◆◆今週のことば
剣術でも、少し習ってうまくなってくると、だれでもかれでも自分より弱く思える。
太刀さえ取れば自分が勝つように思える。
しかしその域を脱すると、“自分も相当修行できたかもしれないけれど、しかし上には上がある。
自分よりも上の人がたくさんある”ということが分かってくる。
そこで初めて、自分がどういう立場、どういう態度でおらねばならんかということが分かってくる。
そうなってくると、さらにその人は向上する。
というのは、自分より偉い人がたくさんあることが分かるから、その偉い人たちの考え方を手本にするという心持に自然となってくる。
そしてあの人の流儀をとろう、この人の流儀をとろうというふうにして修行するから、やがて自分は知らず識らず名人の域にも達する、あるいは一流を編み出すというようなことにもなる。
『松下幸之助発言集25』PHP研究所より
★関連記事は、月刊「理念と経営」10月号に記載されています。
(5ページ 「道~みずからの力の正しい判定を」)
◆◆企業事例研究
今週は、石川県の株式会社加賀屋をご紹介します。
『プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選』において、27年連続で総合1位を獲得。
“日本一のお宿”として、多くの方々に親しまれています。
お客様満足に徹した『おもてなしの心』、そして、加賀屋を支える経営哲学とは何か。
代表取締役会長の小田禎彦氏にお話をお伺いしました。
※小田氏のお名前の「禎」は、本当は「ころも偏」ですが、システム上の関係で「しめす偏」になっております。ご了承くださいませ。
☆ お客様満足に徹する『おもてなしの心』
加賀屋は1906年(明治36年)に創業し、多くの方々に愛されてきました。
バブル時代には、多くの企業が当然のように拡大路線をとる中、同社は『常識的』に考えて、堅実な道を歩みます。
本業である『お客様満足』に徹したのです。
加賀屋の根底には『おもてなしの心』がありました。
同社にとって、旅館経営は単なるお金儲けではなかったのです。
バブル崩壊後は、拡大路線をとった多くの企業が経営難や倒産の憂き目に遭うなかで、加賀屋は着実に成長を遂げました。
☆ 「働く」とはどういうことか
バブル崩壊後、同社では「ぜい肉」を削ぎ落とすことに集中しました。
堅実な経営を行なっていた同社でも、知らず知らずのうちに「ムダ」が生じていたのです。
なかでも、人件費の見直しが大きな問題でした。
そこで「人件費の完全燃焼」のシステム作りに着手。
そのシステムづくりに一番大切なことが、仕事に対する社員の意識づけでした。
『働くということはどういうことか』を社員に問いかけ、生産性に対する意識を浸透させたのです。
小田氏は教育の原点を、「ツールボックスミーティング」と考えています。
棟梁が大工道具に腰を掛けて、現場で弟子に繰り返し教えていくことが、最も効果があるということです。
☆ 正確性とホスピタリティ
加賀屋では、「サービスの科学化」を導入し、お客様へのサービス向上に努めています。
調理場から部屋への料理の運搬をロボットを使って行い、客室係の労力を減少。
労力が節約できた分、お客様により良いサービスを提供することができるようになりました。
また、社員が勤務中に子どもを預けられる「カンガルーハウス」という企業内保育園付き母子寮を設立。
安心して労働に励む気持ち、「サービスに専念できる環境」を築きました。
「私たちはサービス産業です。ですから、サービスの向上に努めることは当然のことです。
社員には次の言葉を暗記させています。
『サービスとはプロとして訓練された社員が給料をいただいて、お客様のために正確にお役にたって、お客様から感激と満足感を引き出すこと』
サービスの本質は「正確性」、そして「ホスピタリティ」です。
この両方が相まって初めていいサービスになります。この原則が頭にあれば、常に行動の物差しとなるわけです」
大事なことは、方法論ではありません。原則から一つひとつ積み上げてこそ、「いいサービス」を提供することができるのです。
☆関連記事は、月刊「理念と経営」10月号に掲載されています。
(14~21ページ「企業事例研究1」
剣術でも、少し習ってうまくなってくると、だれでもかれでも自分より弱く思える。
太刀さえ取れば自分が勝つように思える。
しかしその域を脱すると、“自分も相当修行できたかもしれないけれど、しかし上には上がある。
自分よりも上の人がたくさんある”ということが分かってくる。
そこで初めて、自分がどういう立場、どういう態度でおらねばならんかということが分かってくる。
そうなってくると、さらにその人は向上する。
というのは、自分より偉い人がたくさんあることが分かるから、その偉い人たちの考え方を手本にするという心持に自然となってくる。
そしてあの人の流儀をとろう、この人の流儀をとろうというふうにして修行するから、やがて自分は知らず識らず名人の域にも達する、あるいは一流を編み出すというようなことにもなる。
『松下幸之助発言集25』PHP研究所より
★関連記事は、月刊「理念と経営」10月号に記載されています。
(5ページ 「道~みずからの力の正しい判定を」)
◆◆企業事例研究
今週は、石川県の株式会社加賀屋をご紹介します。
『プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選』において、27年連続で総合1位を獲得。
“日本一のお宿”として、多くの方々に親しまれています。
お客様満足に徹した『おもてなしの心』、そして、加賀屋を支える経営哲学とは何か。
代表取締役会長の小田禎彦氏にお話をお伺いしました。
※小田氏のお名前の「禎」は、本当は「ころも偏」ですが、システム上の関係で「しめす偏」になっております。ご了承くださいませ。
☆ お客様満足に徹する『おもてなしの心』
加賀屋は1906年(明治36年)に創業し、多くの方々に愛されてきました。
バブル時代には、多くの企業が当然のように拡大路線をとる中、同社は『常識的』に考えて、堅実な道を歩みます。
本業である『お客様満足』に徹したのです。
加賀屋の根底には『おもてなしの心』がありました。
同社にとって、旅館経営は単なるお金儲けではなかったのです。
バブル崩壊後は、拡大路線をとった多くの企業が経営難や倒産の憂き目に遭うなかで、加賀屋は着実に成長を遂げました。
☆ 「働く」とはどういうことか
バブル崩壊後、同社では「ぜい肉」を削ぎ落とすことに集中しました。
堅実な経営を行なっていた同社でも、知らず知らずのうちに「ムダ」が生じていたのです。
なかでも、人件費の見直しが大きな問題でした。
そこで「人件費の完全燃焼」のシステム作りに着手。
そのシステムづくりに一番大切なことが、仕事に対する社員の意識づけでした。
『働くということはどういうことか』を社員に問いかけ、生産性に対する意識を浸透させたのです。
小田氏は教育の原点を、「ツールボックスミーティング」と考えています。
棟梁が大工道具に腰を掛けて、現場で弟子に繰り返し教えていくことが、最も効果があるということです。
☆ 正確性とホスピタリティ
加賀屋では、「サービスの科学化」を導入し、お客様へのサービス向上に努めています。
調理場から部屋への料理の運搬をロボットを使って行い、客室係の労力を減少。
労力が節約できた分、お客様により良いサービスを提供することができるようになりました。
また、社員が勤務中に子どもを預けられる「カンガルーハウス」という企業内保育園付き母子寮を設立。
安心して労働に励む気持ち、「サービスに専念できる環境」を築きました。
「私たちはサービス産業です。ですから、サービスの向上に努めることは当然のことです。
社員には次の言葉を暗記させています。
『サービスとはプロとして訓練された社員が給料をいただいて、お客様のために正確にお役にたって、お客様から感激と満足感を引き出すこと』
サービスの本質は「正確性」、そして「ホスピタリティ」です。
この両方が相まって初めていいサービスになります。この原則が頭にあれば、常に行動の物差しとなるわけです」
大事なことは、方法論ではありません。原則から一つひとつ積み上げてこそ、「いいサービス」を提供することができるのです。
☆関連記事は、月刊「理念と経営」10月号に掲載されています。
(14~21ページ「企業事例研究1」