染症治療薬の治験について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000827879.pdf)(https://www.mhlw.go.jp/content/000827880.pdf)で軽症者に対する外来での治験が案内されているが、どれほど進んでいるであろうか。R3.9.8Web医事新報「[緊急寄稿]COVID-19における薬剤治験のあり方─移植感染症学の視点からみたCOVID-19[第3章]高橋公太 (新潟大学名誉教授,日本臨床腎移植学会元理事長,高橋記念医学研究所所長)」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=17992)の「新たな政策として,きわめてシンプルな能動的政策,すなわちCOVID-19のウイルス検査陽性時の不顕性感染から顕性感染症発症前後までの期間が患者のウイルス量が最も多い時期であるので,これらの患者に積極的に経口抗ウイルス薬を服用させる方針に180度大きくかじ取りを変えるべきである」が出ているように、早期の経口抗ウイルス薬治療がカギを握ると感じる方が少なくないかもしれない。「ファビピラビル(アビガン®)」(https://brand.fujifilm.com/covid19/jp/avigan.html)について、R3.4.27厚労省「新型コロナウイルス感染症に対するアビガン(一般名:ファビピラビル)に係る観察研究の概要及び同研究に使用するための医薬品の提供について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000773801.pdf)p2「自宅療養及び療養施設での投薬はできない」は変わらないのであろうか。R3.8.19日刊ゲンダイ「塩野義製薬が年内の“早期承認”目指す「飲むタイプのコロナ治療薬」は米ファイザーに先行するか」(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/293514)の「3CLプロテアーゼ阻害薬」(https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2021/07/210726.html)、R3.7.6毎日新聞「コロナ新薬、国内治験 海外2社の経口薬で開始」(https://mainichi.jp/articles/20210706/ddm/012/040/081000c)の「モルヌピラビル」(https://www.asahi.com/articles/ASP6B2VNLP6BULFA006.html)、「AT―527」(https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=70674)、R3.7.1読売新聞「コロナ患者に「イベルメクチン」治験開始へ…ノーベル賞の大村氏が開発貢献」(https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210701-OYT1T50207/)の「イベルメクチン(ストロメクトール®)」(http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se64/se6429008.html)の行方も注目であろう。新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(https://corona.go.jp/news/news_20200411_53.html)のR3.9.9「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_h_20210909.pdf)p35「厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症に関するいわゆる後遺症について、諸外国で報告もあることも踏まえ、調査・研究を進める。」とあるが、臨床医の治療の遅れが、R3.8.31「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第5.3版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000829136.pdf)p23「症状の遷延(いわゆる後遺症)」につながることは本当にないのか、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html)で後遺症のリスク評価が継続的になされるべきで、R3.6.16「資料5 COVID-19 後遺障害に関する実態調査(中間集計報告)等」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000798853.pdf)の続編が期待される。後遺症のリスク評価を踏まえて、重症化予防治療を推進すべきと感じる。
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