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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 桐島、部活やめるってよ №276

2020-03-20 16:22:38 | 映画観賞・感想

 映画を観終えての私の正直な感想は「何、これ?」という思いだった。私にはまったく映画の良さが伝わってこなかった。ただ「戦おう、ここが俺たちの世界だ」という主人公の一言が引っ掛かったのだが…。

          

 まるで私のブログは「映画観賞・感想」に特化したかのようなブログに変貌してしまった感がある。本日を含めて11日間の内10日が映画関連なのだから…。これも新型コロナウィルスの感染拡大の大波を被っているためである。食傷気味とは思われるがお付き合いいただければ幸いである。

 本日取り上げた映画「桐島、部活やめるってよ」(2012年制作)は2013年の日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した作品である。原作は当時早稲田大学在学中の朝井リョウのデビュー作で小説すばる新人賞を受賞した作品である。

 映画を観終えて、感性の衰えた私には正直言って「何、これ?」という感想だった。私にはただただ某高校の放課後のあるクラスの生徒の恋話程度にしか映らなかったのだ。ところが映画の最後の方で主人公(と後になって気が付いたのだが)の映画部の前田涼也(神木隆之介)が放った一言「戦おう、ここが俺たちの世界だ。俺たちはこの世界で生きていくしかないのだから」というセリフが引っ掛かったのだ。

    

 映画を振り返ってみると、ある田舎の高校の一クラスの中を映し出すものだったが、その中で、前田涼也はクラスの中で目立たない、暗いおたくたちが集まっているとされる映画部の一員であった。それはある意味でクラスの中では周りからはおいていかれた存在であった。

 一方、題名にもなっている“桐島”はバレーボール部の主将を務め、勉強もそこそこできて女生徒からも人気があり、クラスの中で目立つ存在の女生徒(飯田梨紗)と付き合っている。男子は桐島を中心として、女子は桐島の彼女である飯田梨紗(山本美月)を中心としてクラスの中にヒエラルキー(序列化された階層)のようなものが存在していた。

 そう考えると、はるか60年近く前の自分の高校時代にも確かにそのようなものが存在していたように私の中に蘇ってくる。もちろん現在のそれとはかなり異質なものであるに違いないと思うのだが…。

 結局、映画の中に“桐島”は一度も登場しなかったのだが、“桐島”が所属していたバレーホール部を辞めるということが、クラスの中に大きな波紋を呼んだということだ。

 映画では終盤になって前田たち映画部(前田は監督を務めていた)がゾンビの映画の乱闘シーンを撮影中に、“桐島”の取り巻きの生徒たちが乱入するのだが、ゾンビ役が前田の指示で乱入した生徒たちを大乱闘の末に追い散らすことに成功した。その乱闘の最中に前田が発した言葉が前述のセリフである。

      

 ここに至って私はようやく原作者の朝井リュウのねらいがうっすらと見えてきたような思いになった。つまり、高校のクラスの中には隠然たるヒエラルキーのようなものが存在するが、「目立たぬ生徒、自信をなくした生徒たちよ、怯むことない!堂々と生きていこうではないか」というエールを送ったのではないか、と思うのだが…。違うかなぁ…。

     

 いやいや、映画っていろいろと考えさせてくれますなぁ。そこが映画の魅力のひとつかな?