徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 十二 歳歳年年、志同じからず』(ビーズログ文庫)

2022年03月15日 | 書評ー小説:作者ア行

『茉莉花官吏伝』の最新刊を発売と同時に購入し、早速一気読みしました。
(本当は別の本を読んでいる最中なのですが、とりあえずそれを脇に置いて)

「絶対に失敗する任務」 として山に囲まれたバシュルク国への潜入捜査に送り込まれた茉莉花は、第一関門であった傭兵学校への入学を果たしただけでなく、とんとん拍子で進級して3年生の幹部候補生となり、野外演習に出かけた際にムラッカ国の襲撃に遭遇してしまい、異国人はおろかバシュルク国民ですら立ち入りが制限されている要塞の内側へ避難することになります。
ムラッカ国兵たちが外側の街を火の海にし、内側には避難民たちと共に間諜が入り込んで井戸に毒を入れる可能性を予見した茉莉花は、バシュルク国に窮地を救うため、茉莉花の監視を担っていたアシナリシュ・テュラ軍事顧問官の協力を得て、皇帝の信頼の証として下賜された禁色の小物を売り、バシュルクの傭兵を一部隊雇って両国の停戦合意を目指して作戦行動をとります。

潜入中で身分を偽称しているので、様々な本当と偽の設定を使い分けてバシュルク国とムラッカ国の仲介をこなすという難しい役割を果たします。
この彼女の作戦行動がハラハラドキドキするポイントですね。

もちろん彼女がはるかに期待を上回る外交的成果を上げて帰国するのは予定調和ですが、こうして見事に「出る杭」から「空高く飛ぶ鳥」に変身した彼女の周りは今までとは別の意味で騒がしくなり...次巻へ続きます。

一体彼女は今後、どんな活躍をするのか、そして皇帝・白陽との「恋人ではない好き合う関係」はどう発展していくのか楽しみです。



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