まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『少年時代』曖昧な年ごろの記録

2010-04-01 22:35:12 | ロシアの作家
ОТРОЧЕСТВО 
1854年 トルストイ

幼い頃を描いた『幼年時代』に続く一冊です。
『幼年時代』は輝かしい成功をおさめてますけど、どうもこちらはパッとしませんね。

でも私はどちらかというと『少年時代』の方が共感できたし、スラスラ読めました。
『幼年時代』のあと『少年時代』を読みたいとは思わなかったけど
今『青年時代』が読みたくってうずうずしてますもん。

無邪気なだけで絵になる幼年期と、甘酸っぱいラブストーリーがお似合いの思春期。
しかし狭間にある十代前半は主人公になりづらい年代です。

訳者(藤沼貴氏)によると、トルストイもおおいに悩んだようで
「早く青年時代にいきたい…」ってな弱気を吐いたそうです。
トルストイは十代の迷いを描ききれていないという思いにとらわれたみたいですが
それでこそこの年代にありがちな特徴なんじゃないでしょうか。
何考えてるかわからないじゃない?

何に悩んでいるかわからないけどなんだか気が沈む、
自分なりに世のことを憂いでいるのにたいしたことじゃないように扱われる、
筋の通ったことを言っているつもりなのに生意気よばわりされる…なんて
経験ありますよ。

急に学校をさぼりたくなるのよね。
別に不良じゃなかったんだけど、授業中に屋上に隠れててビンタされましたよ

あ、すっかり本の紹介を忘れておりました。
ママを亡くしたニコーレニカ一家は、モスクワに住む祖母のもとで暮らすことになります。

村を出て行く馬車の中では雷を怖がったり、泥も中をかけずりまわったりという
幼さいっぱいのニコーレニカでした。

しかし、モスクワで次々に新たな感情が芽生えて来ます。
兄が大人びて見えること、人を憎むこと、急に女中を触りたくなること、
そして、哲学的なことを考えている自分に陶酔したりします。
ついには感情の爆発が押さえられず、自殺や殺人ことまで考える始末。

未熟な部分と早熟な部分が頭の中で相克しているような感じでしょうか?
自分自身がコントロールできなくなっちゃうのかもしれません。
そんな忘れていた感覚を思い出させてくれました。

そう考えると、ぎゃーぎゃー騒いでいる生意気な子にも温かい目を向け…られない。
自分も通ってきた道なのに… やっぱり昔すぎてダメですわ

少年時代 講談社


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