7月10日の夜行われた、八坂神社の神輿を鴨川で清める 祇園祭の「神輿洗い」の神事。ミモロは、お友達といっしょに、四条大橋の脇のビルの上から見物を。さて、四条大橋での神事を終えた神輿は、大勢の人たちに囲まれながら、八坂神社へと向かいます。
ミモロも四条通をうめる見物人の波に押し流されるように、八坂神社へ。
パチパチと燃える大松明からは、白い煙と時折、火の粉が飛び、燃えカスが、路上へと落ちてきます。四条通の突き当り八坂神社の西門の石段下で、しばし神輿は止まりました。
「ここでも何かするのかな?」と、見物人といっしょに神輿を見つめるミモロです。
四条通に面した朱塗りの西門は、八坂神社の正門と思われがちですが、実は、正門は、南にある南門。神事に参加するお稚児さんも、神幸祭、還幸祭の神輿も、出入りは、すべて南門から行われます。
さて、石段下で神輿を見ていたミモロは、小さな武将に出会いました。
立派な鎧兜を身に付けた少年たち。その装束は、なかなかりっぱ。さすが京都です。「この武将は、『神輿洗い』に先立ち、八坂神社と京都市役所を往復した『お迎え提灯行列』の一行です。この武将は、行列をお守りする役割を担ったています」と、祇園祭に詳しい「月桂冠大倉記念館」の高森さん。行列には、鷺踊りや花笠など、さまざまな衣装を纏った子供たちが参加しています。「八坂神社と市役所って、結構距離あるのよー。大変だったねー。すごく暑かったしー」と。
「あ、ご苦労さまー」と、突然、ミモロのお友達の高森さんが声を掛けたのは、神輿を担いでいた方。「彼は、うちの会社(月桂冠)の人間なんですよ」と、「へーお神輿って、いろんな人が担いでいるんだー」。
祇園祭で山鉾巡行には、京都の大学の学生や外国人が、ボランティアやアルバイトで参加し、山鉾の引手になっています。でも、神輿は、その日だけ担ぎ手として参加することはできません。
八坂神社の3基のお神輿で、中御座(ご祭神素戔嗚尊 スサノオノミコト)は、「三若神輿会(さんわかしんよかい)」。東御座(ご祭神櫛稲田姫命 クシイナダヒメノミコト)は、「四若神輿会(しわかしんよかい)」、西御座(ご祭神 八柱の御子神)は「錦神輿会(にしきしんよかい)」というそれぞれの会に属した人たちが担ぐことになっています。
なんでも神幸祭、還幸祭を、町を回る祇園祭で、1基の神輿を担ぐには、なんと300人ほどの人数が必要だそう。「京都の神輿、なかでも八坂神社の神輿は、大きくて、金具がたくさん付いているから、すごく重いよねー」とミモロ。そう、大きな神輿を担ぐには、つぎつぎ担ぎ手が交代しなくては無理。担ぐ人のメンバーチェンジが、手際よく行われて行きます。しかも京都特有の担ぐ時のステップや、神輿に付いたナリカンを揺らし、音を出したり、手をのばし、高く神輿をあげるさし上げる技を習得しなくてはなりません。「つまりー、その日だけ、お神輿担ぎになろうとしても無理なんだー」。その通り、お神輿を担ぐには、練習をかなり積まないとダメ。
さて、話を中御座のお神輿にもどしましょう。
この神輿を担うのは、儀式、事務などをトータルに統括する「三若神輿会」。その下部組織が、実際に神輿を担ぐ人たちが所属する「三若みこし会」で、約800人ほどのメンバーがいるそう。また、担ぎ手は、祇園祭だけでなく、京都市内などで行われる祭りでも、神輿の担ぎ手として、その地域の人たちと共に祭を盛り立てて行きます。「神輿の担ぎ手は、年間20回ほど神輿を担ぐんですよ。僕は、まだまだですけどー」とおしゃるものの、十数年のキャリアをお持ちの「三若みこし会」の方。
「ミモロちゃん、こちらは『三若神輿会』の会長さんですよ」と、高森さんにご紹介いただいたのは、なんとお神輿を担ぐ人たちのトップにいらしゃる吉川和男会長と奥様。祇園祭を取り仕切る重要なお仕事を担っていらっしゃいます。「はじめまして、ミモロです。お神輿大好きでーす」とやや緊張気味にご挨拶。
「今年は、17日の神幸祭のときに、京都市役所前の広場で、中御座の神輿を大船鉾のお囃子がお迎えするんですよ。これは、初めてのことなんです。ぜひ見にいらっしゃい…」と。
「えーミモロは、大船鉾の会所で厄除けちまきの授与のボランティアするんですよ」「へぇーそうなんですか…じゃご縁がありますねー」と。「はい、絶対見に行きます」とミモロは、すごく嬉しそう…。「では、これミモロちゃんにプレゼントします。特別な扇子なんですよ」と1本の扇子を渡されたミモロです。それがこちら・・・
表には、八坂神社の石段下で、3基の神輿が揃っている絵柄。裏面には、大きく「祇園祭」の文字が。
「特別ってなんだろ?」とミモロ…きっと関係者しか持てない扇子なのかも…。
「キャー今年は、この扇子もって祇園祭の見るんだー」と、いっそう張り切るミモロです。
さて、八坂神社の南門に到着した中御座の神輿は、境内に入る前に、門の前で、しばしの休憩。担ぎ手の人たちは、門の東にある「京料理 二軒茶屋 中村楼」の前で、力水を頂きます。
「なんか美味しそう…」、ミモロもご相伴にあずかります。
「うー美味しいお水…なんか特別な感じがする…」、ほどよく冷やされたお水が、渇いた喉をうるおしてゆきます。
なんでも、このお水は、大きな氷を溶かしたお水だそう。「レストランやバーなどで使われる氷なんだー。だから美味しのも頷ける…あのーもう一杯…ゴクゴク」。ミモロは、お神輿を担いでいないのに…。
中村楼の中で休憩しているミモロのそばに、焦げた竹が…。「これ、なあに?」とミモロは不思議そう。これは、あのお清めに使われた大松明の燃えた竹。家内安全の御守になるそうです。
やがて、力水で、パワーをチャージした担ぎ手は、神輿を境内へ。そして、拝殿中央に鎮座した神輿には、周囲に金色の飾りがつけられ、最後に屋根に鳳凰があげられます。3基揃った神輿は、何度見ても、その堂々とした姿に圧倒されます。
そして神輿の前で、「お迎え提灯行列」に参加した子供たちの鷺舞が披露されます。
「わーキレイ…。今年は、小さなシャグマがいるー」赤い毛のカツラをかぶった子供たちです。これも厄払いのお役目をになっています。
「なんかシャグマの赤い毛って、幕末、江戸に向かう官軍の人たちが、かぶっていたのを思い出すよね」。きっと威厳と古い体制を崩壊させ、新たな体制の到来を示す厄払いの意味を誇示したのかもしれません。
白い衣装を纏い、頭に鷺の顔をのせた子供たちは、古くからある鷺舞を華麗に披露。
「鷺踊りは、もともと京都にあったんですか、一度、途絶えて、それが島根の津和野に伝わっていたので、再び京都で復活させたものなんですよ」と、お友達の「月桂冠大倉記念館」の三輪さんが教えてくれました。
「わー今年の『神輿洗い』の見物は、去年と全然違って、濃いねぇー」とミモロは大感激。
高森さん、三輪さん、本当にご案内ありがとうございました。
ミモロは、目の前で繰り広げられる鷺踊りを、最後までじっと見つめていました。
さぁ、祇園祭も12日の山鉾の試し引き、17日の山鉾巡行など、つぎつぎに…。
夏の京都の町は、祇園祭一色に染められています。
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