子どものころ、夕暮れは貴重な時間だった。夏の間、農家では日が暮れるまで働く。兄や姉が、小さい子と遊ぶのは、日が落ちて辺りが見えなくまでの、短い時間だった。カラスが塒に帰り、日が陰るまで、シーソーに乗ったり、相撲に興じた。つい遊び過ぎて、暗くなると、家の中から「ご飯ができているのに、いつまで遊んでるの」と叱られた。昨日、晴れた日の夕暮れ、山の端がピンク色に染まった。こんな気持ちのいい夕暮れは、今年あと何回見られるだろうか。
夕暮れの時はよい時。
かぎりなくやさしいひと時。
それは季節にかかはらぬ、
冬ならば暖炉のかたはら、
夏ならば大樹の木かげ、
それは神秘に満ち、
それはいつも人の心を誘ふ。 (堀口大學)
今日は冷たい曇り空。明日の晴天を祈りながら、温泉で身体を温める。霜降が過ぎ、日一日と冬の季節がやってくる。