まりっぺのお気楽読書

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『白痴』大音響小説

2008-07-13 15:14:14 | ロシアの作家
ИДИОТ 
1868年 フョードル・ドストエフスキー

世の中に、しーんと心にしみ入る小説があるとしたら
『白痴』はなんと騒々しい小説でしょうか?
もう、アナーキーでデストロイでレボリューションってなくらいの大音響

ざっくり言えば、2組の男女の恋がどうなるかしら?っていうお話ですが
そこは社会にもの申すドストエフスキー、たくさんの社会的問題をとりあげていて
話しが複雑になりすぎちゃったんじゃないかと…

誰が主人公?ってくらいたくさんの人物が登場するんですけど
どいつもこいつも喋るったらありゃしないわけです。
「それ、必要ですかね?」ってことまでページを裂いて喋りまくり
私はロシアの方々って“寡黙”で“冷静沈着”っていうイメージがあったんですけど
考えが少し変わりました。

それはさておき
主人公は、スイスの精神病院を退院してロシアに帰って来たムイシュキン侯爵という
汚れを知らぬ子供のような心の青年で合ってるんでしょうね?
彼が、ナスターシャとアグラーヤという二人の女性を好きになってしまい
ナスターシャを愛するラゴーシン、アグラーヤを愛するガヴリーラなどが入り乱れて
不幸な結末をむかえる、というお話です。(すごくはしょってます)

とにかく、愛し合う男女がくっついたり離れたりを激しく繰り返す物語で
次第に「もう、どうでもいい…」という気分になってきてしまいました。
愛しているなら素直になればいいじゃない?
なにもわざわざ奇抜な行動に走らなくたっていいと思うんですけど。

もしかして、それが名作を書くコツなの?

主役・準主役級の人たちでさえ、かなり軌道を逸しているというのに
その他にも、どこか興奮気味なたくさんの人々が登場して
主義だの主張だの、自分の不幸な境遇、死んでやる!という
聞いてて楽しくも嬉しくもないことを、延々と喋り続けるわけです、いやでしょう?
これだけの登場人物の中で、私がまともな人に思えるのは3人くらいでしょうか。

最後の最後にムイシュキン侯爵は、再起不能に陥り
再びスイスの病院に戻るわけですが、その気持ち分かります。
毎日いろいろな人がやってきては、あんなにイライラさせられちゃあねぇ。
早く余所に行ってしまえばよかったのに…

たぶん、ムイシュキン侯爵の美しい人柄を描くためだったのでしょうが
なんか、腹立たしいエピソードが盛り込まれすぎてると思います。
物語の面白さ云々より、台詞ひとつひとつに腹をたててしまうようになって
読み通すのが大変でした。

人間の奥底や深層なんか垣間見えなくていい、深遠な思想も理解できなくていい
バカと言われてもいい… もう少し気軽に読める物語が好きです。

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