田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

縄文土器の野焼きをする

2016-07-04 15:51:58 | 北海道・北東北縄文遺跡群関連

 土器の野焼きである。その方法は原始的ではあるが、体験してみて相当に高温の中で焼成されることが分かった。数千年、あるいは一万数千年前に人類はどのようにして土器を焼成するという術を獲得したのだろうか? 私は一日縄文人となって縄文土器の焼成を体験したのだった。
 
 3週間前に「私は縄文人になった?」とレポしたが、北海道博物館のワークショップで粘土を成型して土器をつくった。
 それを昨日(7月3日)野焼きして、縄文土器を完成させる工程の講座があった。本来は成型したものを2週間置いて先週の日曜(6月26日)焼くはずだったのだが、雨天のために延期され、昨日実施したのだ。

          
          ※ 今回の会場となった江別市セラミックアートセンターの建物正面です。

          
          ※ セラミックアートセンターの裏庭で開会式を行いました。

 午前10時、江別市のセラミックアートセンターに受講生は集まった。
 同センターの裏庭には野焼き用の炉があるので、そこを利用させていただき野焼きを実施した。
 野焼きの工程には、「てり焼き」といって、本焼きの前に乾燥した土器の水分をさらに除去するために、火から少し遠ざけて土器を炙る。約1時間半、土器の表面をまんべんなく炙るようにする。

          
       ※ 「てり焼き」の様子です。炉の周りに土器を並べ、水分を除去して割れるのを防ぎます。

 それから、いよいよ「本焼き」である。この準備が私には想像していなかったものだった。炉の中(炉といっても野原にレンガを3~4段組んだだけの簡素なものです)土器を並べ、その脇や隙間、あるいは上部に土器が隠れるほどに薪を並べ、積み上げるのです。薪の量は相当な量だった。
 そして火を入れると、炉の中の薪は勢いよく燃え上がった。温度は600℃~800℃くらいになるという。燃え上がっているときは、とても熱くて傍に寄れなかった。

          
          ※ 「本焼き」の準備です。最初に「江別土器の会」の本格的な作品を炉に並べています。

          
          ※ 全ての土器を炉に入れた後は、ご覧のように薪を炉いっぱいに積み上げました。

          
          ※ 炉の中の薪は勢いよく燃え上がり、炉に近づけないほど温度は上がりました。

 この日の野焼きには、私たちだけではなく、「江別土器の会」、「江別市子ども学芸員カレッジ」と私たちと3団体の方がつくった土器の野焼きが行われた。「江別土器の会」の方々の作品は、さすがに慣れていてかなり高度な作品を作っていたのが目立った。

 焼き上げること約1時間半、それから火が消えて収まるまで1時間、ようやく作品を炉から取り出す作業が始まった。焼成の中で割れてしまう作品はほとんどなかったようだ。それだけ良質の粘土だったのか?それとも指導が良かったのか?
 私の作品(と云えるほどのものでもないが)も無事に焼き上がった。但し、私のものだけではないが、底の部分や器の一部が黒く変色してしまったのは残念だった。
 そのことについては、最後に解説があった。実はこの日朝方まで雨が降っていた。そのため炉に底にあたる部分が冷やされてしまい十分に温度が上がらなかったことが原因なのでは、ということだった。残念!

          
          ※ 「本焼き」が終わったところです。土器はまだまだ熱く直ぐには取り出せません。

          

          ※ 恥ずかしながら私の二つの作品です。どちらも底の部分が黒くなりました。

          
          
          
          ※ 「江別時の会」の方の本格的な作品です。さすがですね。

 主催者(道博物館)は、残り火で「焼きマシュマロ」を作ったり、「焼き芋」を提供してくれたり、サービス満点の講座だった。
 朝9時に家を出て、帰宅したのは午後4時過ぎということで、私はこの日も一日縄文人の気分を味わった。

          
          ※ 残り火で焼いた「焼きいも」を頬張る参加者たちです。

 ところでリード文における疑問だが、少し調べたところ石器時代の人たちは狩猟生活を主としていたが、その中で火を使って肉を焼くという術を獲得していたが、その火を扱う中で土(土器)が固く変化することを発見したのではないかということである。土器を獲得したことによって人々は食材を焼くだけではなく、煮るという方法を獲得したという。
 お勉強になりました~。

          
    ※ 裏庭の一角にはレンガ製のモニュメントが建っていました。原田ミドー作の「風の門」という作品です。