「アンダンテ・ウィンドアンサンブル」というちょっと変わった社会人の吹奏楽団がある。その吹奏楽団がこのほど “不定期演奏会” というこれまたちょっと変わったコンサートを催した。変わっているかな?と思うのだが、実力のある吹奏楽団だった。
ちょっと変わった、と表現したがそれは楽団の成り立ちにある。プログラムで自己紹介している文章を拝借すると…
「2011年3月11日14時46分に起きた、東日本大震災の被災地へ向けて当時札幌近郊の大学、専門学校2年生だけが約50名集まり、2011年5月に初めてステージを迎える。以来、東日本大震災を中心に熊本地震、台湾地震のチャリティを、その他北海道内の天災の被災地へ向けたチャリティコンサートを行っている。自主開催のチャリティのみならず、札幌市内のチャリティイベントへの参加やお祭りでも演奏を精力的に行う。2019年度より年3回の自主開催の演奏会を行うことを目標にしている札幌発の有志バンド」
とある。変わっているわけではけっしてなく、立派な志をもった楽団である。ただ一つのきっかけで集まった楽団が13年間も継続しているところが凄いなぁ、と思う。
その理由はアンダンテ・ウィンドアンサンブルを主宰し、指揮も務める浦航史さんのリーダーシップによるのかな?と私は見ている。浦さんは非常に能弁な方である。以前にも北区民センターでのコンサートに参加したことがあるのだが、その際に語っていたが恒常的に活動している団員は少なく、不定期毎に集まってくるメンバーでコンサートを継続しているようなのである。浦さんの語り方もどこか緩~い感じがするが、楽団自体も緩~い集まりであることが長く継続している理由なのかもしれない。
※ アンダンテ・ウィンドアンサンブルを主宰する浦航史さんです。
今回(4月21日)もそうした浦さんの人的な繋がりからだろうか?ゲストバンドとしてジャズの「Stellar Wind Jazz Orchestra」が出演し、「アンダンテ・ウィンドアンサンブル」の演奏の際は、「札幌大谷中学校・高等学校吹奏楽部」が合同演奏に加わったり、指揮者としてお二人の指揮者が登場したり、と多彩だった。
コンサートのレポの恒例として演奏楽曲を羅列する。
◆第1部 Stellar Wind Jazz Orchestraの演奏
◇森村敏/Pa’lante Pa’gozar
◇C.Veiázquez/Bésame Mucho
◇A.Lala/Solamente Una Vez
◇G.R.Pouiton/Love Me Tender
◇D.Gallespie/Night In Tunisia
◆第2部 アンダンテ・ウィンドアンサンブルの演奏
◇P.Sparke/オリエント急行
〔2024吹奏楽コンクール課題曲〕 ※ ここから札幌大谷中学校・高等学校吹奏楽部との合同演奏、指揮は甲斐誠氏
◇課題曲 Ⅰ 渡口公康/行進曲「勇気の旗を掲げて」
◇課題曲 Ⅱ 近藤礼隆/風がきらめくとき
◇課題曲 Ⅲ 酒井 格/メルヘン
◇課題曲 Ⅳ 伊藤宏武/フロンティア・スピリット
以下は再びアンダンテ・ウィンドアンサンブルの演奏
◇内藤淳一/式典のための行進曲「栄光をたたえて」 ※ 指揮 内藤淳一氏
◇B.Gray/サンダーバード
〈アンコール〉
◇内藤淳一/ブライアンの休日 ※ 指揮 内藤淳一氏
というような多彩さだった。
第1部のStellar Wind Jazz Orchestraは北大のジャズ研のOB・OGを中心としたバンドということだったが、メンバーが楽しそうに演奏していたのが印象的だった。技量の方も十二分にそなえたバンドだった。
※ Stellar Wind Jazz Orchestraはメンバー19名とおお小ぶりなバンドでした。
第2部のアンダンテ・ウィンドアンサンブルは60名を超える大所帯で、それに札幌大谷中学校・高等学校吹奏楽部が加わった時には優に100名を超える超大型演奏陣での演奏となった。さらには課題曲の指揮を執った方は、プロの指揮者で特に吹奏楽界では名の知れた指揮者だということだ。そしてお気づき思うが、内藤淳一氏は札幌在住の方のようだが吹奏楽の作曲者として吹奏楽コンクールの課題曲を何曲も作曲されている方で、この日も 自らが作曲し、課題曲となった曲の指揮をされた。
※ アンダンテ・ウィンドアンサンブルと札幌大谷中学校・高等学校吹奏楽部の
合同演奏は優に100人を超す大人数のためカメラに収まりきらず、2枚の写真
となってしまいました。
アンダンテ・ウィンドアンサンブルの演奏技量も相当に優れた演奏だったと私は見た。いずれの演奏も音合わせなどそう時間はとれないのではと思うのだが、私の耳では演奏の乱れなどはまったく聴こえてこなかった。
私はこれまで何度か課題曲Ⅰの行進曲「勇気の旗を掲げて」をさまざまな吹奏楽団の演奏を聴いているが、この曲が大好きである。行進曲のエッセンスがすべて含まれているように感じられるからである。この日の100人を越えるボリュームのある演奏で私の大好きな行進曲を演奏してくれたことで大満足で会場の白石区民ホールを後にした私だった。