祇園祭の山鉾が建つ10日。その夜は、八坂神社のお神輿を鴨川の水で清める「神輿洗い」が行われます。これは、八坂神社の3基の神輿のひとつ、中御座を代表して清める神事です。
「あの神事見るのって、四条大橋の上がすごく混雑して大変なんだよねー」と、昨年、見物したとき、人にもみくちゃにされて、しかもミモロは、小さいので、よく見えなかったという苦い経験を思い出します。
そんな心配をしているとき、「神輿洗いがよく見える場所があるので、ご案内しますよ」と、お友達からお誘いを。
もちろん「えーホント、それなら行く、行く…」と、即お返事。
「神輿洗い」の当日、ミモロは、お友達に連れられて、ビルの上へと上ります。


「わースゴイ、四条通が見渡せる…」とミモロが大感激したのは、鴨川の四条大橋の角、南座の向かい側に建つ大正5年創業の「レストラン菊水」の屋上ビアガーデンです。
「まだ、神輿が来るまで時間がありますから、まずは、乾杯しましょ」と。ミモロを誘ってくださったお友達は、伏見の「月桂冠大倉記念館」にいらっしゃる高森繁樹さん




日本酒は、さまざまな神事などに欠かせないもの。お二人とも、京都のいろいろな神社の神事や祭事に関して、豊富な知識をお持ちです。「いろいろ教えてもらっちゃおう!」と、ミモロは、楽しみに…。





「よく見える!ここって、ベストポジションだねー、でもお神輿じゃないよー」

男たちに守られながら、運ばれたのは、おけら火で点火した大きな松明。そこから白い煙があがり、あたりに立ち込めています。実は、この煙で、神輿がやってくる前に、八坂神社と四条大橋の間を浄めているのです。

しばらくして、いよいよ神輿が、八坂神社を出発し、鴨川へ。


ミモロは、身を乗り出して、見物。

神輿洗いで担がれるのは、屋根の鳳凰や周囲の金具の装飾を取り外した「はだか神輿」と呼ばれる状態の神輿です。



このビアガーデンに来るなら、夕暮れ時からがおすすめ。西山に落ちる夕陽が、周囲の山を染め、また家並みも見えます。夜になると、山は見えませんから…。
「ミモロちゃん、そろそろ下に降りて、神輿といっしょに、八坂神社に行きましょう」と高森さん。
「え?まだ見るものあるのー?」と、ミモロは、カラカラと下駄を鳴らしながら、急いで後を追いました。
