『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

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[映画『ハート・ロッカー』を観た]

2010-03-14 15:51:02 | 物語の感想
☆今年のアカデミー作品賞だそうだが、私にはどうも、一個の作品としては優れているが、このような冠が与えられるほどの作品とは思わなかった。

 イラクでの米軍爆弾処理班の活躍を、ドキュメントタッチに描いた作品であるが、その物語性の希薄さに、何度も眠気に襲われた。

 キューブリックの作品の如く、客観的かつ硬質な作風であった。

 監督のキャスリン・ビグローには、20年ほど前に、『ブルースチール』や『ハートブルー』を「一風変わった」アクション映画として楽しませてもらったものだ。

 その「一風変わった作風」とは、「妄執」に代表されるような「情念」が、作品上突出して、その娯楽アクションとしての作品を酷く歪なものにしていた点などを言う。

 だから、その「情念」と対極にある、この『ハート・ロッカー』の冷徹な視点が、どうしても信じられなかった。

 いや、極から極への、ビグローの感情移行を推察すれば、そこに基準点からの正反対だが同距離の移動が認められ、そこに理由を読み取れもするのだろうけど、そこまで私はしたいとも思えない。

   ◇

 やや異なるシチュエーションで、処理すべき爆弾は、次々にチームに襲い掛かる。

 それを、一件づつ、処理していく。

 相手は爆弾で、一つ間違えれば大爆発。

 だから、緊張感は続き、そして、それは無理矢理でなく、見事な演出で裏打ちされる。

 ジェームスと言う爆弾処理カリスマをリーダーとしたチームは、イラクの街中、現地の人々が普通に暮らす中で、爆弾と対峙し、地獄を見る。

 現地の人々の漆黒の瞳は、一般人のようでもあり、監視するテロリストのようでもある。

 チームは、爆弾から離れるように民衆に叫びつつ、その民衆がテロリストの一員である可能性も捨てきれず、その一般的な感情と、疑心と言う二律背反で神経を疲弊させていく。

 先ほども語ったが、この作品は物語性を極力排している。

 だから、メンバーのプライベートも描かれ、その心情も語られるのだが、希薄な印象だ。

 それだからこそ、淡々と状況が見ている者に押し寄せてくると言う見方もあるのは分かる。

 だが、アカデミー賞という冠には、もっとグイグイと、観ている者を牽引してくれる、目に見えたパワーが欲しいと私は考える。

 私は、似たタイプの作品として『ブラックホーク・ダウン』の方が、この作品の数百倍優れていると思う。

                                         (2010/03/14)

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6 コメント

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Unknown (劉備義徳)
2010-03-14 16:02:02
そうですね
賞には政治的な判断がつきものだと思います。
私も”ブラックホークダウン”を観たので、どうしても比較対象になってしまいます。
後を引く印象は、今回は薄いですね。
ハートロッカー (プールサイドの人魚姫)
2010-03-14 18:25:20
TBありがとうございました。
この作品はDVDを持っているので、公開前に見ておりました。
御二方へ♪ (ミッドナイト・蘭)
2010-03-14 23:05:41
>>劉備義徳さんへ♪

爆弾処理のそれぞれが、途中からやや単調に感じてしまうのですよね。
「ベッカム」の存在など、かなり良かったですが・・・。

>>プールサイドの人魚姫♪

海外版ですかね?
もしかして、「ベッカム」君から5ドルで買ったDVDですか?^^;
こんにちは。 (ミスターシネマ)
2010-03-22 10:31:22
ミッドナイトさん、こんにちは。
ミスターシネマです。
いつもトラックバックをありがとうございます!

自身のブログにも書きましたが、戦争で味わった興奮や刺激が忘れられなくて現場復帰なんて、生き地獄のような感じもしますよね。

イラク戦争はまだ終結していないので、ああいう処理班の人が、イラクに限らず、世界のあちこちで亡くなっていると考えると、非常に胸が痛みます。

オスカーを受賞作品だから見るのではく、爆弾処理班の仕事や、戦争の実態を知りたいという気持ちで見たほうがいいかもしれませんね。
ミスターシネマさんへ♪ (ミッドナイト・蘭)
2010-03-22 11:25:41
こんにちわ♪

>>戦争で味わった興奮や刺激が忘れられなくて現場復帰なんて、生き地獄のような感じもします

その辺が微妙ですが、ジェームスは、正義感と使命感と悪趣味の兼ね合いの中で、任務を継続しているのでしょうね。

私は、カンボジアの地雷原を、石の上を飛び飛び進んだことがありますが、カンボジアの子供におもちゃを配り喜んでもらうということもありましたが、同時に、自己顕示欲もありました。

私は、この作品は、先に見た『NINE』と似たものを感じます。

物語性は深いが希薄で、踊りのシーンが爆弾処理のシーンと重なるわけです^^

>>オスカーを受賞作品だから見るのではく、爆弾処理班の仕事や、戦争の実態を知りたいという気持ちで見たほうがいいかもしれませんね

御意!!
TBありがとうございました (シムウナ)
2010-03-22 19:06:12
TB有難うございました。
ドキュメンタリー風の作品なので
ストーリー性は皆無でしたが、爆弾処理班から
戦争の日常が非常にリアルでした。

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