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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 168 シチズンフォー/スノーデンの暴露

2016-07-18 20:50:07 | 映画観賞・感想

 エドワード・スノーデン…、2013年アメリカの二大情報機関であるCIA(中央情報局)とNSA(国家安全保障局)に属した男が、国家の秘密情報を内部資料と共に暴露し、全世界に衝撃を与えた張本人である。その暴露の様子をドキュメンタリーで追った迫真の記録映画である。 

               

 昨日(7月17日)午後、以前から気になっていたドキュメンタリー映画「シチズンフォー/スノーデンの暴露」を観るためシアターキノに赴いた。
 シアターキノは小さな劇場であるが、この映画はそれなりに注目を集めている映画と見え、満席の盛況だった。

 スノーデンの経歴を見ると特別のエリートではないが、若いにも関わらず(暴露当時30歳)紆余曲折を経て、アメリカの情報収集の中心であるCIA、およびNSAの情報収集活動に関わることになった。
 そこで見たCIAやNSAの実態にスノーデンは落胆したのだった。CIAやNSAの悪辣な行為や、一般市民の情報を国家レベルで収集していることに怒りを覚え、命を賭して告発する決心をしたのだ。

          

 スノーデンは告発を依頼する相手として、当時イラク戦争のドキュメンタリー映画をアメリカに批判的な立場で制作し、当局から睨まれていた映画監督コーラ・ポイトラスに委ねることにした。(コーラ監督は女性監督である)
 映画はスノーデンがコーラに電話をかけるところから始まる。つまり映画は、スノーデンの告発が世界を驚かせる前から始まっていたのだ。その電話をかけたときのスノーデンのコードネームがタイトルの「シチズンフォー」である。

 コーラ監督は、旧知のジャーナリストのグレン・グリーンウォルドを伴い、スノーデンを香港のホテルに呼び寄せ、そこでグレンを聴き手として彼の告発を聴くのだった。
 映画のほとんどは、香港のホテルでスノーデンが必死の決意で告発する様子に肉迫する。
 告発の内容は、NSA(国家安全保障局)が米国民の膨大な通信データを秘密裏に収集しているという衝撃的な事実だった。
 画面はスノーデンの神経質そうな表情を、拘束される恐れの表情を、そしてひしひしと迫る米国官憲の雰囲気を余すところなく映し出し、迫真のドキュメンタリーとなっている。

         
         ※ スノーデンの告発を聞くグレン・グリーンウォルド(中央)です。

 その後、危険が迫った香港のホテルを後にするのだが、カメラはそこから先へは追うことができなかった。
 香港を出たスノーデンは紆余曲折の末、ロシアへの入国を許可され、米国から恋人を呼び寄せ、静かに暮らしているところを遠景で映し出しているところでTHE ENDとなる。

 スノーデンはいまだにアメリカからは追われる身である。
 スノーデンの行為は、一人の人間としての義憤から出た行為だと理解できる面も確かにある。しかし、その行為は緊張関係が続く国際間において米国の威信を大きく傷つけることになったことも事実である。
 私がスノーデンの立場だったらどうしただろうか?
 映画を観た一人ひとりに鋭く問いかけてくる映画でもあった。