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技術士二次試験制度の改正についてのパブリックコメント

2005-10-31 06:51:21 | 技術士
 技術士二次試験制度の改正についてのパブリックコメント、先ほど提出しました。先週、今週、修羅場なんで、キツかったです。本日18時までですので、是非、数行でもいいから書いて出しましょう。
意見は下記まで。
gishi@mext.go.jp
suzuさんのパブコメ公開はこちら
関連記事は
http://blog.goo.ne.jp/mike-mie/e/3d1338c639dd69dfa1326ee0c8072139

パブリックコメント:
 技術士二次試験から「技術的体験論文」、すなわち業務経験を問う問題を削除することに関して、意見を申し上げます。
 技術士制度は、我が国の科学技術と経済の発展に資する専門的応用能力を備えた人材を選択し、国民生活に生かすための資格試験制度でありますから、仮に取得に負担があってもそれを乗り越えるべきもので、負担の軽減というのはそもそも目的にそぐわないと私は考えております。また暗記力、速記力でやっとのことで「技術的体験論文」を記述し、試験を突破できるようなレベルでは、日常の技術的問題発生に対し、臨機応変に巧みに対応することはできないと考えます。
暗記力のみで試験を突破できるのではないか、という危惧に対しては、問題を毎年少しずつ組み換えることで、緊急に発生する技術的諸問題に対応し、問題解決を図れる能力を判定できるものと考えます。
 実際に、私が生物工学部門の技術士を受験した平成6年度には、技術的体験を問う問題に関する設問(要求された項目)が従来とがらりと変わりました。ある程度想定準備していた解答の骨子を瞬時に組み換え、再検討し、さらに全く異なった視点からの設問に対する回答を引き出し、論文を作成し、解答用紙に一挙に書き下ろすという作業を、限られた時間内で行いました。暗記力のみで突破できるものではなかったと考えております。
 また、長文ということに対しては、平成14年度までは4000字を3時間で記述していたものが、平成15年度より3600字を3時間で記述することに変わりました。3600字とは通常のA4ワープロ報告書でわずか2ページ分程度であり、一つの技術的課題を挙げてその解決方策と経過、成果、将来展望を記述するには、実際に所属組織や企業などで技術報告文を書いたことのある方なら同意させると思いますが、最小の文字数であり、速記力も特に必要とは考えません。パソコンに慣れた現代人には文字を鉛筆で書くという行為自体が確かに不慣れで苦痛なことかもしれませんが、「長文な論文形式の問題の出題があり、また、受験者の暗記力、速記力を問うものとなっている」との削除理由は、妥当ではないと考えております。
 「暗記力」という文言が解答の充分な事前準備が可能であるということを指しているのであれば、毎年の出題に変化をつけるだけで、答案文章の丸暗記という事態は排除することができます。
 確かに試験というものはすべからくある程度の暗記力が必要であることは否定しません。しかし受験に際して重要なポイントを把握しておき、それを骨子として試験場で論文を組み立てていく能力は、実際の業務で、現場で発生した技術的課題に対し、問題解決を図る能力を測る能力と共通するものが多いと考えます。また、顧客の要求を事前に調査・把握して資料を準備し、さらに顧客の前でのプレゼンテーションで相手の要求に対し瞬時に回答を導き、受け答えすることは技術者業務の基本でありましょう。
 その点、業務経験を問う論文の作成は受験者が、自らの能力を提示して相手先に売り込むという、技術者業務の基本を忠実に再現する作業ともなっています。
多くの受験者は、技術士試験の業務経験を問う論文の準備の中で、はじめて自らの業務経歴を振り返り、業績の棚卸しを行います。通常、組織の分業体制の中では細分化された業務しか果たすことができない若手技術者が、はじめて業務全体を俯瞰し、社会における経済性を考え、仮想体験する貴重な成長の機会でもあるのです。その機会をなくすることは、我が国の技術者の修習・研鑽において、大変な損失であると考えます。
 今回の改正案文では、業績を問う問題を全廃するわけではなく「口頭試験前に技術的体験論文(図表等を含め3,000字以内でA4用紙2枚以内とし、白黒とする。)を口頭試験の一部として提出する。」とされていますが、この改正案であれば、論文に記載された内容が本人の実体験であることの確認が非常に困難になります。
 ここで提出を求められる「技術的体験論文」は試験会場で作成するものではないため、極端な場合、全文を他人が代作することも可能となります。確かに、その業務実績が本人には全く未経験のものであれば口頭試験で発見することも可能かもしれません。
 しかし、実社会でしばしばあるようにチームの共同作業において実施した業務であれば、他のメンバーの創意工夫の一部を自分の業績として虚偽記載し、それを口頭試験で答弁することは十分に可能であり、その事実を口頭試験の試験官が発見するのは至難の業であると思われます。
 また、事前提出する方法になれば、「技術的体験論文」は口頭試験を実施するときに試験官が質問を行う際の補足資料に過ぎないものとして扱われるのであって、それによって受験者の専門職技術者としての能力を、直接かつ厳密に評価判定する対象ではありません。筆記試験の限られた時間で、限られた場所で作成した「技術的体験論文」とは、似て異なるものであると考えます。さらに筆記試験において論文を記述する能力は、口頭試験で抗弁する能力とは別の能力であり、口頭試験で判定するのでそれでよいではないか、という主張は妥当ではないと考えます。
改正案のように、「技術的体験論文を技術士第二次試験の筆記試験から排除すること」は、若手技術者にとって技術的応用能力を研鑽する機会を奪い、我が国の技術的競争力をそぐことになると信じます。
 以上の理由から、「技術的体験論文」は現行のまま、筆記試験の一部として実施されることを強く希望いたします。                 以上