保健福祉の現場から

感じるままに

第5波の教訓

2021年11月17日 | Weblog
R3.11.16中日新聞「コロナ病床、使用半数止まり 第5波医療体制、初の検証」(https://www.chunichi.co.jp/article/366955)。<以下引用>
<政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の専門家らは16日、今夏の流行「第5波」で医療提供体制に関する初めての検証結果を公表した。都道府県が計上した確保病床数は、実際には病院の受け入れ体制が整っておらず、多くは50~60%しか使われなかったと指摘。病床にまだ余裕があるように見えたことが「社会経済活動の抑制をちゅうちょさせた」と結論づけた。今後は医療機関と協定を結ぶなどして、確実に使える病床の確保を求めた。第5波では各地で病床が逼迫。都市部を中心に自宅療養者が最大で約13万人に上り、症状が悪化しても入院できずに亡くなるケースが続出した。>

R3.11.17テレ朝「自宅療養者対応 都内保健所7割超「おおむね十分」」(https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000235388.html)。<以下引用>
<新型コロナの第5波の検証として、ANNでは東京都内のすべての保健所にアンケートを行いました。その結果、自宅療養者への対応について、7割以上の保健所がおおむね十分だったなどと評価しました。アンケートは、北区と中野区を除く24カ所から回答を得ました。都内では8月以降、自宅療養中の死亡者は57人に上ります。死亡者数について、非公表とする保健所が多い一方で、八王子市、品川区、渋谷区など7カ所は死亡者ゼロと回答しました。自宅療養者への対応については、7割以上の保健所が十分、ほぼ十分だったと評価し、不十分としたのは6カ所にとどまりました。また第5波の際、8カ所の保健所で50人以上、増員するなど、すべての保健所が体制を強化していました。この体制について、14カ所の保健所が十分、ほぼ十分だったと評価した一方で、9カ所が不十分だったとしています。また、厚労省が運用する感染者を管理するシステム「HER-SYS」については、ほぼすべての保健所が改善が必要と指摘していて、このうち4割で実際に問題が発生したり、発生しそうな状況だったと回答しています。>

R3.11.16読売「自宅療養者の政府想定、今後最大18万人超…自治体に「陽性判明翌日までに全員と連絡」求める」(https://www.yomiuri.co.jp/national/20211116-OYT1T50195/)。<以下引用>
<新型コロナウイルス感染拡大の「第6波」に向けて、政府は、すべての自宅療養者と「陽性判明の翌日まで」に最初の連絡を取るよう、自治体に求めている。今夏の第5波では、自宅療養中に死亡する感染者が相次いだからだ。政府が今後、想定する自宅療養者は、第5波の1・3倍にあたる最大約18万3000人。「翌日までの連絡」を実現するため、各地の保健所では、様々な改革を進めている。■駆けつけ 一昼夜(24時間)電話がつながらなければ、すぐに自宅に駆けつける――。東京都杉並区の杉並保健所は今年9月、自宅療養者への対応にあたり、こんなルールを定めた。保健所は、コロナ感染者を診断した医療機関からの「発生届」をもとに、感染者一人ひとりに連絡を取り、症状を確認して療養方針を決める。第5波ピーク時の8月上旬、杉並区内では、自営店舗内で療養していた40歳代男性が亡くなる事案が起きた。杉並保健所は、発生届を受け取ってから1日2回ほど、4日間にわたり男性に電話をかけ続けたが、つながらなかった。その後、男性が店舗内で亡くなっているのを家族が見つけた。杉並区の担当者は「体調が悪い療養者は、電話に出られないかもしれない。自宅にいけば何らかの手がかりが得られる可能性がある」と語る。さらに同区では、連絡が取れた軽症や無症状の感染者について、その後の健康観察を民間業者に委託する方針だ。保健所の保健師は、容体が悪化した感染者の症状確認や入院先探しなどに当たる。「役割分担により、効率的な見守り体制を作りたい」(区担当者)としている。東京都豊島区では、区看護師会と連携し、保健所の代わりに区内の訪問看護ステーションなどから看護師らが自宅療養者の健康観察を電話で行う取り組みを8月末から始めている。これまでに約80人の自宅療養者に対応。感染者数が少なくなったことから11月上旬で同会が対応する療養者はいなくなったが、第6波に備えて、来年3月まではこの体制を維持するという。■応援10倍 兵庫県は、保健所の応援に入る職員を事前に決め、研修を受けさせている。第5波では県が設置する12か所の保健所に約100人を応援派遣したが、第6波では、その10倍の約1000人を派遣する想定だ。10月下旬から、濃厚接触者の調査などの保健所業務について研修を行っている。県では「感染状況に応じて、適切に対応できるよう準備しておきたい」としている。第5波で保健所の業務が遅れて「入院調整中」が最大473人に上った香川県も、他部署から保健所に派遣する応援職員のリストを準備した。また、自宅で入院が決まるのを待つ間に感染者の容体が悪化するのを防ぐため、県医師会や看護協会の協力を得て、往診可能な医師・看護師のリスト化も進めている。>

R3.11.18NHK「大分市保健所 過労死ライン超え相次ぐ 第5波の感染拡大で」(https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20211118/5070011276.html)。<以下引用>
<新型コロナウイルスの第5波の感染拡大により、大分市保健所では8月と9月の残業時間が「過労死ライン」と呼ばれる月80時間を超えた職員がのべ40人を超え、市では、感染の再拡大に備えた対策を検討しています。県内ではことし8月から9月にかけて、1日あたりの新規感染者が連日100人を超えるなど、第5波の感染拡大のピークとなりました。各地の保健所で第5波の対応に追われましたが、大分市保健所では、残業時間が「過労死ライン」と呼ばれる月80時間を超えた職員が8月は28人、9月は14人と、延べ42人にのぼったことがわかりました。中でも、8月は市内で確認された1日あたりの新規感染者がこれまでで最も多い118人となる日もあり、残業時間が200時間を超える職員もいたということです。感染者数の増加に伴い、電話で聞き取りをして、感染経路や濃厚接触者を調べる積極的疫学調査の業務が増えたということで、市では感染の再拡大に備え、◆業務の効率化に向けた検討を進めているほか、◆第5波から本格化させたほかの部署からの応援をさらに増員できないか調整をしています。>

R3.11.18NHK「新型コロナ 基本的対処方針の変更案 病床確保へ通常医療制限も」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211118/k10013353191000.html)。<以下引用>
<新型コロナ対策をめぐり、政府は、岸田内閣で初めてとなる基本的対処方針の変更案を取りまとめ、今後の感染拡大に対応できるよう病床の確保を進め、医療のひっ迫が見込まれる場合は国の責任でコロナ以外の通常医療を制限し、緊急的な病床を確保するとしています。政府は、新型コロナウイルスの第6波に備えた対策の全体像や、行動制限緩和の具体策などを取りまとめたことを踏まえ、岸田内閣で初めてとなる基本的対処方針の変更案を取りまとめました。それによりますと、ことし夏のピーク時より感染力が2倍となった場合でも対応できるよう、医療提供体制の強化やワクチン接種の促進、治療薬の確保を進めて、感染リスクを引き下げながら経済社会活動の継続を可能とする新たな日常の実現を図るとしています。そして、病床の確保に向けて、ことし夏より3割多いおよそ3万7000人が入院できる体制を今月中に構築するとともに、回復した患者の転院先の確保をさらに進め、高齢者施設での受け入れを促進するなどとしています。また、今後感染が拡大し、医療のひっ迫が見込まれる場合には、国民にさらなる行動制限を求めるとともに、国の責任で地域の医療機関に協力を要請し、リスクの低い手術の延期などコロナ以外の通常医療を制限することで緊急的な病床を確保すると明記しています。一方、行動制限の緩和について、大規模イベントを開催する際は、主催者が感染防止の計画を策定した場合は、参加人数の上限を▽緊急事態宣言のもとでは1万人▽まん延防止等重点措置のもとでは2万人としたうえで、ワクチンを接種済みであることや検査で陰性だったことを証明する「ワクチン・検査パッケージ」を活用すれば、収容定員まで認めるなどとしています。政府は19日開かれる分科会で専門家の意見を聴いたうえで、変更案を正式に決定することにしています。>

新型コロナウイルス感染症対策分科会(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin.html)のR3.11.16参考資料(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai11/gijisidai_2.pdf)p8~12「第5波までの医療対応に関する検証」、p13~14「過去の教訓から改善の余地が期待されること」、p15~20「第6波に向けた医療体制づくりの具体」はみておきたい。R3.11.16参考資料(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai11/gijisidai_2.pdf)p39「都道府県別の「自宅療養者数」の推移」が出ているが、R3.9.7NHK「“第5波”若い世代の死者増加 東京 8月は最も高い割合に…」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210907/k10013247861000.html)、R3.9.24朝日新聞「「首都圏は議論しているうちに死者増加」 コロナ自宅死、なぜ地域差」(https://www.asahi.com/articles/ASP9S664DP9SULEI002.html?iref=com_apitop)のようなことが、なぜ起こったか、検証できたといえるであろうか。R3.9.24AERA「尾身理事長の医療法人がコロナ補助金などで311億円以上の収益増、有価証券運用は130億円も増加」(https://dot.asahi.com/dot/2021092400012.html)、R3.9.30女性自身「尾身会長の医療機構、現場から悲鳴「暴走コストカットで患者救えない」」(https://jisin.jp/domestic/2022940/)、R3.10.20朝日新聞「コロナ専用病院、受け入れ患者まだ3人 第5波で遅れた東京の増床」(https://www.asahi.com/articles/ASPBM4QKTPB7ULBJ009.html?iref=com_apitop)が出ていたが、新型コロナウイルス感染症対策本部(https://corona.go.jp/expert-meeting/#headquarter)のR3.10.15資料(https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/sidai_r031015.pdf)p10~p12「「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」の骨格」のp10「ピーク時に即応病床と申告されながらも使用されなかった病床(いわゆる「幽霊病床」)の実態を把握」「今般の保健・医療提供体制確保計画策定時には、国立病院機構法・地域医療機能推進機構法に基づく「要求」をはじめ、大学病院や共済病院などへの要請を含め、公的病院に関する国の権限を発動し、公的病院の専用病床をさらに確保する。」とあり、ようやく、R3.10.19「独立行政法人地域医療機能推進機構法第21 条第1項に基づく要求について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000844919.pdf)、R3.10.19「独立行政法人国立病院機構法第21 条第1項に基づく要求について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000844918.pdf)、R3.10.19「独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構への要求等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000845131.pdf)が発出されている。あまりに対応が遅すぎるであろう。新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html)のR3.10.20資料2-3(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000845983.pdf)p46「警察庁新型コロナウィルス陽性死体取扱い状況(令和3年4月~9月)」の年齢構成(死因が新型コロナ)では、80代以上125名(79人)、70代119名(75人)、60代116名(74人)、50代141名(90人)、40代71名(43人)、30代41名(23人)、20代11名(5人)、10代1名(0)とあり、月別では「8月」、都道府県別では「東京都」が群を抜いているが、第4波の関西圏の教訓が活かされなかったであろう。日経ヘルスケア(https://medical.nikkeibp.co.jp/all/info/mag/nhc/)2021年7月号の「大阪の“医療崩壊”はなぜ起きた?」(https://medical.nikkeibp.co.jp/all/info/mag/nhc/pdf/2021/202107_toku1_web.pdf)、R3.8.3Web医事新報「【識者の眼】「コロナ第5波:大阪の悲劇を忘れないで」細井雅之」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=17751)等と警告されていた。また、R3.9.6NHK「保健所の健康確認2週間行われず コロナ感染50代男性死亡 埼玉」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210906/k10013247521000.html)、R3.8.30NHK「新型コロナで自宅療養中の女性死亡 死後3日か 千葉 柏」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210830/k10013232981000.html)、R3.9.9読売「自宅療養の男性2人死亡で県が謝罪…保健所「忙しくて訪問できず」、情報共有漏れも」(https://www.yomiuri.co.jp/national/20210909-OYT1T50224/)、R3.8.31テレ朝「一人で療養中の40代男性死亡 保健所が対応打ち切り」(https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000227314.html)、R3.8.31朝日「保健所が連絡見落とす 静岡で自宅療養者1人死亡」(https://www.asahi.com/articles/ASP806G4DP80UTPB00X.html)などの一連の報道をみると、保健所業務の検証も大きいであろう。検査陽性者に早めにコンタクトをとり、画像診断を含めた臨床評価が行われていれば、展開が違っていたかもしれない。R3.9.23AERA「自宅放置死250人は「人災」 英米のコロナ対策を知る日本人医師が指弾」(https://dot.asahi.com/wa/2021092200010.html)の「「保健所の職員が自宅療養の患者さんを観察し、入院が必要かどうかを判断するなんて無理です。最初から医療にかからなければ症状の急変には対処できません。酸素ステーションの設置も、後手の対策を象徴している。酸素が取り込めなくなった人に、酸素だけ投与して回復するわけがない。入院してきちんと治療しなければなりません。ネックとなっているのは病床不足で、大規模な専門病院が必要なことは昨年からわかっていたこと。お手上げになったら患者を自宅放置なんて、あり得ないくらいひどい話です」」(https://dot.asahi.com/wa/2021092200010.html?page=1)の指摘を重く受け止めたい。R3.11.2「新型コロナウイルス感染症( COVID 19 )診療の手引き・第6.0版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000851077.pdf)p35「病状が進行しているにもかかわらず,呼吸苦低感受性の症例(silent hypoxia)がある」を踏まえると聞き取りだけで「軽症」と判断するのはリスクが伴う。デルタ株では、R3.11.2「新型コロナウイルス感染症( COVID 19 )診療の手引き・第6.0版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000851077.pdf)p34「重症度分類」の「軽症 肺炎所見を認めない」の判断は、たとえ現役世代であっても慎重でなければいけないであろう。R3.11.2「新型コロナウイルス感染症( COVID 19 )診療の手引き・第6.0版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000851077.pdf)p34「肺炎の有無を把握するために,院内感染対策を行い,可能な範囲で胸部CTを撮影することが 望ましい.」、p45「発症日から7日前後で悪化することが多いため綿密なフォローが必要」を踏まえる必要がある。R3.9.7NHK「“第5波”若い世代の死者増加 東京 8月は最も高い割合に…」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210907/k10013247861000.html)では「専門家「ワクチン行き届かず 重症化し亡くなる人も増えている」」とあったが、ワクチン未接種者の重症化・死亡を「ワクチン未接種」だけのせいにしてはならない。R3.9.7NHK「“第5波”若い世代の死者増加 東京 8月は最も高い割合に…」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210907/k10013247861000.html)が起こった原因に「受診の遅れ、検査の遅れ、治療の遅れ」はないのであろうか。酸素が必要になってからでは抗体カクテルの適応はない。健康診断を受けていなければ、重症化要因である糖尿病や高血圧等を自覚していない場合が少なくないことは認識したい。R3.10.29東京新聞「東京都、コロナ感染者4065人集計ミス 過去最多は5908人に更新」(https://www.tokyo-np.co.jp/article/139731)では「患者の対応については「発生届とは別なので、適切に行われていた」」とあるが、果たして、第5波の教訓は活かされるであろうか。
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介護予防・日常生活支援総合事業

2021年11月17日 | Weblog
R3.11.15「「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインについて」及び「介護予防・日常生活支援総合事業における介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)の実施及び介護予防手帳の活用について」の一部改正について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2021/211117_1.pdf)が発出されている。R3.11.15「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000854908.pdf)には、例えば、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/index_00003.html)、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)を活用した評価が詳細に記述されても良いように感じる。総合事業の関係規程等(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184585.html)に関して、R3.9.21「令和3年度地域支援事業実施要綱の改正点について」(https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2021/210922_2.pdf)が発出されており、資料(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000635027.pdf)p92~「別添5 総合事業の事業評価」p83「日常生活圏域ニーズ調査等による健康に関連する指標の状況;複数年度ごとに任意の時点における地域の健康に関連する指標を集計し、時系列評価、地域間や他市町村との比較を行うことで、住民主体の介護予防活動の取組状況と、生活支援の充実状況の評価に活用する。健康関連指標の例:主観的健康観、社会参加の状況、運動機能、口腔機能、栄養状態、認知機能、閉じこもり、うつ、健康寿命等」とあるが、各自治体の取り組みはどうなっているであろうか。
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