丸山遠見は標高わずか327mの小さな山である。しかし周りに大きな山がないことから山頂に立つ「丸山遠見望楼」からの眺望が抜群であるという。快晴に恵まれたこの日、期待を抱きながら山頂を目ざした。しかし…。
この日(2月28日)、「七条大滝」を往復した私は車の中で15分ほど休憩を取った後、次の目標である「丸山遠見」を目ざした。「丸山遠見」は国道を隔ててちょうど反対側に位置するために、幸いなことに車は同じ駐車場に置いてスタートすることができた。
丸山遠見に向かう「第2縦断林道」の入口は、国道が苫小牧と伊達に向かう交差点のところからわずかに東寄りのところにある。この日私より早く入った先行者のスノーシューの跡があったので、私もスノーシューを装着しスタートした。
※ 第二縦断林道の入口です。
林道は緩やかな針葉樹林帯の上りが延々と続く単調なルートだった。私はただただ先行者のスノーシューの跡を辿ればよかった。スタートから25分後「丸山7号線林道」と交差した。ここからコースは右折して「丸山7号林道」を辿るようになっている。ところが先行者のスノーシュー跡は林道を外れて真っ直ぐ進んでいた。どうやら先行者はコースをショートカットして真っすぐ「丸山遠見」を目ざしたようだ。私は迷ったが、ガイドブックが示す通り遠巻きにはなるが林道を往くことにした。
※ 林道内はご覧のように針葉樹林帯となっており、スノーモービルの走った跡がついていました。
林道の様子は変わらない。晴天なのに林道内は針葉樹に遮られて暗い感じがする中を淡々と進んだ。先行者のスノーシューの跡はなくなったが、数日前に通ったであろうスノーモービルが走った跡が残っていた。大きく迂回した「丸山7号林道」を約35分かけて「遠見林道」入口に差し掛かった。その時「望楼登上不可」という嫌な立て看板が立っているのに気づいた。
※ 丸山5号林道の後半には徐々に林の様子が疎になってきました。
※ 遠見林道の入口です。丸山遠見への道標とともに、右には「望楼登上不可」の立て札が。
※ その立て札には登上不可の理由が書かれてありました。
「遠見林道」に入ると生えている樹木の密度が疎になり、太陽の光が届くようになった。するとこれがやっかいだった。太陽に光を受けた雪は水分を含み、それがスノーシューの裏面に張り付くようになったのだ。こうなるとスノーシューは重くなり、歩きにくいことこのうえない。その上、斜度もこれまでよりは急になり始めた。私の歩くスピードがガクンと落ちた。疲労もけっこう溜まっていた。
※ 丸山遠見へ向かう坂道を上る私のスノーシューの跡です。
※ コースの脇は雪が消え、春の気配も漂っていました。
しかし、樹木の生えている状況が疎になったこともあって、林間から遠景が見え隠れするようになり、山頂での眺望の期待が高まった。
※ 前方の小高い丘の上が「丸山遠見」の山頂です。
「丸山遠見」の山頂は周りからポコンと頭を出すようにしてあった。その頭の部分を左に巻くようにして登りきると、そこにカラマツで作られた高さ13mの望楼が建っていた。
※ 山頂に向かい山腹の左側を巻くように進みます。
※ 「丸山遠見」山頂に聳えていた「丸山遠見望楼」です。
しかし!その望楼の前にはやはり「望楼登上不可」の看板が立ち、階段のところにはコンパネが打ち付けられていて、階段を上ることができないようになっていた。ガーン!望楼に上らなければ周りの立木に遮られて眺望は半減である。ガッカリしたがなす術はない。望楼内はガラス張りと聞いていたので、そこでゆっくり昼食でもと考えていたが、それも叶わなかった。諦めきれず15分も佇んでいただろうか?しかたなく下山することにした。下山は登ってきたルートではなく、かなり短くなる「丸山8号線林道」にスノーシュー跡が見えたので、そこを下りることにした。
※ 望楼の階段上り口は写真のようにコンパネで覆われ、登上出来ません。
※ 山頂からでは立木が邪魔になり十分な眺望が得られませんでした。
※ 山頂直下、左手が上ってきたルートで、左側へ進むと「丸山8号線林道」です。
こちらはスノーモービルの跡などなく、柔らかな雪が積もっていたが、時間が正午過ぎとあって気温が高くなっていたこともあり、スノーシューの裏に張り付く雪がますます酷くなり疲れた体を鞭打った。それでもおよそ25分で国道まで下りることができた。しかし、そこから駐車場まで国道脇を進むわけにもいかず、国道と並行して走っているサイクリングロードを進んだ。ところがこのサイクリングロードは林道内よりさらに雪の状態が酷かった。もうスノーシューを付けていては歩くのもままならなくなったので、スノーシューを脱いだところ、今度はツボ足がずぼずぼと埋まる状態となった。
※ 「丸山8号線林道」はご覧のようにあまり人が通っていない感じでした。
※ 本来なら反対側からチェーンと共に国道を写すのがベストなのですが、疲労していた
私はそこまで気が回りませんでした。
「丸山遠見望楼」は登上禁止、雪は水分を吸ってスノーシューに張り付き、と散々な思いをしながら「丸山遠見」スノーシュートレッキングを終えた。
ガイドブックでは、「丸山遠見望楼」は周囲の森林火災の予防を目的に明治中期に建てられたのが最初で、現在のものは第4代目だそうだ。登上禁止措置は階段の一部が倒壊したためだという。私が見た限りではそれほど大きな倒壊とは思われなかった。一日も早く修復して利用を再開してほしいと思う。