ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

慶応大学主催「イノベーション創出セミナー」を拝聴して考えたことです

2012年12月21日 | イノベーション
 慶応義塾大学のSFC研究所プラットフォームデザインラボが主催した「イノベーション創出セミナー」を拝聴した話の続きです。

 今回のセミナーテーマは「グローバル知財戦争」です。具体的にはスマートフォンを巡る特許戦争が議論の中心でした。



 米国のIT(情報技術)大手企業のグーグル社やアップル社などのスマートフォン事業を加速させている知的財産戦略などを解説していただきました。この解説・議論を拝聴して思い出したことなどを簡単にまとめます。

 米国のIT大手企業の1社であるアマゾン社の名前がまだ登場していません。以下は、米国の大手メディアが報じたアマゾン社が目論むスマートフォン事業のうわさです(まだ、アマゾン社は公表していないようです)。

 アマゾン社は現在、台湾の鴻海精密工業(Hon Hai)グループ傘下の中国フォクスコン(Foxconn)と一緒に、アップル社の「iPhone」やグーグル社のアンドロイド陣営各社のスマートフォンに対抗する格安スマートフォンを開発し、発売するといううわさです。

 現在のスマートフォンは価格面で考えると、日欧米など先進国向けや、中国などのアジア諸国の富裕層向けです。これに対して、世界各国の低所得者でも購入できる低価格スマートフォンをいずれ発売するといううわさが強まっています。その狙いは、アマゾン社のWEBの通販サイトから商品を購入してもらうには、多くの人びとがスマートフォンを持つことが前提になるからとうわさされています。

 同様に中国などでは、廉価版スマートフォンが急成長し始めました。1000元(約1万2400円)台で購入できる低価格スマートフォンです。例えば、小米(Xioami)社は2012年5月に発売した「MiOne」シリーズの中の低価格モデルは、価格が1499元(約1万9000円)です。低価格ですが、1.2ギガヘルツ駆動のデュアルコア・プロセサーを搭載し、ある程度の高機能を盛り込んでいます。

 中国市場では、華為(Huawei Technologies)社や中興(ZTE)社、パソコン大手のレノボ(連想、Lenovo)社などの大手メーカーがスマートフォン市場に参入し、低価格化競争が激しくなっています。

 巨大な中国市場を基に、アジア市場などで廉価版スマートフォンがある程度のシェアを取り、事業が成立し始めると、高価格版スマートフォンを販売するアップル社やグーグル社のアンドロイド陣営各社は事業戦略を再構築する必要性に迫られる可能性が高まります。

 世界を巻き込む巨大市場だけに、スマートフォンを巡る各社の事業戦略は再構築し続けることを求められます。休む暇なく戦い続けることが必要です。日本の携帯電話機メーカーは、現在、何手先まで読んで事業戦略を練り続けているのか、数年後には答えがでそうです。