7月21日は、伏見稲荷大社の「本宮祭(もとみやさい)」。境内には、多くの人が、日々のご神恩に感謝するお祭りです。
ミモロは、前日の夕方18時から行われる「宵宮祭」にやってきました。本殿にお詣りしたミモロは、神事が終わるまで、本殿のそばで待っています。
実は、ミモロのこの日の目的は、「万灯神事」に参加すること。
「万灯神事」とは、宵宮の日に、境内全域、そして稲荷山にある数千にもおよぶ石灯籠に、ひとつひとつ火を灯して行く神事で、だれでも無料で参加できます。
石灯籠は、広い境内、および稲荷山におよぶため、参加する人たちは、数コースに分かれ、提灯を持って、歩き、途中の石灯籠に点火してゆきます。「夜の稲荷山を歩くんだよー。昼間だって、鳥居がいっぱいあって、ちょっと不思議な感じがするでしょ。それを夜歩くなんて。ひとりじゃ、怖くて無理…でも、みんなとならきっと大丈夫…」とミモロは、やるき満々です。
神職の方から、ミモロも、提灯をもらい、それぞれ参加者の希望のコースの旗のもとに集まり、いざ出発です。
ミモロが選んだのは、お山三ノ峰コース。稲荷山をグルリと回る最長距離のコースです。参加者は、それぞれに先導する神職の後に続き、山へと入ります。
お山三ノ峰コースは、水戸さんという若い神職さんが担当。「だいたい1時間半くらいかかります。山に登りますから、ちょっときついかも…」と。「大丈夫かなぁー」とちょっとドキドキのミモロです。
さて「三ノ峰コース」は、本殿から、三ツ辻、四ツ辻を経て、三ノ峰、二ノ峰、一ノ峰と稲荷山をグルリと回り、御膳谷奉拝所から、再び四ツ辻へと戻る、稲荷山一周コース。
ミモロは、提灯を下げながら、一生懸命、みなの後を追います。まだ陽は落ち切らないにもかかわらず、参道を埋め尽くす鳥居で、足元も暗く感じます。
日没も間もなく…。
「では、みなさん、石灯籠を見つけたら、ロウソクで、中に火を灯してください…」と水戸さんの声。
四ツ辻までは、他のコースの人がカバーするので、それから先がミモロたちの担当範囲です。
「あれ?石灯籠…でも、もう灯りが付いてる…」とミモロ。実は、稲荷山は、24時間いつでも参拝が可能で、そのために、一部の石灯籠には電灯が灯り、まだ点々と小さな電灯が付いています。でも、かなり暗い…。ミモロたちは、赤い光を放つ提灯で足元を照らしながら進みます。
鳥居の脇にある石灯籠を見つけると、参加者は、提灯の火を、中にあるお皿のロウソクに火をうつし、再び石灯籠に戻します。
「三ノ峰コース」には、十数名が参加。みんなで助け合い、譲り合いながら、火を灯して行きます。「なんか灯りが増えると、優しい心も増えて行くみたいな気がする…ありがたい…」と、石灯籠に光を入れては、手を合わせるミモロです。
「あ、あったー」「ここには、6基もありますねー」「あれ、通り過ぎちゃった…」などと言いながら、歩いては、止まり、そして灯す…それを繰り返します。進む道には、ずっと赤い鳥居が続きます。夜の闇、提灯や燈籠の光に浮かび上がる鳥居は、なんとも幻想的…。石灯籠に火を灯す・・・その静かな行為が、心を鎮めてゆくようです。
「でも、とてもひとりじゃ、怖くて登れない感じー」とミモロ。
途中の社にあるキツネは、暗闇に浮かび上がり迫力十分、ミモロは、ちょっと後ずさり、やっぱりちょっとコワイようです。
「こういう機会がないと、稲荷山に夜登れない…ひとりで黙々と登るって辛そう」という方も。
また、毎年、東京や名古屋などから、この「万灯神事」に参加される方も半分ほどいらっしゃいました。
「ミモロも、また来たい…。怖いけれど、でも楽しい…。だって、こんな経験って、めったにできないじゃない」。そう1年に1回だけ。
途中の休憩所で、地図を見て「わー結構歩いたみたい…でも、みんなといっしょで楽しかったから、全然長く感じなかった…」と。本当に、もしひとりでただひたすら歩いたら、きっとかなり…と感じる距離も、石灯籠を探しながら、立ち止まり、歩くためか、上りの階段の多さも、気になりません。
先導してくださる方、そして、最後尾にも神職の方が付いてくださるので、安心して歩けるのも、余計な神経を使わずに済み、疲れを感じない理由かもしれません。
夜の参拝は、昼間とは違った静けさは、なんとも言えない心地です。たった1本のロウソクの光を頼りに進む闇の中。赤い提灯の光が、進む方向へと導きます。やがて神様への感謝の心を込めた灯りが、次々に稲荷山に灯ります。
約2時間ほどの山歩きの後、本殿に提灯を返して「万灯神事」は、終了。「はい、お疲れ様でした」「参加させていただき、ありがとうございました…」とミモロ。
伏見稲荷大社の境内は、屋台が並び、祭りの賑わいが…。
「なんか、別世界にいたみたい…不思議な体験だった。でも、すごく楽しかった」と。すでに9時近くになり、家路を急ぐミモロです。
7月の宵宮の18時半すぎ。本殿の脇で、参加者を募り、それぞれのコースに分かれて出発します。山に入るコースは2つ。ほかに千本鳥居や境内の中を廻るコースなども。
*「伏見稲荷大社」の詳しい情報は、ホームページで。
人気ブログランキングへ
ブログを見たら、金魚をクリックしてね。夏バテぎみのミモロより