蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

磨耗。消耗。

2011-06-25 | 人生

ジムの帰りに、立ち読みした。

タイトルは、「風俗依存症」。
元、高級風俗嬢の手記。

部分的に重なるような内容のブログを読んだことがあるが、業界では似たようなことが起こるようだ。

風俗で働いていた女性が、職病上のウィルス感染から癌になり、
結婚して、風俗の世界から足を洗うまでのお話だった。

文章は、実に淡々として、客観的、理性的に、理路整然と書かれている。
著者は、小さい頃は水泳が得意な女の子だった。
だが、両親の不和と、学校での先生からのイジメで、中学時代に非行の道に走った。
自分を信じてくれない母親、
夢を追い仕事をする気のない父親とのケンカが絶えない家庭がイヤで、家出を繰り返す。

高校進学が危ぶまれていた頃、スカウトされ、
モデルからグラビアアイドルとして、人気絶頂期もあったが、やがて、ヌード写真集も、バブルとなる。
モデルの仕事に終わりが来ると予測していなかったため、芸能の鍛錬を積んでいなかったので、
芸能界では生き残れなかった。
ヘルスから出発し、キャバクラ、ソープ、と、風俗の世界で生きるようになる。
一時は、月収500万円の超売れっ子に。

彼女は、男性とのお付き合いは、とても真摯で真面目。
仕事も、とても真面目。
ひたむき、努力家。
これが、風俗の世界でなければ、また違った活躍をしていたかも知れない。

かつて、好きで得意だった水泳。
一時は、スイミングスクールのコーチをする時期もあるが、
(モデルや風俗の仕事に比べれば)給料もさほど良くなく(月収13万円?)、
面白くない仕事ということで、風俗の仕事に戻る。


女性が、肉体を駆使して、とても大変ではあるけれど、手っ取り早くお金を稼げる風俗の世界。
経済的には、あっという間に、自立できる。

彼女の場合、そう散財するタイプではないようで、
貯蓄してエステ(だったかな?)のお店をオープンしたが、
なにかの事情で(ちょっと忘れた・・・)、閉店せざるをえなくなって、また、元の世界に逆戻り。

ここらあたりまで、読んでいる間に、書店の店員さんが2回も、巡回してきて、
えへん、こほん、と、うろうろして、立ち読み、けん制。
じっくり読めなくなった。

で、急に、そわそわしだして、最後あたりは、ほとんど読めなかったが、
結婚して、幸せになっているようだ。

結婚相手も、そのお母さんも、ものすごく理解のある人のようだが、
かなり複雑な家庭事情の人。

知り合ってから、結婚するまでのいきさつや、
結婚してから、どうやって風俗依存症から抜け出せたのかは、読む余裕がなかった。
この本は、この部分が一番大事な要(かなめ)だと思う。
(皮肉にも、わたしが、読んでいない部分)

彼女は、まだ20代なので、これから、今後どうなるのかはわからないが、
真面目な理知的な女性なので、家庭事情と、学校の先生がもう少し良ければ、
違った人生のコースを歩んでいただろう。

やっぱり、家庭と、学校は、大きな影響を与えるようだ。

彼女のように、将来ある、可能性のある、容姿端麗の若い女性を、
消耗品のごとく、使いつぶしてしまうような、そんな世界は、こわいと感じた。

お金を手に入れる手段として、一度、身に付いたものは、なかなか抜けない。
手っ取り早く、即座に現金が手に入るという、魅力には、打ち勝てない。

結果的には、職業に起因するウイルスの感染で、癌になってしまい、彼女は絶望の淵にいた。
それでも、虚無感を埋めるために、それしか知らない、風俗の仕事をやみくもに続けた。

それしか知らない。
モデルや風俗の仕事。一度知ると、ほかの仕事が、ばかばかしくなる。
彼女の場合は、そうだった。
彼女を絶望に追いやったのも、その仕事。
絶望から瞬間的に逃避するのも、その仕事。
結局、人によって、結婚によって、助けられたわけだが。


書店の店員さんが、仕事熱心でなければ、もっと、ちゃんとこの本を読めたのだが、
たいへん結構なことに、店員さんが真面目に職務を行っていたため、
中途半端な立ち読みとなってしまった。

(でも、立ち読みだけでなく、ちゃんと、ラジオフランス語講座のテキストは買いましたよ~)

最後のところをしっかり読めていないからか、
彼女は、まだ若いので、この先、この結婚がうまく行くとは限らないと思った。
なぜなら、彼の生い立ちが、あまりにも問題を抱えているから、
人格に大きな影を落としているのではないかと想像する。
だがしかし、それでは、出版本として、救いようがないから、そんな結末にはなっていないだろうけれど。
わたしが、勝手に、そう感じただけだ。

大きな困難を抱え、結婚後の今からが人生と真正面から立ち向かう本勝負でないかと
シンデレラ・ストーリーを信じない、わたし。
(このケースは、逆シンデレラ? 変形・応用シンデレラ?)
これで安心、めでたし、めでたし、よかったね、ではなくて、これから、が、まさにスタート。

結婚により、一時は救われ、傷を癒し、その後、本当の新しい自分が確立される。
結婚や人に依存して、幸せが掴めるほど甘くない。
新しい自分は、結婚している自分なのか、結婚していない自分なのか、その時になってみないとわからない。

どういうカタチであれ、幸せ、安らぎの絶頂で死んでいけたら、わたしなら、本望かも知れない。
(人間は欲張りなので、なかなかそう上手くいかないけれど)



わたしの感想も、締めくくりの甘い、〆のない、とても中途半端なものになった。
(と、本屋さんのせいにしては、いけませんね)

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で、結論は?
買って読んでください。
(ちなみに、わたしは、本屋の回し者ではありません)