ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

シンポジウム「日本産業を元気にするための産学官連携プロジェクト」を拝聴しました

2012年12月11日 | イノベーション
 特許庁傘下の独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が開催したシンポジウム「日本産業を元気にするための産学官連携プロジェクト 課題と将来課題」を拝聴しました。

 シンポジウムの表題は、最近の日本企業がグローバル市場で製品競合に勝てず、事業に苦しんでいる現状を受けたものです。今回のシンポジウムの主題は、日本は国家プロジェクトとして産学官連携による大規模プロジェクトを実施しながら、その事業化にはあまり成功していない現状を分析し、その打開策を探るものです。



 例えば、経済産業省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は有機EL(エレクトロルミネッセンス)の産学官連携の国家プロジェクトを早めに実施し、研究開発には一応、成功しました。しかし、その後は日本の電機メーカーは事業化に成功せず、韓国の大手電機メーカー2社が「もうすぐ55型有機ELテレビを販売する」と発表しています。日本企業は研究開発で先行し、事業化で遅るケースが増えています。

 主催の工業所有権情報・研修館(INPIT)は特許などの知的財産のマネジメントを考えている組織です。このため、シンポジウムでは「産学官連携プロジェクトの知財マネジメント 現状と課題」というタイトルで、パネルディスカッションが行われました。工業所有権情報・研修館は行政側として、主な産学官連携の国家プロジェクトに「知的財産プロデューサー」を派遣し、そのプロジェクトの知的財産戦略を練る支援を実施しています。



 日本政府は産学官連携プロジェクトに参加する企業に本気になってもらうために、平成11年(1999年)10月に日本版バイドール条項と呼ばれる「産業活力再生特別措置法第30条」を施行しました。産学官連携プロジェクトに参加した企業が、その研究開発成果を出願者として特許を出願することを認めたのです。国が支援した研究開発成果から産まれた特許を、参加企業に権利を渡し、事業化の動機付けを与えるという施策です。米国がバイドール法によって、産学官連携の成果を生かして事業化が進んだことを真似したものです。

 しかし、日本では産学官連携プロジェクトはあまりうまく行っていないと考えている方が多いようです。このため、産学官連携プロジェクトの知的財産戦略を再考し、国内で研究開発を実施し、国内で事業化し、海外に製品を輸出する事業モデルを再考しようと、かなり大胆な議論が展開しました。

 具体的な中身はかなり専門的なので割愛しますが、今後、日本企業がグローバル展開を進めるには、単純なやり方ではなく、臨機応変に戦略を練り、戦術を変えていくしかないと、知的財産マネジメントの専門家の方々が考えていることがよく分かりました。この結果、日本企業が国際競争力がある新製品を開発し、国際市場で事業化を成功させ、雇傭を増やしてもらいたいと思います。