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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 167 男はつらいよ 翔んでる寅次郎

2016-07-13 17:12:37 | 映画観賞・感想

 ご存じ渥美清演ずる「男はつらいよ」シリーズの第23作である。1970年末“翔んでる女”という言葉が流行していたが、その代表格でもあった桃井かおりをマドンナに迎え、翔んでる女ならぬ“翔んでる寅次郎”と洒落た映画であるが、山田洋二の脚本が冴えわたっていた映画でもあった。 

               

 7月11日(月)午後、「めだかの学校」の「映画の中の北海道~昭和編」で取り上げられたのは、タイトルのように「男はつらいよ 翔んでる寅次郎」だった。
 
 この作品は1979(昭和54)年、シリーズ全48作の中の23作目として制作された。脚本の山田監督も、主演の渥美清も脂の乗り切った時期の作品の一つで、観客動員も172万人を数えたという。
 北海道との関係では、寅さんがテキヤを開業する白老町・虎杖浜、寅さんがマドンナのひとみ(桃井かおり)と出会う支笏湖が映画に登場する。

          

 ストーリーは、例によって例のごとく…。寅さんが一人かん違いからひとみに恋心を抱くが、ひとみは自らの幸せを見つけて寅さんから去って行く…。男はつらいのだ!

          

 映画の見どころはたくさんあるが、この作品の一番の見所はなんと言っても寅とさくら(倍賞千恵子)がマドンナであるひとみの結婚式の仲人を勤めるシーンである。自分の結婚もできない男が仲人をするまでの顛末が山あり谷ありのストーリーが楽しかった。
 その仲人を務めた結婚式は、わけありのため新婚夫妻の両親は出席していない。新郎・邦夫(布施明)の妹の京子(戸川京子)がただ一人血縁者として出席し、親族代表の挨拶をするのだが、このセリフに飾りがなくて実にいい。山田洋二は次のように京子に語らせた。
「本当は私の父がご挨拶をしなければいけないんですけど、兄は勘当されているので両親とも来ないんです。私も…、行っちゃいけないと父は言いましたが、それは私の自由だと思うんです。お兄さんとひとみさんは、一度結婚しておいて、また今度結婚するなんて、ちょっとおかしいみたいだけど、私はそう思いません。とっても素敵だなあって思ってます。お兄ちゃん、ひとみさん、おめでとう」

          

 良家の子女同士だった邦夫とひとみの結婚式は、その結婚に疑問を抱いたひとみが式場から逃げ出し、両親を激怒させる。それでもひとみに思いを寄せる邦夫にひとみは考えを改め、再び結婚するというところが、この映画の核である。
 終始笑わせながらも、ホロッとさせる終末を用意している寅さん映画らしい構成である。
 そして、またも振られた(?)寅さんは北海道・支笏湖に赴き、遠くから邦夫・ひとみ夫妻を案ずるところでTHE ENDとなった。

             

 ギネスブックにも登録になったという48作ものシリーズ映画がはたして今後誕生することがあるのだろうか?