「シン・ゴジラ」の「シン」とは、“新”なのか?“真”なのか?はたまた“神”なのか?おそらくその全てを抱合した意味なのだろう。新たな「ゴジラ」の登場が日本中を恐怖の底に陥れる。果たして日本の運命は!?エンターテイメントとして純粋に楽しめた映画だった。
映画「シン・ゴジラ」(2016年制作)は、2017年度日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した作品である。
ゴジラ映画は日本映画界において独自の境地を開発し、一部熱狂的ファンに支えられこれまで28作も作られ、海外でも制作されるなど反響を呼んだゴジラ映画である。しかし私には奇想天外なストーリーに興味がなく、ほとんど観た記憶がなかった。今作は28作目だそうだが、前作が作られて以来12年ぶりのゴジラ映画だそうだ。
さて、「シン・ゴジラ」であるが、ストーリーは東京湾羽田沖に巨大不明生物が出現し、首都東京を破壊し始めるのだが、政府はただちに対策本部を設置し、日本政府 対 ゴジラの総力戦の様子を描く。
ゴジラのつくりやCGの描き方など、マニアによってはそのディテールに注文をつける方もいるようだが、私にはそうしたことには知識もなく、興味もない。設定は奇想天外とはいえ、政府全体が巨大不明生物に対して総力を挙げて対峙するストーリーはある種の緊張感を覚えながら楽しむことができた。それは現在、私たちが初めて遭遇する新型コロナウィルスの感染拡大という未曽有の事態に遭遇しているという背景もあったからかもしれない。
また、セットの豪華さ、CGの進歩、戦闘場面における自衛隊の協力などが迫力ある場面を現出させたことも観客を惹き付ける要素となっていたといえる。
ただ、迫真の場面を演出させるためには致し方のないことではあるのだが、出演者たちが発する早口のセリフには参ってしまった。私の衰えた聴力では細かなセリフがなかなか届いてこなかったのが残念だった。
なお、この映画は作品賞の他に、監督賞、撮影賞、照明賞、美術賞、録音賞、編集賞とこの年度(2017年)のスタッフ賞の最優秀賞を総なめにしている。それだけ映画そのもののつくりがしっかりしていたという証拠だと思われる。
楽しめた映画だった!