連日、35度を超える暑さきびしい京都の町。全身毛皮のミモロにとって、この暑さは、かなり辛いはず…でも、顔色も変えず、今日も炎天下お出かけです。
さて、去る7月22日は、土用の丑の日。価格の高騰で、いまやステーキよりも高級品になった鰻。ミモロ、美味しい鰻は、食べられそうにないから、他のことで夏バテ予防をしましょう。ということで、向かったのは、京都の町の西方向にある「木嶋神社(このしまじんじゃ)」の「御手洗祭」です。


「木嶋神社」の正式名称は、「木嶋坐天照御魂神社」(このしまにますあまてるみたまじんじゃ)。ご祭神は、天之御中主命(あめのみなかぬしのみこと)、そして大国魂神(おおくにたま)、瓊々杵命(ににぎのみこと)、穂々出見命(ほほでみのみこと)、鵜茅葺不合命(うがやふきあえずのみこと)をお祀りしています。
今は、周囲を住宅地に囲まれた神社ですが、かつてこのあたりには、うっそうとした森があったそう。今も、その名残りを、境内の大きな杉の木などに見ることができます。

神社ある太秦エリアは、もともと渡来人秦氏が住まう地域で、この神社は、秦氏によって創建され、その名は、すでに飛鳥時代後期、大宝年間(700年ごろ)の文書に見ることができるという、京都でも、屈指の古社です。

さて、「木嶋神社」のご祭神は、水の神が始まりとされ、本殿の西側には、かつて清らかな水が湧いた「元糺の池」


「あれ?糺すって下鴨神社の森の名前じゃないの?」とミモロ。「元」という文字が付いていることを見ると、こちらが始まりということでしょうか。「提灯の紋も葵の葉だー」

さて、ミモロが訪れた土用の丑の日には、この「元糺す池」で、暑気払いの「御手洗祭」が行われます。清らかな水に手足を浸し、心身を浄めることで夏の病を祓うと信じられ、平安時代ごろから、続く夏の神事です。
池には、すでに地元の人たちが、足をつけてお清めを…。

「ミモロもするー」と、池に入ろうと…。


「キャー冷たい…」湧水ではなくなったものの、地下水は、ヒンヤリと冷たく、全身の汗が引くような清々しい心地に。さて、池の奥を覗くと、そこには、鳥居が池の中心部に立っています。

「なんか不思議な感じの鳥居…」。そう三つ柱の大変珍しい形。柱の向く方向は、北は、双ヶ丘、西は、松尾大社、東は、伏見稲荷大社と言われ、いずれも秦氏ゆかりの場所だとか。
鳥居の中央部には、石が積まれています。
「あのーここの下にはなにがあるんですか?」と、この日、神社にいらした氏子の皆さんに伺うことに。

「あの下から、水が湧いていたんですよ、昔は…。でも、周辺地域の開発が進んで、出なくなってしまったんです。この鳥居は、3つ柱で珍しい形ですが、ほかにも柱は、六角形で、これも珍しいもの」と。「エー気付かなかった…もう一度、見て来まーす」と、ミモロは、再び鳥居へ。「なるほど、よく見ると確かに…」。
「あのー今日、お神輿出るんですか?」と、拝殿に置かれた神輿が気になるミモロです。


「あれは、修理が終わったので、今日、お披露目をしているんです。祭りは、10月にあって、これより大きなお神輿が出るんですよ」キラキラ輝く神輿は、修理を終えて、誇らしげに鎮座しています。
「ミモロの住む、東山の岡崎の粟田神社にも大きなお神輿ありまーす。お神輿が、青蓮院に入る珍しい神事もあるの」と、ちょっと地元自慢を…。「粟田神社さんも歴史ある神社ですからねー。実は、この神社の神輿も、広隆寺に入るんですよ。そこで神輿を地面に直接置いて神事をします」と氏子の方。
「えー広隆寺にはいるのー。しかも神輿の直置き…」。神輿は、通常、馬といわれる木の台の上に置かれます。
広隆寺は、ご存じの通り、秦氏が建立したお寺。中には、美しい半跏思惟像の弥勒菩薩さまがおいでです。この神社と広隆寺の深い縁を物語る神輿の置き方です。
ちなみに、韓国ソウルの「韓国国立中央博物館」で、その像によく似た半跏思惟像を見たことがあります。この像とのお話は、またいずれ、広隆寺を訪れたときに…。
さて、話を戻して、「10月13日のお祭り、見にいらっしゃい…」と。うー、この日は、地元の粟田神社のお祭りも…。
「朝、粟田神社のお神輿の出発を見てから、ここに来てー。広隆寺に入るのを見学したら、急いでまた粟田神社に行けば間に合うかなー」とあれこれ頭の中でシュミレーション。
実は、粟田神社もこの木嶋神社、広隆寺も同じ三条通のそばにあります。「ということは、ここからひたすら東に歩くと、おうちに着くんだー」。まぁ半日かけるつもりでテクテク歩くと、理論上不可能ではありません。歩かなくても、地下鉄東西線の終点「太秦天神川駅」で京福嵐山線へと乗り継ぐだけで、40分ほどで粟田神社と木嶋神社はつながります。
「はい、今日はよく参拝されました。特別にこれプレゼント…」と、持っていらした手ぬぐいをミモロに。


「こんなに親切にしてもらってー。10月は、なんとか見に行こう…」。頂いた親切と贈り物に弱い性格。
秋は、電車を乗り継いで、2つの祭りを見ようと考える欲張りなミモロです。
「ねぇ、お腹空いたー。やっぱり鰻食べたいよー」。ミモロにとって、御手洗祭だけでは、暑気払いは不十分なよう。はい、わかりました…でも、小さな鰻で我慢してね…。
*「木嶋神社」(蚕の社)京都市右京区太秦森ヶ東町50 075-861-2074 境内参拝自由 京福嵐山線「蚕の社駅」下車徒歩5分。

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ブログを見たら、金魚をクリックしてねー。歴史好きのミモロより