田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 №370 ローマの休日

2023-12-21 21:35:46 | 映画観賞・感想
 ご存じのようにハリウッド映画で一世を風靡したオードリー・ヘップバーンの初期の代表作である。ヘップバーンの輝くような笑顔と溌溂とした演技に誰もが魅了されてしまう映画である。一方で、映画を観ながら日本の皇室についても考えが及ぶところもあった…。
        
 いったい何度目の「ローマの休日」だろうか?おそらく3~4度目ではないかと思うが、本日午後、かでる2・7において「道民カレッジ」が開催した映画会に参加した。映画会では午前中に「続・深夜食堂」、午後から「ローマの休日」が放映されたのだが、私は午後の部のみに参加した。
 映画については説明の要もないのだが、1953(昭和28)に公開された映画である。主演のヘップバーンは当時24歳というまさに青春真っ盛りという年代の映画で、彼女のこの映画でアカデミー賞主演女優賞を獲得している。
 ストーリーはヨーロッパの小国の王位継承者であるアン王女(オードリー・ヘップバーン)は、イギリス、オランダ、フランス、そしてイタリアのローマと訪れたが、過密スケジュールのための疲労と、自由のない生活に不満が生じ、ヒステリーを起こしてしまう。
       
 そうした中、宿舎の厳重な警戒網を抜け出したアン王女は、彼女の動静を伝えるアメリカの通信社の記者であるジョー(グレゴリー・ペック)と出会い、つかの間のローマの休日を楽しむというストーリーである。
 アン王女たちが訪れたトレビの泉、ローマ階段、コロッセオ、フォロロマーノなどは、白黒ではあったが、私にとっても懐かしい光景の数々だった。(ちなみに私がローマを訪れたのは、1968年だから映画より15年後ということになる)
 映画はアン王女とジョーは淡い恋心を互いに抱きながらも、王国の王位継承者である自らの立場を顧みて、アン王女はローマの宿舎に戻っていったのだった。  
 このあたりを観ていて、私は日本の皇室のことに思いをはせていた。つまり皇室に身を置くことで不自由さを感じていたと伝えられた小室真子さんのことである。彼女は自らの自由を求めて皇室を離脱した。つまりアン王女と小室真子さんはまったく反対の選択をしたのであるが、まあ時代も環境も違うので一概に比較することは出来ないのだが…。
 映画を観賞していたのは、私と同世代の方が多く、それぞれが何度目かの「ローマの休日」だったが、皆楽しそうに観賞されていた。映画が公開されてすでに70年、主演した二人もすでに亡くなられている。それでもまだ観る人たちを魅了し続けるところがこの「ローマの休日」の素晴らしさであり、主演の二人の魅力が色あせないということなのだろう…。


2.26事件と旭川(第7師団)

2023-12-20 21:56:15 | 講演・講義・フォーラム等
 昭和の初期(昭和11年)、日本中を震撼させた2.26事件の関係者が3人も旭川に住んでいたことがあるという。ノンフィクション作家:梯久美子氏の執拗なまでも史実を追い求め、それを語る姿に圧倒させられた2時間だった。

 梯氏の講演を聴いて帰宅したばかりである。まだまだ梯氏のお話を咀嚼出来てはいない。いつか落ち着いてレポできたらと思うが、とりあえず聞いたばかりのお話の概要を綴ってみたいと思う。
 本日、午後6時から自治労会館で「労文協リレー講座」の第3回講座が開講され聴講してきた。本日の講師はノンフィクション作家の梯久美子さんだった。テーマは「この父ありて~二・二六事件と昭和史の中の旭川」という演題だった。
      
 梯氏は最新刊として「この父ありて~娘たちの歳月」を上梓しているが、その中で梯氏は9人の女性作家と父親との関りを取り上げているが、今夕はその中から旭川に関係のあった二人の女性を取り上げて語ってくれた。
 二人とはノートルダム清心女子大学の学長、理事長を務められた渡辺和子氏、もう一人は歌人の齋藤史氏である。
 渡辺和子氏は2.26事件で犠牲となった教育総監の渡辺錠太郎の次女である。
 一方、齋藤史氏は歌人として歌会始の召人を務めるなど歌人として名を成した人だが、2.26事件で反乱軍を幇助したとして禁固刑となった陸軍少将の齋藤瀏の長女である。
 その渡辺錠太郎は1926(大正15)年から3年間第7師団長を務めるが、その時師団参謀長を務めたのが齋藤瀏だという。
 リード文で第7師団関係者を3人と記したが、もう一人は反乱軍のリーダーの一人だった栗原安秀は旭川の小学校で齋藤史と同級生で、成人してからも親交があったという。
      
 梯氏のお話は、梯氏が実際に渡辺和子氏、齋藤史氏の両氏に実際にお会いしてお話を伺ったことについてのお話だった。
 特に渡辺和子氏は、9歳の時に父・錠太郎が青年将校に射殺される場面を間近で目撃したという大変な体験をされた方である。その体験を肉声で渡辺氏のお話を伺ったというのだから、それは貴重なお話だった。
 また、齋藤氏も父の思いを汲んで昭和天皇に対して複雑な思いを抱いている心の内を聴いたという。
 詳しくその内容を今日現在は私の筆力ではまとめきれない。いずれかの日に再度取り上げることができればと思っている。
 リード文で「日本中を震撼させた……」と記したが、実は事件発生当時は関係者以外はほとんどその事実は伝えられていず、一般市民や地方の者にとっては無関心状態だった。その後その事実が伝えられたことにより、コトが重大だったことを日本国民は知ることになるのである。
 それにしても、このような歴史的事件の関係者が3人も旭川(第7師団)に在住した経験があったとは驚くべき事実である。
 実はつい最近、2.26事件をモチーフとした宮部みゆき著の「蒲生邸事件」という長編を読了したばかりであった。不思議な縁を感じつつ、梯氏のお話に耳を傾けた私だった…。


ドビッシーのおもちゃ箱 コンサート

2023-12-19 15:02:11 | ステージ & エンターテイメント
 初体験のコンサートだった。C.ドビッシーが愛娘のために友人が創った絵本に曲を付けたものだという。会場には多くの幼児たちも詰めかけていたが、メルヘンに満ちたお話と音楽に真剣に耳を傾けていた。
        
        ※ 配布されたパンフレットです。
 12月17日(日)午後、「なの花薬局」提供「子どもといっしょに聴きたいコンサート」ウィスティリアホールで開催され、年齢不相応のお爺が参加してみた。
 コンサートは表記のようにC.ドビッシーの友人であるA.エレという挿絵画家が「おもちゃ箱」と題した絵本をドビッシーに見せたところ、それにインスピレーションを得たドビッシーがその絵本に曲を付けたものをナレーションとピアノ伴奏で聴かせてくれるコンサートだった。
        
        ※ 開演前のステージの様子です。(開演中は撮影禁止)

 ナレーションを担当したのは声楽家として中央で活躍している谷石奈緒子さん、ピアノは札幌を中心に活動を展開している新堀聡子さんが担当された。
        
        ※ ナレーション担当の谷石奈緒子さんです。

 紙幅があるので渡されたパンフに紹介されていたA.エレ作の「おもちゃ箱」のあらすじを紹介すると…、
  この物語は、おもちゃ箱の中で起きたおもちゃ箱のお話です。
 おもちゃ箱の中では、おもちゃたちが人間のように暮らしていました。
         【第一場】おもちゃ屋
  夜になると、おもちゃたちは目を覚まして遊び始めます。
  お人形さんやピエロたちがダンスを踊っていると、
  それを見ていた兵隊さんは、そのうちの一人に恋をします。
  でもお人形ちゃんは、怠け者で移り気でケンカっ早い
 ブルチネッラに夢中でした。
         【第二場】戦場
  お人形ちゃんを巡り兵隊さんとブルチネッラは戦争を始め、
 怪我をしてしまいます。
  意地の悪いブルチネッラは、お人形さんを捨てて去っていきました。
         【第三場】売られる羊小屋
  ブルチネッラに捨てられたお人形ちゃんは、
 兵隊さんを介抱しているうちに、彼を愛するようになります。
    【第四場】お金持ちになってから~【エピローグ】
  その後、二人は結婚してたくさんの子供をつくりました。
  一方、自由人のブルチネッラは田園の監視人になりました。

  こうして、おもちゃたちの生活は、続いていくのでした。

 時間は30分と聴いている子どもたちが耐えうるちょうど良い時間だったのかもしれない。谷石さんの素晴らしいナレーションが子どもたちの興味を惹き付けたものと思えた。音楽も効果的にお話を盛り上げる役を果たしていたと私は受け止めた。
        
        ※ ピアノを担当した新堀聡子さんです。

 朗読に音楽を付けたステージは先日も体験したが、初めから音楽とストーリーがセットとなったステージは初体験だった。次回も機会があれば是非とも参加してみたいと思っている。                                         

道民カレッジ デジタル講座が修了!

2023-12-18 16:02:27 | 講演・講義・フォーラム等
 6月29日に第1回目の講座が始まって以来、初心者、シニア向けの「スマホ講座」、「パソコンセキュリティ講座」計29講座が先日12月15日に全日程を終了した。どれだけ身についたか?と問われるといささか自信はないのだが…。
       
 デジタル講座が始まった6月29日(木)の第1回講座の様子について(株)BWORKSの代表の方が講座全体を紹介する様子を拙ブログでレポしたが、その後少し間をおいて8月17日から本格的に週2回くらいのペースで「スマホ教室」が開講されていた。指導は前半が恵庭市にある「北海道ハイテクノロジー専門学校」の生徒が、後半は(株)BWORKSのスタッフが講師となって指導してくれた。その講座の内容を羅列すると…、
 ◇はじめの一歩
 ◇アプリを使おう
 ◇スマホ基本操作
 ◇インターネット利用の基本
 ◇アプリを使おう
 ◇SNSを始めよう
 ◇ネット犯罪を知ろう
       
 ◇電話のかけ方と文字入力
 ◇アカウントの作成
 ◇アプリの入れ方
 ◇Wi-Fiの使い方
 ◇インターネットの使い方
 ◇メールの使い方
 ◇カメラの使い方
 ◇SNSの使い方
 ◇マップを使いこなす
 ◇フリースタイル
      
 ◇デジタルの基本操作
 ◇SNSの正しい使い方と運用及び設定
 ◇クラウドとは何か
 ◇情報流出防止策の徹底
 ◇迷惑メールの対処法、フィッシングメールの取り扱い方
この一覧を眺めてみて、スマホを使いこなしている方にとっては「なるほどね」というような感想かもしれない。
 私もスマホを手にしてすでに10年近くなるからかなり不自由なく使っているつもりだが、実感としてはまだまだスマホの機能を十分に理解し使いこなしている感覚ではなかったので、受講を決めた。
 受講態度は、前半は毎回しっかりと受講していたのだが、後半は自分の都合を優先して欠構もしばしばだった
 成果としては、これまで気付いていなかった機能の新たな発見が多々あったが、いま思い出してみるとそれがしっかり身に付いたかというといささか自信がないのだか、何かトラブルに見舞われたときに受講したことを思い出すことがあるのではと密かに期待している。
         
 一方、11月に入ってからは「パソコンセキュリティ講座」が並行的に始まった。こちらの講師はテレビ映像関係に関わっていたという中山和夫氏という我々と同年代のシニアの方だった。中山氏は当然といえば当然なのだが、非常にパソコンに詳しい方だった。その講座内容を羅列すると…、
 ◇デジタルの基本知識
 ◇SNSの正しい使い方と運用及び設定
 ◇クラウドとは何か
 ◇情報流出防止策の徹底
 ◇フィッシングメールの取り扱い方
 1回目のガイダンス的講座を除き、自分のパソコンを持参しての講座だった。
 講座は私にとって驚きの連続だった。中山氏の講座はとにかく「インターネットの世界がいかに危険に満ちた世界であるか」を繰り返し強調された。特に私たちの個人情報がMicrosoft社などによって簡単に収集されているということなのだ。それを防ぐためには、パソコンの設定を自分で設定し直すことが大切であるとのことだった。
 パソコンに精通されている方なら問題ないことなのかもしれないが、私のような一般人(いや遅れているのかな?)にとっては、とてもそうしたところまで気が回らない、気が付かないことばかりだった。中山氏の指導に従い懸命に設定作業を行ったが、中山氏の指示に付いていくのが精一杯で、はたして安心な状況となったかどうかも判然としないというのが正直な感想である。
 講座の最後に道民カレッジの方が「シニアの私たちにとって、こうしたことは何度も何度も受講することでようやく身に付けることですから、来年もぜひ受講しましょう!」という呼びかけがあった。まったくその通りだと思った。もう一度、二度素直に学び直したい…。         

ソプラノとピアノのベストマッチ(?)を聴く

2023-12-17 19:21:48 | ステージ & エンターテイメント
 ベストマッチなどと称すると、他に活動している方々からお叱りを受けるかもしれない。しかし、私にはそう思えた昨日のウインターコンサートだった。短い時間だったが、お二人の演奏は満員の聴衆を十分に満足させてくれる内容だった。
        
 コンサート三昧の昨今である。昨日(12月16日)午後、「札響の第九」を聴く前に、札幌市民ギャラリーで開催された「ウインターコンサート」に足を運んだ。コンサートは札幌市民ギャラリーが提供する無料のコンサートとあって、定員100名と聞いていたが急遽椅子を運び入れていたのを見ると130~40名以上が駆け付けていたのではないだろうか?
 コンサートの出演はソプラノの高橋茉椰さんピアノの千葉皓司さんがデュオで出演した。二人はまだ若手の演奏家であるが、二人とも札幌を中心に活動されている方で、さまざまな大きなステージを務められている経験豊かな方のようである。
 この日演奏された曲目は、
 ◆木下牧子/雪の街
 ◆木下牧子/さびしいカシの木
 ◆木下牧子/誰かがちいさなベルをおす
 ◆J.シュトラウスⅡ世/オペレッタ「こうもり」より 公爵様、あなたのようなお方は
 ◆(ピアノソロ)O.レスピーギ/ノクターン
 ◆(ピアノソロ)徳山美奈子/序の舞~上村松園の絵に基づく~
 ◆J.S.バッハ/C.グノー/アヴェ・マリア
 ◆J.オッフェンバック/歌劇「ホフマン物語」より 生垣に小鳥たちが
〈アンコール〉
 ◆G.プッチーニ/私のお父さん
 高橋さんは木下牧子作の小品を丁寧に歌った後に、J.シュトラウスの「公爵様、あなたのようなお方は」というオペラの曲を披露して聴衆を驚かせた。鍛えられた高音が会場内いっぱいに響き渡り、演奏を終えた時に聴衆から思わず「ホーッ」というため息がもれた。
         
 またピアノの千葉さんもピアノソロで徳山美奈子作の「序の舞」の難曲を繊細な指さばきで弾き終えたときには千葉さんの非凡さを教えられた思いだった。
         
 そしてコンサート終盤にはクリスマス定番の「アヴェ・マリア」も「クリスマスだなぁ-」との思いを強くさせてくれた一曲だった。
 無料とはいえ、このようなレベルの高い演奏を聴かせてもらえるので、これからも機会があれば駆け付けてみたいと思っている。 


札響の第九 XV

2023-12-16 22:58:42 | ステージ & エンターテイメント
 第一ヴァイオリンが囁くように滑り出す、背筋がゾクゾクッとする瞬間だ。今年もまた「札響の第九」を聴くときがやって来た。今夕、もはやの年中行事ともなっている「札響の第九」を楽しみ、友人たちと細やかな忘年の宴を共にした夜だった。
         
 ローマ数字で「XV」は15である。つまり私たちは今夕15年連続で札幌交響楽団のベートーヴェンの交響曲第9番ニ短調「合唱付き」を聴いてきた。もはや私たちにとっては習い性となっている「札響の第九」なのだが、あの第4楽章の大合唱を聴くことで今年も暮れゆくことを実感した瞬間だった…。
 今年はいつもの席とは違い(ここ数年はステージ背面のP席だった)ステージ横となるRA席をH氏が確保してくれた。(しかも一番前列の席だった)この席だと、ヴォーカルの4人(ソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バリトン)の方や、合唱団の声を前から聴くことができた。
 指揮は松本宗利音氏という指揮者としては若干30歳という若い方だった。そしてソプラノは北海道・鷹栖町出身という中江早希さんがKitaraに凱旋出演という形だった。
 演奏はいつもの札響で安定した音を出していたと私は感じた。私のような素人には年毎の演奏の違いなどは感じ取ることができない。最後の合唱に大感激して今年の「札響の第九」も終わった。ただ一つ、指揮者の松本氏が若干30歳ということで注目していたのだが、その指揮ぶりにはいささかの硬さのようなもの垣間見えた思いだった。尾高忠明さんや広上淳一さんたちベテランの方々の余裕のある指揮ぶりとは違い、余裕のようなものを感ずることができなかったのだが、それは経験を積むことによって解消していくものなのかもしれない。
         
 また、中江さんの歌声に期待していたのだが、楽譜上完全なるソロで歌う場面は少なく、十分に彼女の歌声を 耳にすることができなかったのは残念だった。
         
 それよりなにより、今夜のコンサートで衝撃を受けたのは「第九」の前に演奏された藤島大作曲の「グローリアス・クラウズ(Glorious Clouds)」という曲の演奏である。
 Glorious Cloudsとは「素晴らしい雲」と訳されるようだが、作曲者の藤島氏によると、曲は地球上のあらゆるところに生息する “微生物” の様子を音楽的に表現してみたいと考えて作曲したものだという。
 それは出だしから不協和音の連続のような演奏だった。現代では人間の体内に生息する細菌を顕微鏡で映し出し、それをテレビで見ることもできる。その様子は細菌が体内を無目的に右往左往しているようにも見える。そのような様子を音楽的に表現したようであった。
 私はいつそのような音楽が、いわゆる既成の音楽のように整った音色を紡ぎ出すのかと待っていたのだが、曲は最後まで私には不協和音としか聞こえない奇矯な音を出し続けて終わった。最後までそのような音楽を貫き通したことで私は反対に「凄い実験的な音楽を作曲したものだ!」と感嘆してしまった。
 演奏した札響の奏者たちも素晴らしい!一つ間違えば、ただの雑音になりかねない音楽を演奏し切ったのだから…。この曲は素人が手を出すべきではない、と思えた一曲だった。
  
 なんだかおかしな感想となってしまったが、実験的な音楽と、伝統的な音楽と両極端の音楽を聴くことができた今年の「札響の第九」だった。
 聴き終えた私たちはKitaraの近くのホテルでささやかな忘年の宴を催し、できれば来年も4人揃って「札響の第九」を楽しみたいと約して散会したのだった。


かでるクリスマスコンサート2023

2023-12-15 21:13:53 | ステージ & エンターテイメント
 コンサートが終わった時、近くの席から「あゝ、和ませてもらったぁ…」という声が聞こえてきた。私も同じ思いだった。道警音楽隊の軽やかな演奏と、カラーガード隊の華やか演舞は、満員の聴衆をおおいに和ませてくれたコンサートだった。
       
 本日(12月15日)夕刻、かでるホールにおいて、道民活動センター主催の「かでるクリスマスコンサート2023」が開催された。私は友人二人と共に観覧させていただいた。
 出演は北海道警察音楽隊とカラーガード隊の皆さんだった。音楽隊は24名、カラーガード隊は8名の編成だった。
 コンサートは2部構成となっていて、第1部は音楽隊だけによるコンサート、第2部は音楽隊の演奏に合わせてカラーガード隊が演舞する構成だった。
 例によって第1部に演奏された曲目を紹介すると、
 ◆P.デュカス/La Peli Fanfare
 ◆L.アンダーソン/Sleigh Ride(和名「そりすべり」)
 ◆R.デンツァ/Funiculi, Funicula(和名「フリクリ、フニクラ」)
 ◆A.メンケン/A Whole New World
 ◆peppeと穴見真吾(緑黄色社会)/Mela!
 ◆作曲者多数/A  FRANK SINATRA CHRISTMAS
 ◆YOASOBI/アイドル
曲目を一瞥してみると、最後の曲を除いて全てが外国語表記である。和名を付けた曲は私にも耳馴染みの曲であり、クリスマスに相応しい曲もあったのだが…。道民に親しまれることを第一目的とする道警音楽隊の選曲としては「あれっ?」と思ったところもあった。
 演奏の方はいつもの道警音楽隊らしく、軽快に軽やかな演奏が印象的だった。ただ、私の聴力が衰えたせいだろうか?それとも近年さまざまなコンサートを聴く機会が増え、若干は私の耳が肥えたせいだろうか?以前の道警音楽隊の音と比較してどうなのだろうか?思いを抱いてしまったのだが、聴いていた私に問題があったのかもしれない…。
 第2部は音楽隊の演奏に乗せてカラーガード隊が旗やポールなどの道具を用いての演舞が披露された。スタイルの良い女性警官の方たちがキレの良い演舞を披露してくれ、観ている私たちを楽しませてくれた。合間には、音楽隊の方々の楽器を使用した余技のような演舞の披露もあった。
 道警音楽隊の軽やかで、ポップな演奏は道民の方々からの受けも良い。今夕もかでるホールには満員の聴衆が入り大盛況だった。
 1月には北海道警察自体が主催する「ふれあいコンサート」が予定されているが、こちらの方は悲しいかな落選となってしまった。残念!         

好漢 野村良太自らの登山の流儀を語る

2023-12-14 16:03:03 | 講演・講義・フォーラム等
 野村良太はこの夜もやっぱり“好漢”だった。けっして対談相手を否定せず、自らの体験や思いを、誇るわけでもなく、照れるわけでもなく、淡々と話す。それがどんなに困難なことであり、快挙であろうとも…。
       
 12月13日(水)夜、札幌駅前通地下広場〔北大通交差点広場〕においてNHKが主催する「未踏峰への挑戦 野村良太のヒマラヤ日記」スペシャルトークが開催され、駆け付けて耳を傾けた。彼の話を聴くのは今年の2月7日、かでるホールで聴いて以来2度目だった。
        
 その際に「近い将来、ヒマラヤの未踏峰のジャルキャヒマール(標高6,473m)に挑戦する」と話されていたが、今回のトークはその挑戦の様子などについて「サバイバル登山家」を自称し活動する登山家:服部文詳氏が聞き手となって対談する形で実施された。
         
 野村良太氏は服部氏に問われる形で自らが登山家になった経緯を語った。それによると、野村氏は小・中・高と野球少年だったという。その後北海道大学水産学部に進学したことで、雪が降るようなところで野球でもないだろうと考え、北海道の自然を体感できるようなサークルを求めたという。北大にはそんな野村氏を満たすサークルとして山岳部、山スキー部、ワンダーフォーゲル部があったが、山に関しては最も緩いと思われるワンダーフォーゲル部を選択したそうだ。
 
 ワンダーフォーゲルの水は野村氏の肌に合ったようだ。山に魅せられ夢中になって山野を巡ったという。しかし、水産学部は3年次から函館に移住しなければならない。彼は意を決して休学届を提出したという。そして3~4年次はアルバイトを続けながらワンダーフォーゲル部のリーダとして部を引っ張り(部長も経験)思う存分山を楽しんだという。
 5~6年次は親との約束もあり、復学して函館と札幌を往復するような生活を送りながら大学を無事に卒業した。しかし、山からは離れられず就職はせずに山岳ガイドに職を見つけて、ガイドの合間に道内の山を登ったり、稜線を歩いたりするような冒険の世界にも歩を進めたそうだ。その延長線上に2023年度に「北海道分水嶺積雪期単独縦断」という前人未到の快挙を成し遂げたのである。
         
 お話の方は今回のヒマラヤ未踏峰の挑戦に移った。今回の挑戦は、北海道の礼文島在住で隊長を務めた齋藤大乗氏からの誘いだったという。野村氏は齋藤氏の誘いに一も二もなく即断して誘いに乗ったそうだ。その後、隊にはジャルキャヒマールに挑戦経験のある2人が加わり4人の遠征隊が組まれたそうだ。その中で野村氏は最年少だったという。
 彼らは挑戦前に八ヶ岳などで2度の事前合宿を行ったという。ここにNHKが割り込んだ。「北海道分水嶺積雪期単独縦断」の際にその記録を放映し大反響があった野村良太の挑戦の様子を再び記録し放送したいと…。そのことについて野村は仲間に了承を求めたところ許しを得たことで今回の「未踏峰への挑戦 野村良太のヒマラヤ日記」の番組が出来上がったという。
 私はこの挑戦の模様について、11月下旬だったか、12月初旬だったかに、タイトルは違ったかもしれないがすでに一度視聴し、野村たちがジャルキャヒマールの登頂に失敗した様子について画面を通して知っていた。
 そこで彼は最年少ではあったが、ヒマラヤ未体験で、高山病などを患ったこともあり、体力のある最年少としての力を十分に発揮できない様子を私は画面から感じ取っていた。そのことを野村もこの日のトークで正直に漏らしていた。また、登頂断念を隊の仲間で相談する際、野村は断念を判断する際に重要な役割を果てしていたと私は見た。苦境に立った時、ヒトはその本質を垣間見せる時がある。野村はそのことを隠すことなく率直に語った。控えめながらも「人間関係ストレスを少なからず感じた」と…。そして「隊の中がギスギスしていた感じだった」と…。そのあたりは15日の放送(後述)の際に観ていただければと思う。
 最後に野村は自身の登山について語った。どこを目ざすかについては「自分の動機で動き続けたい」、「自分の中から湧き出てくるものを追求したい」と…。
 そして「自分はけっして100%まで追い求めない」、「今回の場合も初めての高所で自分の身体がどうなるか不安だった。だから自分の中では撤退したい思いがあった」と告白した。
 自分の将来に向けては、山(自然)に挑みながら、それを伝える「書く」ということにも挑戦していきたいと語った。対談相手の服部氏はそのことを「体で稼ぐ仕事と、脳みそで稼ぐ仕事の二刀流で生きろ」とエールを贈った。
 まだまだ様々なことを語ってくれたスペシャルトークだったが、私にとっては濃密な90分間だった。 
 今回のスペシャルトークで閉口したことが一つあった。会場が狭すぎたという問題点だ。あの520名を収容できる「かでるホール」をほぼ満杯にするほど今注目されている野村良太氏のトークを椅子席僅か44席の会場で行うのはいくらなんでも狭すぎる。私は開会30分前に会場に着いたのだが椅子席に座ることは叶わず合計120分立ち続けてトークショーを聴く羽目となった。私はそれでも立ち席の最前列だったが、私の後方では代子ン雑だったようだ。NHK側にもいろいろと事情はあったとは思うが、もう少し配慮してもらいたかった。
 反対に意外な発見もあった。それは着席できないために、いつものようにノートにメモを取ることができなかった。そこで急遽スマホのメモ機能を使ってメモし続けたところ、意外にもおおよその内容をメモすることができ、今回の投稿にも活かすことができた。案外これからも講演・講座の際には活用できるのではないかと思ったのは収穫だった。
 なお、野村氏関連のNHKの放送がこれから2度放送されることになっている。各種メディアでも予告されているが、本欄でも紹介しておきたい。関心のある方はぜひ視聴していただきたいと思う。
◆「はるかなるひと ~未踏峰への挑戦 野村良太のヒマラヤ日記~」
    12月15日(金)19時57分~20時42分 NHK総合テレビ(北海道特別版)
◆「未踏峰への挑戦 ~野村良太のヒマラヤ日記~」
    12月18日(月)22時45分~23時28分 NHK総合テレビ

映画 №369 ゴジラ-1.0

2023-12-13 21:36:47 | 映画観賞・感想
 ゴジラが現れたシーン、あるいは戦闘機が跳び回るシーンでは会場の空気が震えるほどの衝撃が場内に走った! “轟音” が売りのスクリーンで観るゴジラは迫力十分だった。
       
 期せずして連日の映画関連の投稿となった。というのも、本日昼間は特に予定がなかったのだ。(夕刻に一件トークショーがあったが、それは明日投稿することにします)
 そこで先日オープンしたCOCONO SUSUKINO内にできた「TOHOシネマズ」で表記「ゴジラ-1.0」を観ようと思い立った。というのも、その「TOHOシネマズ」には “轟音” を売り物にするスクリーンが設けられていて、それを一度体験してみたいと思っていたからだ。
 “轟音” を体験するならゴジラ映画だろう、と考え観てみることにした。“轟音” を体験するには通常料金に200円加算すると観られることが分かった。
 
※ 映画館のホワイエには迫力十分のゴジラの模型が展示されていました。

 TOHOシネマズには10のスクリーンがあったが、“轟音” のスクリーンは第9スクリーンだった。場内に入ると、スクリーン前方に大きなスピーカーが4台ほど、そして横の壁には数えきれないほどのスピーカーが据え付けられていて期待が高まった。
 映画は第二次世界大戦で敗戦した直後の日本が舞台である。1946(昭和21)年、夏にビキニ環礁で行われた米軍による核実験で、近海にいたゴジラが被爆して、その影響から体長が50.1mまで巨大化し、日本に襲いかかろうとするのを敗戦国日本の民間人たちが阻止しようとするストーリーである。
 
※ 今回の映画の出演陣たちです。

 映画の魅力は何といってもゴジラのド迫力の映像である。CGもうまく使いながら、映像としても迫力十分の画面となっていたように私には思われた。それに加えて “音” である。 ゴジラが一歩一歩歩くたびにたてる地響きの音、ゴジラが吠える声、そして戦闘機の爆音……。“轟音” のスクリーンが迫力十分に観ている者に迫ってくる。
 
※ "轟音" スクリーンの場内の壁には写真のように数多くのスピーカーが据え付けられていました。

 私がゴジラ映画を観た体験はそれほど多くはないが、今まで観た中でも出色の出来だった。
 ストーリー展開もなかなかで、最後に “アッ!” と思わず声が出たほど意外に終末だっだ。詳しいストーリーを紹介することは避けるが、ゴジラ映画が好きではない人にも一見をお勧めする今回の「ゴジラ-1.0」である。
 ところでこの映画で主演を務めた神木隆之介さんの演技力の評価はどうなのだろうか?神木ファンの方には申し訳ないが、私にはその演技力に甘さを感じてしまったのだが…。私としてはもう少し感情を抑えた演技を観たかった思いがしたのだが…。
 なお、本作はゴジラ生誕70周年を記念した作品であり、ゴジラ映画37作目の映画だそうだ。和名は「ゴジラ-1.0」だが、英名は「GODZILLA MINUS ONE」と表記するそうだ。
「-1.0」と表記する理由が残念ながら私には分からないのだが、英名の「マイナス ワン」というところに何か意味があるのだろうか?


映画 №368 ぶどうのなみだ

2023-12-12 16:26:44 | 映画観賞・感想
 今や国内で最も知られた俳優と称してもけっして過言ではない大泉洋が2011年から2018年にかけて主演した「北海道映画三部作」の二作目の映画である。映画の評価がファンの間で別れた映画である。
        
 私が所属する「めだかの学校」では、今年度後半の学習の一つとして映画を観賞して感想を述べあう講座を設けている。その題材として大泉洋主演の「北海道映画三部作」を取り上げることにした。2011年制作の「しあわせのパン」は11月6日に観賞したのだが、この映画を私は封切で見て、その感想も拙ブログにアップ済みだったので、ブログで取り扱うことはパスした。
 そして昨日第2作目として2014年制作の「ぶどうのなみだ」を観賞した。
 映画は前作の「しあわせのパン」と同様、三島有紀子脚本・監督と主演の大泉洋がタッグを組んだ映画である。
 映画は兄のアオ(大泉洋)と弟のロク(染谷将太)は父の遺した小麦畑と葡萄の樹で農業を営んでいた。ロクは小麦を、アオはワインを作っていたが、そこに突然キャンピングカーに乗った旅人の女性エリカが現れる…。
 
※ キャンピングカーに乗って突然アオやロクの前に現れたエリカ。

 映画を観終わった後、「めだかの学校」の仲間たちと感想を述べあった。評価は見事に分かれた。評価した人たちは、ストーリーは別にして画面がメルヘン的でファンタジーの世界を描いていたと評価した。一方、評価しないとした人たちは、ストーリーが理解できないとする人たちが多かった。
 私は後者の方々と思いが同じだった。残念ながら脚本がまったく理解できなかった。特に突然アオとロクの前に現れたエリカが、なぜ二人の前に現れたのかまったく理解ができなかった。それが事実を描いたものであれば、あるいは第三者にはまったく理解できない事実ということも考えられるが、創作であるならエリカが現れる必然性について観ている者を納得させる説明が必要ではないのか、と思うのだ。
 評価される人たちがメルヘン的と評したのも、画面に現れる電話、パトカー、風車など、あるいは食事場面で提供される食事の数々などがディテールにこだわった現実離れしたような画面がそう思わせたのではないのかと思わせてくれた。
  
※ あまり意味を感じない風車はメルヘン的雰囲気を漂わせます。

 主演の大泉洋の良さも表現されていたかと問われると首をかしげざるを得ない。と私的には不満の多い映画に映った。 
 私たちの観賞会では、映画を観る前にナビゲーター役が映画に関わる蘊蓄を披露してもらうことにしている。今回のナビゲーターのO氏は、ぶどうの栽培に適した土、気候などについて説明してくれたり、北海道で生産されるワインの特徴などについてレクチャーしてくれ、参加者はワインについての知識を深める機会ともなったと思われる。
 私は基本的に自分が見たり、体験したことについては肯定的にとらえたいと思っている。だから今回のような感想を述べるのは気が重くなる。次回の「そらにレストラン」に期待したい。

※ なお、私たちの映画観賞会は関係機関に問い合わせ、著作権問題をクリアしています。